トランプ銃撃事件について

トランプ銃撃。ヨーロッパなどでも政治家が殺傷される事件が相次いでいる中でのことでもあり、動機、背景はそれぞれであっても恐ろしいことだし、監視強化、セキュリタイゼーションが進んでも防げないということの矛盾も示している。それは安倍元総理銃撃、岸田総理襲撃もそう。

個人的な理由であれ組織的な理由であれ、政治あるいは政治家への不満や怒りが暴力に訴える形で行動化されるのは反民主主義的であり許されない。同時に、これは政治家に対してであれ、特定の団体・個人に対してであれ、バッシングを浴びせて黙らせようという暴力とも地続き。

トランプ氏の性格、やり方、現在の共和党の状況、またアメリカ大統領選の特徴からして、この銃撃事件が最大限利用されるだろうことは客観的な所感として当然出ること。実際、他の新聞等、有識者等もこのような見方を示しているし、共和党内からバイデン/民主党攻撃に利用する声が事件直後から上がっている。それを、藪中元外務次官の前段の発言は無視して膳場貴子さんの発言に焦点化し、かつリベラル、反安倍と結びつけて騒ぐことの危なさ。

トランプ銃撃の動機、背景はまだわからないし、犯人が殺害されており、解明は難航しうる。リベラル的な反トランプなのか(共和党で選挙登録した一方で民主党系への少額献金もあると報じられている)、トランプすら手ぬるいとする陰謀論者、極右なのか(オルトライトとする報道がある)、また違った政治的なものか、アメリカの昨今の状況を踏まえると様々な可能性が考えられる。

動機、背景が何であれ、ますます暴力を煽動、誘発しやすくなっているアメリカの言論状況、分断状況と何らかつながっているのだろうとは思う。そして、本人と支持者がそこにおける主要プレーヤーであるトランプが狙われたということが、この状況の制御不能ぶりを表しているとすら言えるかもしれない。

トランプ銃撃事件を都合のよい文脈に置く形で安倍銃撃事件(や岸田襲撃事件)と結びつけて気に食わない側を叩くのに利用するポストが溢れていて、これもまた以上述べてきたような暴力と地続きだと暗澹たる気持ちになっている。

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