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山河令

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2021年11月の記事一覧

武侠ものの「走火入魔」とは?

武侠用語のひとつに「走火入魔」があります。多くのドラマでは、主に「気が暴走」と訳されていますが、いったいどういう状態なのでしょうか? まず中国語の辞書を引くと「熱中する」「夢中になる」と出てきますが、これは、武術や武侠ものにおいて武術を指す場合は該当しません。 それでは武術における走火入魔とはどんなものなのでしょうか? たとえば「気功」における走火入魔とは、修練(修行方法)を誤り、体内を流れる気脈が乱れ、心身の状態が乱れ健康を損ねることです。 武侠の武功でも大本はこれと

山河令「最終話」に向けての大事な伏線<後編>

この記事を読むには29話まで視聴済み推奨です (未見の場合ネタバレ要注意) <19話・龍淵閣編>・武庫を開けるには、五湖盟の持っていた瑠璃甲の他に、容炫の持っていた鍵が必要だった ・瑠璃甲と鍵は、秦懐章とその友人が旅路に集めてきたもので、古代の地下宮殿の鍵だった ・容炫と五湖盟の若手の仲間たちは武庫を設立しようとしていたが良い場所がなく、秦懐章が地下宮殿(ここでいう「地宮」とは必ずしも地下にあるわけではなく、地面を横からくり抜いて作った場合をも含みます)を提供し、それを龍雀

山河令「最終話」に向けての大事な伏線<前編>

この記事を読むには32話まで視聴済み推奨です (未見の場合ネタバレ要注意) 山河令・初回放映およびBlu-ray日本語字幕(および吹き替え)について。残念ながら字幕(や吹き替え)の宿命で仕方がない事とはいえ、字幕には字数制限があり(吹き替えにも時間制限があり)、翻訳字幕(や吹き替え)からだけの情報では「最終話」に向けての非常に大事な伏線がわかりにくいことを残念に思い、この記事に取り組みました。 筆者は、駆け出しの中国語初心者であり拙いスキルではありますが、优酷版の中国語字

山河令の「六合心法」とはどんな力か? 仙人なの? 不老不死なの?

※激しくネタバレなのでご注意ください! (最終話まで視聴済み推奨) 山河令の「六合心法」とはどんな力か?山河令19話の龍淵閣での会話によると、誰にも追随をゆるさない、武林最高峰の至高の武芸です。 そして最終話によると、六合心法を実践し成就すると身体の組織が作り変えられ不老長生になります。 しかしながら、山河令では(原作の天涯客でも)、繰り返し功力(武術の力)、神功(神がかった至高の武術)と表現されているので、あくまでも武術(功夫)の一種であり、決して仙術が使えるようになった