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ソフトに死んでいる、の感じ

19:45 ☒☒☒12錠飲、もうとするが盛大に失敗する。流し込む直前に顆粒を噛んでしまい、味覚に敏感な舌の先端に苦味がモロ直撃したことでいきなり嗚咽が止まらなくなった。いや待て待て待てまあ、まあ待て、まあ待って、と押さえ込むのに数分の地獄を費やした。こっちだって高い金払ってバカをやろうとしてるんだから…とクズすぎる言い訳でこれをなんとか凌いだが、喉元の痙攣が止まらず友人の服用を待つ間にしばらく夜風に当たって身を落ち着けることにした。何度唾を吐き散らしても口の中はいつまでも苦く、さして寒くもないのに薄着がさびしく、震えが止まらなかった。こんなに早くから震えが始まるのはよくない兆候だと感じた……家に戻ると4分だけ寝かせてくれと頼み、不穏な妄想で気を紛らわせた。というのは例えば中学時代の同級生と口論になり、掴み合いに発展したところをリーダー格で体格のいいもう一人の同級生に抑えられる。第三者として仲裁に入ったように見えるがこの男と喧嘩相手は普段から仲が良く、公平に話を聞いているように見えて矛先はもともと俺にしか向いていないのだ。そのくせこんな言い方をするのも本心から言ってるんであって、俺がこいつと仲が良いから頭ごなしに責めてるんじゃないぜ君、とか言ってオノレの公平性をしきりに主張するのがまた鼻につくのだ。本心から言えば仲良しの肩を持ってむしろ当然じゃないか、あと語尾に君をつけるな ええい、何だっけ、こういう時に言うやつって何だっけ?ええいままよ ままよか、あ ええい、ままよ、とたちまち私は懐から脇差を抜き、みたいな物騒な妄想の連続である。なんの話だったっけ?これがバッドトリップの兆候を示しているのは明らかで、それでこそこの物騒な妄想しかできない状態も説明がつくのであり、物騒な行為に及ぶ前に無駄な理屈をこね回すのも個人的なバッドトリップの癖としてはよく認められることである。みたいな無駄な自己分析をリアルタイムで(したくもないのに)してしまうのがまさに罠であり、分析の結果バッドに陥る可能性が高い、と自覚してしまえば身に起こる全ての変化をそう捉えがちになり、だからそう捉えてはいけないのだ、良い旅なのだと信じなくてはいけないと躍起になろうものならそれはねもう蟻地獄にがっつり四肢入ってます。なんの話だったっけ?個人的に、バッドトリップにおいて逆説や反復、入れ子構造はつきものであり、無駄な堂々巡りをしてしまうことが多いと感じる。「という…」というありがちな文頭は自分を客観しているように見えて実際は変化がなく、多くの場合「…のだ。という…」を合図に元に戻る。話を続けていれば止まることはないが終わりもないし、と言ってバッドの最中は大体無駄な理屈をこね回す以外には逃げ道もないのでむりやりこね回し続けるしかないのである。それは例えば自宅の前の、めっちゃ普通のなんでもない道で迷い続けているような、と言おうと思ったが実際は自宅という正解も別に無いんであって、他人から見ればただの道やん、なんだけどもどう歩けばいいか分からない、んだけども立ち止まるわけにはいかない、みたいな…味のないガムを噛み続ける、強制じゃないし普通に吐き出したいけどどう吐き出せばいいか分からない、いや吐き出すという行為を知らないのかも……バッドトリップについて書き起こそうとするとどうしても行く先のないタイクツな文章になってしまうんですけど、バッドトリップって多分そういうもんなんでそれを味わってもらえたらと思います。こういう開き直りもありがち、というかそれはバッドに限らず多分自分自身の癖だと思う。そう考えるとバッドは本当の、向き合いたくもない自分自身にむりやり向き合わされることなのかもしれないし、その意味では貴重な体験なのかもしれない。知らんけど…

入れ子構造(ネスティング) / Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0
ゆらゆら帝国 / ソフトに死んでいる
http://j-lyric.net/artist/a01632b/l00b20a.html

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