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美術・アート・文化系の記事

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実際に訪れた美術展の感想や調べたことなどについて書いた記事をまとめました^ ^
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#展覧会レビュー

光と色をもとめたマティスの生涯 マティス展後記② 色鮮やかなアトリエとロザリオ礼拝堂

北フランスの「灰色の地」で育ち、47歳でようやく自身の桃源郷ともいえる温かく色鮮やかなニースに辿り着いたマティス。戦争にもみまわれた晩年はどのように過ごしたのでしょうか。 晩年のマティス ー 戦争から逃げそこねて もともとあまり体の丈夫でなかったマティスは、1931年から約3年かけて大型パネル作品である『ダンス』を完成させた後、疲労のためか、しばらく寡作の時期が続きます。この後、1937年に入院したマティスは、翌年からホテル=レジーナに居を移し、そこにアトリエを構えました

光と色をもとめたマティスの生涯 マティス展後記① “灰色の地“からニースへ

先日、上野の東京都美術館で開催されているマティス展に行ってきました。 「色彩の魔術師」という異名をもつマティス。 今回のマティス展は大回顧展というだけあって最初期の作品から晩年のロザリオ礼拝堂まで網羅されており、年を追うごとに作品がより大胆で鮮やかになっていく様子がうかがえました。 中でも、1905年に「野獣派」として議論を呼んだフォービスム作品が、第一次世界大戦中の苦しい探究の時代をへて、1920年代に鮮やかな室内画として開花する様が印象的です。 ところで、この華やか