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DoA ジャンという男

 TRPG『Dead or AliCe』の大規模セッション、8組16名が参加するトーナメント制デスゲームに今年も参加しましたのでキャラメイク記事を書きます。

 今回はサプリメント『赤と白の鏡騒劇』で追加された末裔・高脅威度を使用するレギュレーションで、救世主と末裔のペアになります。
 ペア相手の巫女瓜さんが対戦相手をみんな石にする救世主をやるぞ!と嬉しそうにしているのを見つつ、私は末裔を作成です。
 お互いがどんな型にするかを決める中で、私は強力な愛型の技能である『救済』を邪魔できる才覚型向けのイモムシの末裔をチョイス。

 Dead or AliCeはさまざまな世界から招待状の力によって救世主を呼び寄せており、自分で考えた世界観からキャラクターを持ち込めるというのが魅力の一つになっています。
 いっぽうで末裔は舞台である堕落の国で生まれ育った存在です。荒廃し危険な亡者はびこる滅びかけの世界に点々と存在する集落で身を寄せ合うようにして暮らしていて、本来ならば特別な力もありません。いわゆるモブ的な存在です。

 なので、基本的には平凡な、その辺のキャラクターにするのがよかろうとまずは考えました(ペア相手のペペルさんが勇者キャラなので、なおさら一般人を強調したほうがよかろうと思いました)
 末裔たちは名称の通り、堕落の国の前身である『不思議の国のアリス』に出てきた登場人物たちの末裔で、その形質を身体的・精神的に受け継いでいます。イモムシの末裔は森の賢者と呼ばれるような存在で、隠れ里に寄せ集まって暮らし、水パイプをふかしながら相手を腐すようなことを言い続ける連中なわけです。

 その辺のキャラクターにするわけですので、最初はこのイモムシのキャラクターイメージに沿った性格にしようと思ったのですが、どうもそれだと面白くない。
 誰がどの末裔を選ぶかはデータに関わる情報で伏せられてるので、同じ末裔を選んでいた場合キャラがかぶる危険もある。
 しかも私は『不思議のアリス』に全然詳しくないので、イモムシらしさの精度で比べた時にこっちが負ける。困ったな。

 なので、まずは「むしろイモムシらしくないキャラの方がいいな」と考えました。
 ただ私は、種族で形質を受け継いでいる・性格の傾向がある、というのがけっこう好きは好きなので、「イモムシらしさはあるけどそれを嫌がっているキャラがいいな」となりました。

なんかディスコ読み直したら嘘ばっか書いてるな

 けっこう動かしてみないとわからなくて二転三転してます。キャラ性が。毎回動かしてみないと分からないです。

これは初期ジャン

 基本が決まったので、次は心の疵とかを決めます。
 まずひとつはさっき上で言った通りの『自種族への嫌悪』です。
 もうひとつですが、今回のデスゲームは優勝すると『救世主は元の世界に帰る』『末裔は救世主の力を得る』のふたつの賞品があります。
 ここはこの賞品めちゃくちゃ欲しいといいな、と思ったんで『救世主妄想』にしました。せっかくなので。

 救世主は堕落の国を救うために呼ばれて奇跡の力を与えられてる存在ですが、堕落の国は一向に救われず、末裔を殺す救世主みたいなのもいる始末です。救世主を呼ぶ力もいずれ尽きると言われており、デスゲーム『16JAcks』の舞台であるホテルは救世主への末裔たちの怨念によって作られた存在です。
 堕落の国を救世主は救わないし、救世主にはそもそも本来の世界があるんだから、堕落の国を救うモチベーションがあるのはむしろ末裔の方なのでは→末裔こそがこの国を救うべきなのでは→俺がこの国を救うべき存在なのでは!?
 相当論理的な思考を持ったキャラになりそうです。

 世界を救いたいと真面目に思うようなキャラなので、当然テクスチャは善寄りのキャラになります。
 ペア相手のペペルさんは臆病で逃走を疵にしているけど勇者として行動する子供だそうです。善良合わせですね(堕落の国では救世主は30日に1回救世主を殺さねばならないルールがありますね)

 善良なんですが、デスゲームに自分から参加してるので、戦う相手を亡者にしてしまったり、殺害してしまったり、他の末裔を蹴落としたり、ということは受け入れて、自分が救世主になるためにホテルに乗り込んできています。
 また、ペペルさんは勇者なのですが、本来は戦いたくない臆病で心優しい存在なんですね。30日ルールに従って殺すことも受け入れられておらず、頭の中では殺してないことになっているそうです。なるほどね……

