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「あちらのお客様からです」

「どうぞ」

「これは?」

「すじこです。あちらのお客様から」

美しい女がバーカウンターの奥に目をやると、理知的な空気を着こなした男が一人。
静かな熱視線とともに、男は誘う。

「すじこ、いかがですか?」

すこし俯く女。
きらめく黒髪がひとすじ肩をこぼれた。
まるで彼女の憂いが、水滴となってしたたり落ちたかのように。

女は微笑み、口を開く。

「私、痛風なんです。」


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