Chief People Officerとして、人事制度をアップデートしたお話 〜設計編〜
みなさん、おはこんばんちは。iCARE社のChief People Officerやっとります、中野雄介です。
前回はChief People Officer就任に関するnoteを書きました。そうですね、例えるならばFIFAワールドカップ2022 日本vsドイツ戦くらいにハードルの高い一本ではあったんですが、スコアレスドローぐらいのぼちぼちの内容に纏めることはできたんではなかろうかと思います。
その就任後の次回作ということで、いくばくか肩の力を抜いて今回に臨んでおります。そうですね、例えるならばFIFAワールドカップ2022 日本vsコスタリカ戦くらいにリラックスできるような状態とでも言えるでしょうか。
そんな穏やかな状態で、今回はワシが現職に就いて最初に手掛けることになった人事制度(評価・等級・報酬制度)のアップデートについて、お話していきたいと思います。課題抽出から基本方針策定と具体部分の肉付けをしたのが6,7月、全社で運用を開始したのが8月、評価期間の1サイクルが回りきったのが10月ということで、一筆認めるにはちょうど頃合いでもあり、iCAREの新しい人事制度について今回はカタールまちがえた語ることにします。どうぞお楽しみください。
従来の課題
ワシがChief People Officerに就任した2022年7月当初、iCAREの人事制度は評価をされるメンバー側にも、評価をする側のマネジメント側にも混乱をきたすような危機的な状態でした。すでに明るみに出ていた課題もありましたが、社内でのヒアリングも経由する中で現状の課題の輪郭が見えてきまして、それが以下の3つでした。
①:仕事の成果と昇級/昇給の繋がりが見えない
仕事の成果に基づく成果評価と、iCAREが求める行動を定めたCredo/Valueに基づく行動評価を、四半期ごとに振り返る評価サイクルは板についていたものの、それらが昇級/昇給にどのように紐付いていくのかが不透明な状況でした。四半期の評価結果は過去の結果であり、給与というのは今後の活躍幅への期待を表すものなので、過去結果(成果評価・行動評価)から将来価値(基本給)への変換が上手く整備できていなかったことで、iCAREで働く納得感が持ちづらい状態となっていました。
②役職に就かなければ等級も給与も上がらない
従来は等級に役職が紐づくような設計になっていたため、リーダーやマネージャーといったポジションが空席にならなければ役職には就けず、等級も給与も上がらないという状態になっていました。ポジション数は組織のフェーズによって左右されるため、等級と給与をガンガン上げていきたいという野心的なメンバーが方向性を見出しづらい状態だったのです。
③専門人材の人事制度が存在しない
マネジメントポジションに上がっていくことのみを想定した単線型の人事制度に従来はなっていたのですが、iCAREにはエンジニアや産業看護職などの専門性を高めていきたい職種の方々も大勢います。そういったメンバーが、役職に就かず自身の専門性を伸ばすことで、組織に価値をもたらすスペシャリストとして大成していくことを受容できないような人事制度となっていました。
そんな具合に、当時正社員100名弱の会社ながらお恥ずかしいまでの人事制度になっていて、iCAREで働くメンバーたちが閉塞感を感じ、働く意義を感じづらい状況だったと思います。この点をいち早くなんとかしなければ、次の組織成長・事業成長はあり得ないと考えたワシは、Chief People Officerに就任することが決まってから、いの一番に人事制度のアップデートに手をつけたのでした。
人事制度アップデートの骨子
上記課題3つをシンプルでシャープに解決することを意識しながら、今回のアップデートの全体像を1枚のスライドに落とし込みました。社内で説明する際も「とりあえず一番覚えてほしいのはコレ!」とよく伝えていたりします。
この全体像がハブとなって、様々なディテールへと枝分かれをしていきますが、先述の課題をどのように解決していこうとしたかを順に説明していきます。
①仕事の成果と昇級/昇給の繋がりが見えない
→等級決定要因の明確化
1つ目の課題は、等級決定要因としてスキル詳細シートを導入することで解決を図りました。これは各部ごとに用意されていて、たとえばセールス部であれば営業スキル、開発部であればプログラミングスキルのレベル感が等級ごとに記載されています。各メンバーには四半期の仕事の成果を振り返った後、自身のスキル詳細シート上でどの等級のどのスキルが向上したかを示し、上長とすり合わせるという時間を設けてもらっています。
