日米軍事一体化ではなく東アジアにおける信頼醸成のビジョンこそ
特定秘密の無資格取り扱い問題見ても、それでも外部漏洩事案が自衛隊OB=先輩へのものだったということを見ても、秘密保護法は日米(+α)軍事一体化のためとしかやはり言いようがない。中国を仮想敵とした勇ましい言説は溢れているが、こういうことがセットで予言の自己成就的に緊張を高める。
セキュリティ・クリアランスとか武器輸出の規制緩和とかも、防衛産業にビジネスチャンスを与えて引き止めつつ官民一体の軍事的プレゼンスを増したいということで、原子力と似た構造になっている。それらが「安全保障」に資するかと言えば逆で、自らリスクを高めるもの。
「国家観」とか「国益」といった言葉を基本的には使わないのだが、あえて使えば「国」としての「自信」「プライド」が傷ついてきた中で、原因を外的脅威(安全保障環境の悪化、エネルギー安保への危機)に求めて「力(パワー)」にすがる。「力」にすがるのが先でそのために外的脅威を膨らませている。
むしろそういう勇ましい「国家観」がリスクを高め「国益」を損なう方向に突き進んでいるとしか思えない。自信を失う大きな要因である経済についても、米国に付き合う中で、防衛費が増大し、それは経済を守るよりも痛めるものとなる。原子力への投資継続もそう。ますます財政負担も国民負担も増える。
ここに外国人嫌悪・排斥主義も重なっている訳で、そういう「国家観」を抱き、あるいはその声高な主張に配慮することでますます「日本」は「縮んで」いくしかない。歪んだ「国益」主張は短期的には気が晴れるかもしれないが自滅的なものでしかない。
むしろね、安全保障の意味での東アジアにおける信頼醸成という議論が常に脇に追いやられ、中国や北朝鮮を包囲するブロックづくりという方向にますます進んでいる。東アジアにおける信頼醸成は数十年単位の歩みになるだろうが、既に10年、20年と空費してしまい、逆方向への歩みが急速に固められている。
これは私も実務的にかかわったのだけど、もう10年前なんだよな。リンクが切れているので「平和創造基本法案(草案)」は平岡さんのブログをご覧下さい。
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