血溜まりの中で

濁った血の塊が水の中に吸い込まれていくのを眺めていた。
鈍痛がする。
悴んだ指に力は入らない。

人によって症状がバラバラなのでただの仮説でしかないが、物理的な痛みと精神的な苦しみのどちらかがいつも襲いかかる。
しかし今回は「どちらか」というか「どちらも」ではないか。
そんなことを考えながら朦朧とする意識を引き留めた。

月に代わったお仕置きなのか、月の者の攻撃は容赦がない。
私が何をしたと言うのか。
そう思いながらいつも戦っている。
いや、踊らされていると言った方が正しいのかもしれない。

ボロボロの身体とボロボロの心で立ち向かうには心許なく、一人さめざめと泣くのが常なので一方的にやられていると言っても過言ではないが、そんな自分についてふと考えると、そもそも人と向き合わないからではないかと思い至った。

人と向き合うのは怖い。
自分の駄目さ加減が明らかになる。
他人と比較しなければ自分が一番でいられるし、文句を言われることもないのに、人目に晒されると途端に有る事無い事言われ精神が崩壊してしまう。
かなり脆弱な精神なのだ。
だから一人がいい。
そう思っているのに一人は寂しいと思ってしまう。
人間は面倒臭い生き物だ。

そんなわけで何に対しても人の評価を恐れ、人と対峙することをしてこなかったので一人さめざめと泣いているのではないかと思った。
いつまでも駄目さ加減から目を背けるわけにはいかない。

血溜まりの中で立ち上がった。
今度こそ立ち向かうぞ、と。

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