アシンメトリー。または、6月は君の……。

はっきりと言葉にすることに、どんな意味が生じるのか、鈍い俺にはわからないけれど。

2021年6月2日のEMOE「カガクハンノウ」には本当に救われた。

音楽の物語の中で、アイドルの物語は幸せな花を咲かせる、ということを、俺はあの日もう一回信じることができたのだ。
だから、少なくともあの日、その幸せの真ん中にいた彼女、みやちは、俺のパーソナルな世界を救ってくれた。
その役割はいつか誰かが担うものだったとしても、だ。
(正直同じ週の月曜日に別のライブがあったんだけど、いわゆる血が濃すぎる感じで行けなかったのよ。)

前提として俺が彼女のなにを知っているのか、という問題があるのだが、ちょっとエアリーな個性的な声質をした、口元をむにむにさせながら他者の話を一生懸命聞く、人懐っこくて、多分アイドルガチ勢の女性であることは知っている。
あと単純にお顔と話す声と横顔から肩のラインがめちゃ好き。

そのみやちが、6月の終わりとともに活動休止をアナウンスした。
その文章もまた、丁寧かつ簡潔に、そして誠実に書かれたものであったのだが。

だから、思ってしまったのだ。
この6月は彼女が苦しみながら精一杯ついた、誠実な嘘だったんだろうか、と。

それでもみやちは「再会」と言った。
みやちには絶対、ステージと幸せな笑顔が似合う。
ステージから見えた景色は星空というには少しくすんでいたかもしれないけれど、きっともっと大きな空を、高く飛ぶ日が来るから。

あなたに助けられて、あなたとの再会を信じるおっさんが、ここに一人いると言うことを、できればちょっとだけ信じてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?