マガジンのカバー画像

自然災害を考える

14
日本列島は自然災害のデパートです。日本列島で発生する災害を中心に災害の背景となる地質や地形に基づいて考えていきます。
運営しているクリエイター

記事一覧

高校教科書で見る日本の地震災害 [自然災害を学ぶための教科書 4/4]

日本列島で起こる地震の特徴については、『地理総合』、『地学基礎』に簡潔にまとめられています。 勉強のとっかかりとしては、最適だと思います。 ここでは、それに基づいて最低限の知識を確認してみましょう。 震源の分布まずは、震源の分布を見ましょう。 震源はまったくランダムに分布しているわけではありません。 火山分布同様に、東日本において分布に明瞭な特徴が認められます。 東日本の震源分布の特徴を東北地方の東西断面で見てみましょう。 大きく見ると、震源は2つの場所に集中的に分布して

高校教科書で見る日本の火山災害 [自然災害を学ぶための教科書 3/4]

プレートテクトニクスの立場から見ると、日本列島はプレートの沈み込み帯に位置しています。 前回も述べたように、これが日本列島に火山災害や地震災害が多発する理由です。 日本列島の火山分布まず、日本列島の火山の分布の特徴を見てみましょう。 過去1万年間に活動した証拠のある火山を生きている火山『活火山』といい、全国で111認定されています。 活火山の分布図を見ると、日本列島のどこにも活火山があるわけではありません。 北海道から伊豆-小笠原にわたる東日本において、分布は特徴的です。

高校教科書で見る世界の自然災害 【自然災害を学ぶための教科書 2/4】

私達が住んでいる日本列島で起こる自然災害を考える上で、グルーバルな観点は大切です。 日本列島が地球上のどんな位置にあり、そこで起こる自然災害が世界で起こる自然災害に比較することで、日本列島でおこる自然災害の特徴が見えてきます。 今回は、前回紹介した「地理総合」の教科書を元に世界の自然災害について見てみましょう。 6種類の「地理総合」の教科書の内、4種類でグローバルな自然災害を意識的に扱っています。 世界で発生する自然災害には様々なものがありますが、日本でも発生する自然災害

高校教科書はとっておきの教材 【自然災害を学ぶための教科書 1/4】

日本列島は、プレートの沈み込み帯に位置する島弧です。 その為、地震や火山活動活動に伴う自然災害が頻発しています。 急峻な地形に起因する地盤災害も日本各地で起こっています。 地理的な位置から日本列島は年間を通じて降水量が多いとともに、四季による変化も激しくなっています。 台風による災害もほとんど毎年起こっています。 日本に住む限り、自然災害について学ぶことは必須です。 自然災害を学ぶための書籍自然災害を取り扱った書籍は大量に発行されていて、市民はいったいどこから読み始めたら良

単独世帯高齢者は自然災害にどう対処したらよいか?(その2) シニアルームシェア 【自然災害と高齢者4/4】

空き家とシェアハウス最近、散歩をしていて空き家が多いことに気づきます。 そこで、茨城県の空き家の状況について調べてみました。 それが、下の図です。 平成30年までのデータで少し古いのですが、現在もその状況は変わっていないと思います。 平成30年をみると茨城県の空き家率は14.8%、全国の空き家率は13.6%です。 この空き家を高齢者のシェアハウスとして活用すれば、一人暮らし高齢者にとって自然災害への対応もできる可能性が増えるのではないかと思いました。 一人暮らし高齢者が自然

単独世帯高齢者は自然災害にどう対処したらよいか? (その1) スマートシニアをめざす  【自然災害と高齢者 3/4】

前回の記事で、1919年における一人暮らしの高齢者は3割近くにおよび、今後一層増加することが予想されることを書きました。 一人暮らしの高齢者は、自然災害での災害弱者になりやすいので、自然災害からどうやって身を守ったら良いか考えてみます。 まずは健康に!まずは、健康に気をつけて健全な体を保っておくことが第一です。 肉体のみならず精神的にも。 不幸にして健康を害してしまった時には、養護老人ホームなどの利用を考えなければならないかもしれませんが、これについては社会全体としての大き

