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ちびとぼくの夏休み

8月、夏真っ盛り。今年も猛暑・・・いや酷暑だった。

そんな暑い日々の中、小学生は夏休みを満喫している時分だ。

うちのちびは10歳と6ヶ月で、夏休みのお出かけを今か今かとうずうずしていた。まぁ、ちびと行っても背は高い方なのでもうちびではないのだが・・・ここではちびというあだ名で呼ばせてもらうことにしよう。

夏といえばお祭り、海水浴、花火、ラムネ。僕は夏の写真を撮りたくて、ちびは目一杯遊びたい。

利害は一致した。

ちびの夏休みのはじめは、8月最初にPTAのみなさまに催された小学校の夏祭り。

行ける日が平日の夜だったので僕は仕事帰りに覗きにいった。

一旦家に顔を出したんだけど、「ちびが帰って着たらすぐ来てって言ってた」と伝えられた。

・・・財布に来て欲しいんだな、とニヤリと笑う。

小学校につき、ちびを探す。

なんとなく出店の方向に歩いてると、早速、友達と歩く浴衣のちびを発見。

黒ずくめの組織の如く背後から近づくと、すぐにこちらを振り返るちび。

「あ!100円ちょうだい!」

第一声はそれだった。

お菓子がもらえる的当てをしたかったらしい。

出店をうろうろしていると、盆踊りをやるから参加する人は集まれ〜とアナウンスがかかる。

急いで駆けていくちびと友達。

盆踊りに参加すると、出店で使える100円券がもらえるのだ。

ちびっこはよく知っている。

ちびはその100円券を使って冷やしうどんを買っていた。

彼女らは楽しみに楽しみ、お祭りが終わる21時まで存分に遊んでいた。


翌週、ちびが行きたいとずっと言っていた琵琶湖に出かけた。

その日はお盆休みの始まりで、帰省ラッシュの渋滞が凄かった。

なんとか昼過ぎに琵琶湖にたどり着くと、待ちきれないちびは「琵琶湖入っていい!?」とうずうず。

そう、ちびはこの日すでにワンピースの下に水着を着込んでいたのだ。

どんだけ楽しみやってん。笑。

一生懸命に浮き輪を膨らまし、水に入る。

僕はお腹が空きすぎていたのでご飯を食べながらちびを見守る。

写真には写していないが、周りには結構遊泳している人がいた。

ごはんを食べながら望遠レンズで少女を撮る僕はそれはもう怪しいおじさんだっただろう。

ぼく、めげない。

ちびからの「はやく来て!」と再三の呼び出しに、僕はおにぎりを素早く咀嚼しお茶で流し込んだ。

着替えを済ませ、水に入る。

さすが猛暑。水は冷たいというよりも温水だった。

僕らが行った場所は遠浅で、カメラを持ったままでも水に入ることができた。

淡水だから海水ほど怖くないし、心にも余裕がある。

カメラを置いて来て、ちびと水中追いかけっこや水のかけあいをして遊んだ。

浮き輪を借りて、ぷかぷかと波に揺られるのが気持ちよかった。

「ねぇねぇ手かして」

よくわからずに手を出すと、僕の右手を使ってなぜか魚を捕まえようとする。

「いや無理やろ」

「だって自分の手で捕まえるのは気持ち悪いんだもん」

いやいや、ぼくも生魚はやだよ。生臭くなるもん。

それに他人の手を使って捕まえられるわけないじゃん!

「あーもー!ちゃんと握ってないから〜!」

なぜか怒られる。

そんな風に遊んでいると、日が暮れて来た。

夕日を背に泳ぐちびがフォトジェニックだった。

水飛沫がエモーショナル。

「ちょっとやってほしいことがあるんだけど」

夕焼けの琵琶湖で撮りたいものがあったのだ。

「何?」

「髪の毛を水につけてバッシャーってやってほしい。パンテーンみたいな」

「あぁ!いいよ」

通じた。

パンテーンすごい。

そして、何気にちびは髪の毛水ばしゃーが上手かった。

夕焼け空、沈む太陽に照らされて煌めく水しぶき、ちびのシルエット。

完璧だ。

夕日が沈みきる前に、水から上がって着替える。

遊泳が終わったら花火をしようと話をしていたのだ。

まるで小さな魔法使いのようだ。

長持ちの手持ち花火を選んで楽しむちび。

最後に線香花火をして、この日は遊び終えた。

帰りも少し渋滞したが、遊び疲れたちびはぐっすりと眠っていて、気がつけば家についていたことだろう。

またある日。

その日は田舎の花火大会に行った。

花火は少し望遠気味で撮りたかったので、会場からは少し離れた場所に車を止めた。

ちびが出店を見たいと行ったので、花火の会場へ向かう。

田園風景と青空がノスタルジックだ。

出店の会場に着くなり、モデル料としてチョコバナナを要求される。

冷えていて美味しかったらしい。

ちびっこは総じてお祭りが好きだ。

そして、大人と一緒に行くのが大好きだ。

際限なく買ってもらえると思っているからだ。

そして金魚掬いが大好きなちび。

チョコバナナを食べ終え、金魚掬いの屋台に引っ張って行かれる。

なんか、上手くなってきている・・・。

僕が子供の頃は、金魚掬い好きだったかなぁ。

もう覚えていないな。

祇園祭で父にブリキの船とカエルのおもちゃを買ってもらったのがすごく嬉しくて、それは今でも覚えている。

そんなこんな思いながら、田んぼの近くに戻ってちびとおやつを食べながら花火の時間を待つ。

開始時間の直前に、クーラーボックスからラムネを取り出す。

「花火見ながらラムネ飲んでくれへん?」

「しょうがないなー」

ちびはラムネが好きなので、二つ返事だ。

花火は見事の一言だった。

夜空に上がる花火を見上げ、ラムネをぐいっと飲む。

これ以上ない夏だ・・・。

ラムネを飲みながら花火を撮らせてもらったのは僕のエゴだけど、ちゃんと本人も楽しんでくれたようで安心した。

やっぱり打ち上げ花火は近くで見ると迫力がすごいね。

会場から少し離れてるとはいえ大きくて音も凄かったよ。

周りの混雑も会場ほどじゃないし、かなりいい場所で見られた。

帰りの渋滞は凄かったけど、何とか無事に家に帰りつけた。

これにて今年の夏、ちびとのお出かけは終わり。

来年の夏も一緒に遊んでくれたらいいんだけれど。

ほら、10歳ってオトシゴロだから。

まぁ遊ぶの大好きな子だから大丈夫だとは思うけどね。

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