見出し画像

きのうの自分と会うために

まえがき

何かを書きたくなってnoteのアカウントを作ったまではよかったのですが、特に何もせず…1年…2年…多分もっと経っていました。

最近noteを楽しみに読ませてもらってる方がいて、
「こんな風に自分の想いを書き綴るのなんかいいな…!」と思った旨を
たまたま会いに来てくれたご本人にさらっと言ってしまいました。

結果、背中を押していただいたので
満を持して、まんまとnoteを書き始めることになった次第です。


忘れっぽい

漫画や映画を観ても登場人物の名前をすぐ忘れてしまうことが多くて、調べては忘れてを繰り返すことがよくあります。
悲しいことに現実の人の名前も同様に忘れがちなので、メモを取るなど工夫はしているけど、たまに失礼を承知で改めて教えてもらうこともあります。たまーにね。

それは自分のことでも同じで。
昨日は何を食べて、何を話して、何を考えていたのか。一年前は何を楽しみにして、何を悩んでいたか。余程のことがない限り、なんとなくしか覚えていません。

自分のことは自分しか知らないので、一度忘れてしまうと思い出すのはとても難しくなります。なのでよくもやもやしてます。


日記を書く

子どものころ、日記を書くことを義務付けられていました。
その当時は人間より猫の友達の方が多いユニークな子どもだったので、日記の内容を見た大人によく心配されたのを覚えています。それもあって日記を書くのがとても嫌いでした。やだやだしてました。

ところが中学生になったある日、きらいだった日記帳が急に恋しくなってしまったのです。気まぐれに昔を懐かしみたくなったのかもしれません。しかし残念ながら日記帳は既になくなっていたことがわかり、途端に子どものころの思い出が儚く曖昧なものになったように感じてしまって。何故かとても悲しい気持ちになったのを覚えています。

そんなことがあった日の夜、当時流行っていたブログを開設し、今度は好きで日記を書き始めます。このブログとは長い付き合いになりました。


失くしたものを拾う

冷たい水に触るときにきっと全部忘れるから
アップルサイダー/TaNaBaTa

とある曲で唄われたこのフレーズが好きです。
自分の”感じたこと”がどれだけ脆く儚いものかを突き付けられるようで。

もしも素敵な映画を観ていろんな想いが胸に溢れたとして、一年後その気持ちをどれだけ覚えていられるか、と問われると僕は殆ど覚えていられないと答えます。それでも誰かとの会話の中で少しずつ思い出したり、改めて観直すことで多少思い出せるかもしれないけど、当時と同じ気持ちかと言われると、恐らく違うのではないでしょうか。

それ故に今感じたことを大事にしたい。反面、全部大事に抱えておくのは不可能だと思っているから。だから大人になった僕はあらゆる方法で形にすることにしました。

絵を描いて、写真を撮って、楽器を弾いて、歌を唄って、文字を書いて。
失くしたものも、捨てたものも。
ぜんぶ作品という形にして、それをインターネットに送り出したのです。


自分のことを忘れない

現在、子どもの頃から共に歩んできた夢すら置き去りにしてしまった僕は、その代わりに最も大切なものを手にしました。それでもなおこれから何をするのが正解かわからず、犬のおまわりさんに助けを求めたいくらい未だに迷い続けていたりします。恥ずかしながら。

そんなときは一度立ち止まり、歩いてきた道を引き返してみたくなります。

懐かしいブログ、ハードディスクに眠っているwavファイル。
更新が止まったニコニコ動画のアカウント、ダンボールに詰まったCD。
押し入れで埃を被った楽器や機材。

今まで残してきた道標を頼りに、ここに来るまでに失くしたもの捨てたものを一つずつ丁寧に拾うように過去の自分に触れていくことで、楽しいことも悲しいことも含め忘れてた記憶がいくつも蘇ります。

中学生の僕は猫と暮らしている話をしてくれる。
高校生の僕はへたくそな歌を聞かせてくれる。
フリーターの僕は作った曲を自慢してくる。
専門学生の僕はなにもかも上手くいってるっぽくて調子に乗ってる。

同じ自分でも、大事なものも悩みや苦しみも全く別なものを抱えてて、その時期だけの想いや考え方があったことを改めて感じられて。それと同時に自分の周りにいた人達。僕は忘れっぽいので名前すら曖昧にしか憶えていないけど、彼らがかけがえのない時間や大切な言葉をいくつもくれたこと。たくさんのことをより鮮明に思い出させてくれる。

それが今の僕へのエールとなって、前に進める気がするのです。

だから、これから失くす何かを拾えるように道標を残し続けたい。

冷たい水に触れたとき。
置き去りにした夢を迎えに行くとき。
世界から僕が消えるとき。

明日もし、今日の僕に会いたくなったときの為に。

なんてね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?