 まあそういうところでもろもろ整合性を取っていってできたのがジャンという存在です。
 救世主になりたいということはおおむね善良でありたいという願いであって、必ずしも善良であることを意味せず、善良な存在でありたいと思い続けることは邪悪な行動の呼び水にもなるわけです。

 こっからはキャラメイクというよりはロールの話です。

 ジャンも最初は自分なりに覚悟を決めていたつもりなんですが、コインを揃えた救世主同士の互角の戦いの中でぺぺルさんが痛みに苦しみ、相手を罵り、怒りを放出して破綻しながら戦うのを見て、これでいいのか、みたいな気持ちや罪悪感というのが出てくるんですよね。見てるとシンプルに嫌な気持ちになるし。
 でも、ホテルに行ったら連続して戦い続けねばならない。
 ペペルさんと来て果たしてよかったのか、と思っても取り返しはつかないので、よかった、と思えるように軌道修正していかねばならない。ペペルさんが苦しんだり痛んだりしても傷ついたりする資格はない。だって犠牲にして世界を救うのだし。
 ジャンはぺぺルさんが勇者であろうとしないで救世主でもなかったらいいな、とも思っていたんだけど、それを言える立場ではもうなく、その話をペペルさんとすることももうできない。もう選ばなかったことだから。
 なので、あとはペペルさんにひたすら合わせながら戦わせるだけですね。だって話を聞いてぺぺルさんが万一決定的に戦えなくなったりしたら、ホテルの戦いには勝てず、救世主にはなれないから。働きかける資格はないな。
 まあ悪いことをしてる気分になるし苦しいです。
 そういう苦しみにどう耐えるかというと、目の前にめちゃくちゃいいロールモデルがあってですね。

 なんかガワが善良面白キャラなのもあってけっこう最初はみんなに辛がってもらえたんですが、ペペルさんの状態を受け入れて放置してホテルに来るキャラが善良なわけないんだよなと思って罪悪感がすごかったです(私の)
 途中で耐えきれなくなってどういうキャラかをディスコードでゲロって喚いていました。ゲロらなかった方がよかったかな。でもゲロらずにいられなくて。分かりづらいのが悪いんですが。
 最終的にかなり邪悪な存在に見えるようにEDを演出しましたが、そんな悪い奴ではないです(綺麗にオチをつけるなら殺すしかないなと思ったし、動かすのが本当にめちゃくちゃ嫌だったが…)ちょっと頭が回って、ちょっと使命感があって、ちょっと押しが強いくらいのふつうの少年ですね。
 だからみんなそんなに嫌がらなくていいんですよ。一番嫌がっていたのは間違いなく私。本当に嫌だった。こんな動かしてて嫌なキャラいない。

 ジャンが一番楽しかったのはホテルに来る前の、ペペルさんと一緒に堕落の国を回って世界が広がって人助けをしてる時だったろうし、2ヶ月で2回裁判をしてペペルさんと一緒に30日ルールを満たすのはかなりのストレスだったし、救世主をルールから解放し、この世界のあらゆる場所で起こる末裔の死を無くして、自分が世界を救いたいという(本来なら)不可能な妄想が招待状によって形を成したことでまあ何かがおかしくなった。
 それを他ならないペペルさんが責めてくれてよかったし、ペペルさんが最後まで覚悟を決められずに泣きながら石になってよかったし、ペペルさんを助けに戻ってきたかったし、罪悪感の根がいったん消えたわけなので、あとはペペルさんを助ければ少しは埋め合わせになるなと思ってかなりホッとしましたね(邪悪だな)まあ勝手に結んだ約束とか果たせず死んだので何もありません。

 世界を救う存在は愛する誰かを助けられたらそれでいいというものではなくて、むしろ愛する相手を優先することを否定して平等に扱う存在であるべきだとジャンは考えていたし、それは愛するものをむしろ積極的に犠牲にして痛みを負うことの一歩手前です。

 でも犠牲にされるものにも感情があり、言い分があるわけで、身勝手で恥知らずな思い込みに過ぎず、まさに救世主妄想なわけであります。
 ジャンの世界を救いたいという気持ちは本物だったし、あそこで生き残った誰かを見つけたら、躊躇いなく助けようとしたでしょう。

 もちろん、堕落の国において末裔は無力な存在ですから、助けられたかは怪しいところです。

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