たとえば転職市場でもそうですが、オファーされた年収というのは「これくらいのスキルや経験を持っているから、入社後にこれくらいの成果を出してくれそう」という未来の期待値を込めて決定されるのが一般的です。その市場原理に従って、仕事の成果という過去の実績を将来価値を生み出し得るスキルに変換する作業を評価制度に加えたのです。この作業によって、自身のキャリアの現在地を知ることができるし、スキルが向上して昇級/昇給をする際にも納得感が出やすくなると考えました。また、iCAREで働くことで、今後どのようなスキルや経験を養っていきたいかを各メンバーが考えるキャリア設計の機会にも繋がると考えています。
②役職に就かなければ等級も給与も上がらない
→職務等級と役割等級を分離
2つ目の課題に対しては、職務等級と役割等級を分離する変更を加えました。職務等級は業務内容やスキルの格付けを表すものであり、役割等級は役職の格付けを表しています。たとえば、マーケティング実務の経験が豊富なマーケターであっても、役職者としてマネジメントスキルに秀でているかと言われたらそれは別問題であるため、区別したという次第です。これによって、組織のフェーズとして役職の空きポジションが無く、役割等級が無いメンバーでも職務等級を上げることで基本給をアップしていくことができるようになりました。
また、役割等級の導入に併せて、各役職に求められる役割・権限を一覧化し、どの役職はどの範囲まで裁量があるのか?役職ごとにどんな役割・権限の差があるのか?を明らかにするようにしました。社内昇格によって新しくリーダーやマネージャーに就くメンバーも多く、役割・権限がふわっとした状態だと役職者として自信を持った仕事がしづらくなるという実体験もあったため、このタイミングで明示化できて良かったと思っています。
③専門人材の人事制度が存在しない
→専門人材専用のスペシャリストコース(S職)の導入
いわゆる複線型人事制度と言われますが、一定層の等級以上において専門人材としても等級を上げていけるようにしました。以前から存在していたマネジメント職としてのM職に加えて、チームは持たず専門職として自身の成果を極限まで高めていくようなS職を新設したという次第です。
組織内でもまだ数は少ないですが、スペシャリストとしてキャリアを築いていきたいというメンバーが自信を持ってその道を進み、iCAREで輝けるようなフィールドが整備されたと感じています。
人事制度アップデートで一貫してこだわったこと
以上が人事制度のアップデートの要諦です。仔細な部分も含めて大幅な変更を加えたわけですが、各方面で一貫して伝え続けてきたのは、iCAREで働くことに対する方向性と納得感を持てる人事制度にしたいというシンプルなメッセージです。
このメッセージの背景には、Chief People Officerとして iCARE の多彩な才能が咲き誇るような理想の状態を実現する術こそが人事制度であると考えて、突き進んだ信念がありました。この新しい人事制度を通して、iCAREで働くメンバー全員には、働くひとの健康を創るプロフェッショナルとして、またキャリアアップを志す一人のビジネスマンとして、方向性と納得感を感じながら成長を遂げていってほしいと思っています。
そしてお知らせです
FIFAワールドカップ2022 日本vsコスタリカ戦くらいの位置づけにあたる今回のnote、いかがだったでしょうか?大盛況でしたよね、大盛況。
ちなみに今回紹介した人事制度アップデートは序章に過ぎず、運用・改善はもちろん、タレントマネジメント・組織開発への昇華など、本章はまだまだこれからです。そうですね、例えるならばFIFAワールドカップ2022 日本vsスペイン戦を今後控えており、その先の決勝トーナメントまでも緊張の連続であるとでも言ったところでしょうか。その眼前に広がる修羅道を、共に走り抜けていただける人事企画ポジションを募集しています。
iCAREのメンバーに輝いてもらうために。
そして、iCAREという組織をさらに高みへ導くために。
絶対に負けられない戦いが、ここにはある。
ご応募、お待ちしております。
※ちなみに日本vsスペイン戦が今週金曜日の朝4時だということを今しがた知ったので、夢の中で観戦することにしました。
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