いい絵がかける「誤魔化した」イラストの描き方〜座学編④〜
先日Xにて水着ゴルシの絵を投稿しました。
かわいいゴルシのイラストですが、いくつか見栄え重視の工夫をしている部分があります。
ここで、この絵のゴルシと実際のゴルシを見比べてみてください。いくつかのてんで異なっている点があると思います。
間違いさがしのような感じで、
いくつか見つけてみてから次に進んでみてください。
大きくいくつか違う点をまとめてみます。
・バズーカを背負っていない(代わりにバッグ)
・服がショートジーンズのようになっている
・右手にゴルシの襷がついている
・右足の装飾が違う
この4つのポイントは単に描き間違えたわけではなく、私があえて意識して「誤魔化した」部分なのです。
ここで言う「誤魔化す」とは
・自分の描きやすいように描く
・見栄えを良くするために描く
・時間短縮のために描く
という意味を持ちます。
「誤魔化す」ということをいかに上手くするかによって、完成時、絵の全体の引き締まりやバランスがものすごく整います。
私が意識した4つのポイントを、なぜそう描いたのか1つずつ説明していきたいと思います。
はじめに-そんなに変えちゃっていいの?-
あえてキャラクターの服を変えたりすることに抵抗感を持たれる方はかなりいらっしゃるのではないかと思います。
しかし、絵がタイムラインに流れてきた時に、そのキャラの服装など完璧に記憶できている人はどのくらいいるのでしょうか?
おそらく私の絵においても少し誤魔化していることに気づいた人はかなり少ないと思います。
私が言いたいのは、絵においてキャラクターの服や髪を完璧に描くことはあまり重要ではないということです。
twitterの絵で一番大切なのは「一瞬のインパクトと見栄え」です。
絵の中で「これはこのキャラだな」としっかり認識させられるだけで十分OKです。
自分の描きやすいように、速く描写できるように「誤魔化し」ちゃって大丈夫なのです。
全く違うキャラになってはいけないので、「ちょっと違うな」と少しでも思われるとダメなので、ギリギリのラインを攻めるようにするといいでしょう。
1.バズーカを背負っていない(代わりにバッグ)
まずゴルシのラフの途中段階(左)と完成ラフ(右)を見比べていただきましょう。
個人的には修正前のラフは少し窮屈さを感じてしまいました。
これの一番の原因は「巨大なバズーカが体と髪の毛の流れを遮ってしまっている」からと考えられました。
なのでゴルシにはバズーカを脱いでもらって、髪の毛の広がりを優先したというわけです。
ただ脱いでしまうと下半身の情報量が少なくなってしまうので、代わりにベルトはそのままに勝負服ゴルシのバッグに付け替えてもらいました。
また、以前キサキを描いた時に武器系がかなり苦手だと認識していたので避けたかったからという技術的な理由もあります。
2.服がショートジーンズのようになっている
これは描きながら修正したものです。
かなり肌の露出が大きめな衣装なので、セーフサーチをつけられてしまうかもしれないという懸念と、
アオリの構図な分視覚的な下半身の情報量の多さが求められると考えた為です。
3.右手にゴルシの襷がついている
これも似たような理由です。
この襷は一旦絵が完成してから後付けしたものです。
襷をつけた理由は「アクセントカラーがなくなってしまった」からです。
元々水着ゴルシのデザインは、銀髪に黒を基調とした水着に加え、真っ赤で巨大なバズーカがアクセントとなっていました。
しかしバズーカをとっぱらったことにより、イメージカラーが赤であるゴルシらしさがなくなってしまいました。
そこでなんとか赤の要素を追加しようと考え、右手の襷を残すことを思いつきました。
ちょうど右手を挙げている構図なことにより襷と顔の距離が近くなっているため、
襷を追加する前より顔に目が行きやすくなる視線誘導の効果も現れています。
この誤魔化しはかなり上手く通っているのではないかな、と感じています。
4.右足の装飾が違う
先程お話しした通りこの絵はあくまでアオリの構図なので、下半身の情報量が欲しいです。
なので元々左足にあった装飾を右に装着し、近くに寄せて大きく描きました。
右を開けたことによって、光が当たっている部分に水滴も描写できました。
これがあるだけでちょっとした海っぽさが出せるので良かったと思います。
その過程で星のヒトデよりも大きく描ける十字架の金属製の装飾に変えてみた、という感じです。
いかがでしたでしょうか。
いつも速く描くことを重要視しているので手を抜いて描くばかりのイメージを持たれている方も多かったと思いますが、
描き直したり、絵を仕上げるための試行錯誤も割としていたということが伝われば幸いです。
皆さんも「誤魔化した」イラストを描き慣れてみてくださいね。
今回は絵を誤魔化す重要性についての座学でした。
また次回お会いしましょう。
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