放置ウマ娘

 ここ最近、ウマ娘プリティーダービーというソシャゲをプレイしている。どういうゲームかはご存じの方も多いと思うので割愛するが、ざっくばらんなジャンルとしては『育成シミュレーション』に位置付けされる。
 ソシャゲには、大抵『スタミナ』の概念が存在する。それはゲームをプレイする際に消費される疑似的なクレジットのようなもので、基本的には時間で回復する。ウマ娘でいうところの『TP(トレーナーポイント)』がそれだ。TPの場合は10分で1回復する仕様になっていて、育成モードをプレイする際に30TPが消費される仕組みになっている。もちろん、回復するといっても無限に回復し続けるわけでは無くて、100まで貯まるとそれ以降は溢れてしまう。
 つまり、育成を効率的に進めるのであれば、TPが100貯まる前に育成モードをプレイし、随時溢れないようにTPを消費していく必要がある。これは、24時間ゲームが出来る環境にいる者なら何の問題もないが、仕事がある人はそうもいかない。
 そこで『前日寝る前に可能な限りTPを消費しておく』というテクニックがある。TPが0から100に貯まるで16時間程度掛かる計算になるので、深夜0時の時点でTPを0にしておけば、TPが100を超え溢れ出すのは次の日の夕方からになる。これによって、被害を最小限に抑えられる。
 しかし、これにはある欠点がある。
 寝る前に育成モードをプレイするわけなので、非常に眠くなる。実質寝ているケースも多々ある。
 いわゆる『寝落ち』というわけだ。
 プレイヤーはいい。ぐっすり寝られて、精々寝違えるリスクが発生する程度で済む。
 問題はゲームの中のウマ娘達だ。プレイヤーに寝られてしまうと、彼女らは見動きが出来なくなる。朝まで指示を待ち続ける地獄が始まるのだ。
 特にレース前なんかは最悪で、その日のレースに向けて事前にコンディションを整えてきたのに、いざレース会場に来てみればパドックで8時間近く待機を強いられるのだ。それまで調整してきたすべてがオジャンだ。もしかしたら、シビレを切らして隣のウマ娘と愚痴大会でも始まるかもしれない。それでいて、プレイヤーが目を覚ませば何気ない顔で走り、レース結果に一喜一憂しなければならない。紛う方なき名女優である。

 オリンピックの開会式は、参加する選手がボディチェック等々で長く待たされる事が問題になっている。特に、今年に関しては感染症のチェックなども含め、10時間以上の待機もざらだろう。それでいて、入場が始まれば全世界でテレビ中継されるわけだから、不機嫌な顔も出来ない。寝落ちされたウマ娘のリアル版ともいえる。にも関わらず、楽しそうにはしゃぎ、心の底から開会式を歓ぶ各国アスリート達は本当に素晴らしい人達だな、と思いました。

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