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新社会人に伝えたい「労を惜しむな」という言葉
大学を卒業した時だから、もう十年以上前になる。大学の教授が卒業生に向けて話した言葉を今でも覚えている。
特殊な経歴の教授
その人は、教授をしているだけあって、大学を博士課程まで進み、就職後も研究者として働いていたそうである。
でも、何かのきっかけで、突然「営業職」とすることになった。30歳も過ぎてから、突然全く未経験の仕事に戸惑い、どうしたらいいか分からず上司に相談したそうだ。
何か参考にするいい本はないか。セミナーに行った法がいいのか。それともまず、ボサボサの髪を切った法がいいのか。そんなことを聞いてみた。
でも、上司の答えは想像と全く違っていた。
「労を惜しむな」
ただそれだけ言われたそうである。
食い下がって、もっとコツのようなものとか、技術を教えてもらおうとしたものの「そんなことはどうでもいい。とにかく労を惜しむな」と再度言われたそうだ。
教授はそれを「きちんと仕事に向き合って、一生懸命働け」という意味だと捉え、とにかく自分ができることはなんでもするという姿勢で営業に取り組んだ。
他の人が嫌がるような、地味な資料の準備や倉庫の片付けなどの仕事を「労を惜しまず」なんでもした。その結果、研究職出身でありながら、営業成績も上がり、職場でも高く評価されたのだそうだ。
自分自身の経験
卒業するときにその言葉をもらったぼくは、仕事を始めてからずっと、いつも頭の中にその言葉が響いていた。
オフィスの床にゴミが落ちているとき、電球が切れたとき、朝の掃き掃除で大型ゴミが捨てられていたとき。自分の専門の仕事には無関係かもしれないけど、率先して拾ったり、手続きをたり、処理にあたるようにしていた。
新入社員は、当然能力が不足しているけど「自分にできることがあるのであれば、できるだけ関わる」。ぼくはそういうふうに解釈をしていた。
実際、その効果なのかわからないし、自分で自分を評価することはできないけど、少なくとも、同僚の中ではそれなりに評価されていたし、社長賞をいただいたりすることもできた。
「これは誰の仕事?」ではなく「これしといたらいいですか?」そんな考え方が当たり前と思えるのも、思えばこの言葉があったからかもしれない。
新社会人のみなさんへ
「新社会人の教科書」といったマニュアル本はたくさん出ているし、これらの本を読むことは決してダメなことではない。しっかり読んで貰えばいい。
でも、本質的に大切なことは、仕事に自分の持ちうる限りの能力、時間で全力で当たること。つまり「労を惜しまないこと」なのだと思う。
新社会人の皆さんはぜひこの言葉を胸に、仕事に向き合っていってほしいと思う。
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