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THE EXITS Under The Street Lamp 歌詞和訳


(訳・文 牛島兄)

Standing around telling jokes
たむろして冗談を言い合う
We can't go nowhere because we're broke
文無しのおれたちはどこにも行けない
And we don't care if the weather may be bad
雨が降っても気にしないさ
It's just me and the fellas
おれとあいつらだけ
Under the streetlamp
街灯の下には
Under the streetlamp
街灯の下には

Just dreaming of the days that lye ahead
目の前の将来のことをぼんやり考える
And growing up was the one dream that fills our heads
大人になることがおれたちの夢の一つ
Bobby wants to be the heavy weight champ
ボビーの夢はヘビー級チャンピオン
But his dreams got to go a lot further
でもその道はまだまだ遠そうだ
Under the streetlamp
街灯の下で
Under the streetlamp
街灯の下で

Just a bunch of fellas from the poor side of town
街の貧しい地区出身のやつら
Under the streetlamp is the happiness we found
街灯の下はおれたちの見つけた楽しみ
In a neighborhood where most every things rundown
街中どこも荒れ果てているから
So all we've got to make it to the brighter side of town
おれたちは街の明るい場所に集った


Willie Mase was a fella like you and me
ウィリー・メイスもおれや君のようなやつだった
He made it big in the major leagues
彼はメジャーリーグで成功した
But before he became the major league champ
でも、彼もメジャー王者になる前は
He stood around just like me and the fellas
おれやあいつらみたいにたむろしてたのさ
Under the streetlamp
街灯の下で
Under the streetlamp
街灯の下で

Every city and town
どの都市や街でも
You'll find the fellas like it around
おれたちみたいな奴らがいるだろうさ


 LAのボーカル・グループ、ジ・エグジッツはノーザンソウル・シーンで人気の曲に数多く関わったシンガーにしてソングライターでもあるジミー・コンウェルが在籍したグループ。残したシングルは3枚だけですがそのどれもが素晴らしい内容です。

 今回歌詞を訳してみたこの”Under The Street Lamp”もやはりジミー・コンウェルの書いた曲。カップリング曲の”You Got To Have Money”とあわせてノーザンクラシックです。
 そしてこの”Street Lamp”はあのキング・オブ・ラテンソウルのジョー・バターンがカバーしているのを聴いて知っている方もいるでしょう。

 歌詞の世界観や、曲調がまさにジョー・バターンの音楽にピッタリで、カバーと知ってびっくりする人もいるのではないでしょうか。LAのローカル・レーベルからのマイナーな曲をなぜバターンがカバーするに至ったのかは謎ですが、恐らく彼はこの曲を聴いて「まるで俺が書いたみたいな曲だ」と思ったんだと思う(笑)。ジミ・ヘンドリクスはディランの「見張り塔からずっと」を聴いたときに「すごい!俺が書いたみたいな曲だ!」と驚いてカバーしますが、そんな感じ。それくらいぴったりなんです。歌詞を、最後の語り部分含めて完璧に歌い込んでいるのも、彼がこの曲の世界、魂そのものに心底惚れ込んで、シンパシーを抱いていたのがうかがえるというものです。バターンはとにかくカバー曲のチョイスが秀逸で、曲の世界観を完全に自分のものにしてしまうところが本当にすごい。

 個人的に歌詞を聴いてて頭に思い浮かぶのが、大好きな映画”Cooley High”のワンシーン。この映画は黒人版アメリカン・グラフィティという趣きのもので、舞台はシカゴ、BGMはアーリーモータウン!という最高のものなんですが、主人公たちが街灯の下ではないけれど、焚き火(シカゴ寒いもんね)に当たって酒を回し飲みしながら将来の夢について語り合う、まさにこの歌詞のようなシーンがあります。

 歌詞で描かれるのは、黒人の若者たちのハードな状況ですが、同時にそれはとても叙情のある、美しい風景です。そして最後のくだりは、若者たちに希望を捨てるなと呼びかけているようなメッセージ性があります。もし最初のYoutubeリンクを聴いてない方がいたら是非聞いて欲しい、こんな駄文よりとにかく曲を聴いた方が早いのですが、この歌詞の世界がそのままサウンドになったような、まるで街灯の下で歌っているのをレコーディングしたかのような、完璧な曲に思えます。

 と、ここ何日か歌詞を訳したり文章を書いたりしていたが、自分はこのレコードを持っていなかった。それがついさっき行ったレコード屋さんに売っていて、そりゃ買うよね。これぞガイダンス。レコードの神様、三ノ輪Oldies But Goodies様、どうもありがとうございます!!



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