災害弱者としての高齢者 【自然災害と高齢者2/4】

茨城県の2019年の台風19号被害 2019年10月の台風19号では、茨城県でも大きな水害による被害がでました。 茨城県北の久慈川にかかる水郡線の鉄橋の流失は、全国的に報道されました。 下の写真は洪水が引いた後に現地調査に入った時に撮った写真です。 ビックリしたのは、橋脚があたかものりまき寿司のように輪切りになっていたことでした。 古い鉄橋で、鉄筋が入っていなかったようです。 こんな鉄橋は全国にたくさんあると思います。 茨城県大子町での高齢者の被災 大子町の中心街は流失し

日本の高齢化 【自然災害と高齢者1/4】

日本は、自然災害のデパートと言ってよいほど自然災害が多発します。 一方、世界の中でも大変な勢いで高齢化が進んでいる国です。 日本で自然災害を考える上で、高齢化は無視できないファクターになります。 コロナワクチンの接種後、次の日に副反応が出て一日ソファーの上でぐったりとしていました。 そんな中でなんとなく今後の自分の人生について考えたのですが、自分自身、年齢が『後期高齢者』に近づいていることに改めて気づきそれなりにショックでした。私の父は42歳で逝ったのですが、その父よりもいつ

等高線が読めるとカッコいい

地形図上で地形は等高線で表現されています。 等高線とは、同じ高さのところをつないだ線です。 等高線を読めると、平面上に書かれた地図から立体的な地形を頭の中に描けます。音楽家が楽譜を見ただけで、メロディーを頭の中に浮かべることができるのと同じです。 一般の人から見るとカッコいいですね。 私達は小学生の時に等高線の読み方を教わっているのですが、ほとんどの方は大人になっても等高線を読むことができません。 理屈をしっていても訓練しないと活用できるようにはならないということです。 音

地図の北ってどう決まっているの?

普段、東西南北を意識して生活している人はあまりいないと思います。 確かにそれを意識していなくても、生活には困りません。 でも、ハザードマップを読み、そこから自然災害から身を守るための情報を引き出すためには、方位を意識することが大切になります。 ハザードマップの基本となっている国土地理院の地図は、地図の上が北になっています。 これを知ることが、地図を読む時の一番の基本です。 ここに、私の住んでいる地域にある塾の案内地図を示します。 目標の建物などの情報が入っていて、これで場

地図・マップは見るのではなく、読むのです

ハザードマップを広辞苑(第七版)で調べると次のように書いてあります。 『自然災害に備えて、予想される被害の種類・程度とその範囲、避難経路などを示す地図。』 これは、ハザードマップには自然災害の時に私達の命と財産をまもるための情報が載せられていることを意味しています。 ハザードマップは国や自治体により様々なものが作られています。 それらから、重要な情報を読み取ることがハザードマップを活用する第一歩になります。 ところで、最近マスコミなどでハザードマップの大切さがさかんに伝え

まずは自己紹介【ハザードマップを使うための基礎知識:地図・マップってなに? 1/4】

これからハザードマップに関わる地質学的な基礎知識や、自然災害についてのさまざまな話題を提供していきます。 というわけで、まずは自己紹介します。 長野県松本市に生まれました。いわゆる『団塊の世代』です。 毎日、北アルプスを眺めて暮らしていました。 大学は東北大学の理学部に進みました。 私が入学した前後の大学では、全国的に“大学紛争”が起こっていて、ほとんど授業の無いような状況でした。 今の学生諸君には想像もできないでしょうが・・・ 大学から革命が起こると信じていた学生もけっ

再生

自然災害列島における地質技術者の育成(日本地質学会JABEEシンポジウム)

2021年3月7日に行われたシンポジウムのライブ配信です。 現在の大学における地質学教育について検討されています。 2022年のシンポジウムの動画と合わせて、ぜひご覧ください。

再生

現在行われている大学におけるフィールド教育についてのシンポジウムの記録

地球科学系の大学では、フィールド教育はいろいろ工夫されています。 災害列島日本では、地球科学関係の技術者の果たす役割は大きなものがあります。 一人でも多くの若者が地球科学を目指して欲しいと思います。