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飛翔

シューマン 幻想小曲集
飛翔 Op.12-2


この曲は昔ピアノを習っていた時に
先生が何度か発表会に弾く曲の候補として
弾いて見せてくれた記憶がある程度で、
実際には弾くことは無かったので
旋律も冒頭部分しか知らなかった曲。
だけど改めてシューマンと
その妻クララのロマンスを御復習いしてみると、
この曲は短い小品ながらも
複雑な感情が表現されている様で興味深い。

ブラームスの恋もなかなか
辛いものだった様だけど、
旦那さんであるシューマンとクララの恋も
決して順調ではなかったらしい。
シューマン自身のピアノの師匠でもある
クララの父親ヴィークに結婚を反対され、
裁判まで起こして闘いながら、
クララと結婚するために
意欲的に作曲活動を続けていた頃の曲。
二人は引き裂かれながらも、
シューマンはピアニストであるクララに
弾いてもらうために作曲し、
クララは各地の公演先で
シューマンの曲を演奏してまわる日々を
過ごしていたらしい。
クララはシューマンやブラームスだけでなく、
ショパン、リストからも絶賛されたほどの
天才ピアニストだったそうだ。

完璧なテクニックと規律正しい演奏によってのみ芸術の本質が証明される

厳格な音楽観を持つ父に、幼い頃から
演奏技術の全てを注ぎ込まれたクララは、
力強く、知性的に、正確に」演奏をすると
評判だったらしい。
彼女は当時未だ男社会だった音楽界で、
女性でありながら堂々と大胆に演奏を披露して
人々を魅了したのだろうと思う。
シューマンやブラームスが彼女に捧げた曲は、
そんな彼女が弾くに相応しく、
どこか低音が効いていて、
ダイナミックなのにロマンチックに
聴こえる気がする。

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