東京都の困難女性支援法基本計画検討への懸念

第1回検討委資料

第2回検討委資料

都の困難女性支援法基本計画の検討委の資料を改めて見ているが、行政と民間が「対等な立場で協働」という基本方針の趣旨が、行政機関が主で、民間団体が従=便利な手足と変質する懸念。第1、2回は行政施策の説明が多くを占め、第3回で民間団体ヒアリング、第4回で訪問ヒアリング報告と同時に計画素案。

この計画体系案や他の資料を突き合わせてみると、民間団体ヒアリングは言わばコラム的な活動紹介の素材となり(第1章)、アリバイ的に第2章で民間団体との連携が唱えられ、行政の側の認識や仕事のやり方は従来通りという形になり得る。

困難女性支援法における官民協働は基本方針(下記)に明確だが、単にプレーヤーが増えるとか行政の手足が増えるということではなく、女性のニーズを中心に据えその多様なニーズに的確に応えるべく、官民が対等な役割を担い、画一・硬直を排して柔軟かつ創造的に連携していくことが求められている。

でも、検討委の資料を読む限り、行政のやり方を従来の延長線上でちょっと見直すだけのことが都の基本計画の主軸になりそうな気配がある。困難女性支援法の先行モデルの意味もある若年被害女性等支援事業も施策説明で軽く触れられるに留まり、どう総括し基本計画に反映させるかという視点がまずない。

トー横や大久保公園(=「路上売春」)で警察が前に出てきていて、相談・支援につなぐ取り組みもアピールするのは示唆的で、本来は民間団体が前に出て直接の接点になり警察は後方に回って安全確保やトラブル対応の役割を担うのが筋だ。懲罰的アプローチを取らない困難女性支援法と残る売防法等が矛盾。

そもそも女性相談センターへの電話相談は増えている一方で一時保護は減少傾向であるし、婦人保護施設入所となるとさらに目詰まりが見られる。基本方針にある通り一時保護を前置しない直接入所、そこにおける民間団体との連携は必須。

多様な背景を持ち、様々な困難を抱えた女性がいて、だから多様な担い手と間口があって、相談・保護・支援のルートの選択肢があり柔軟に対応がなされるということが肝心。現場となるのは各地域なのだからまず都道府県基本計画に魂が入らないと。

困難女性支援法の肝である官民連携・協働に暇空問題が影を落とすことは当然あってはならないのだけど、開示請求・住民監査請求・住民訴訟が使われ、議員やメディアなども乗っかって長期的な大騒動にされてしまったことで、都が萎縮していないか、キャパが削がれていないかが懸念。正念場。

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