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変なとこ探し 〜詐欺メールを楽しむ〜

銀行名やカード会社、Amazon、Googleなどを語ったメールが日に何通かくる。大抵は「あなたの名前で取引があったが大丈夫か?確認のためこちらに↓」的な内容だ。要するに、こちらに覚えのないことを提示して不安にさせ、リンク先に誘導しようとする…ぜったいにクリックしてはいけない!詐欺メールだ。

何年か前のこと、一度だけ危なかったことがある。

あるカードに申し込んだばかりで、そのカード会社の名前で「本日不正利用があったかもしれないのでご連絡を」というメールが届いていた。朝起きてメールに気づいたので、一夜明けるまでに何か大きな被害があったかもしれないと不安になって、リンクをクリックした。繋がった先は文字や記号の羅列ばかりの奇妙なサイトだった。「あ、これはちがう!」急カーブをきって違う不安が私を襲った。

「やばいかも。コンピュータウイルスを取り込む奴に引っかかった??」

詐欺メールを大別すると「騙してお金や情報ををとるもの」と「悪意ある悪戯をするもの」にわけられるようだとは知っていた。どうにも意味が読めない文字の羅列に慌ててインターネットを切ったが、これはウイルスを送り込む系だと思った。もはや私のpcは感染してしまい、自分の個人データばかりか友人たちのメールアドレスなども相手に送信されてしまっているかもしれなかった。どうしよう???息が止まりそう、とはこのことだった。

夫は某通信会社の研究員だった人だ。「どうしよう、やられたかも!」私の叫び声に対して、彼はわりと呑気だった。「Macだから大丈夫じゃないかと思うけどね」それでもいろいろ調べてくれて、特に問題は起こっていないことがわかった。ふーっ;; (でも、Macはウイルスに感染しないというのは、もはや一昔前の常識だそうです。敵も進化しているので。ご注意ください!!)

ただ、やはりカードのことが心配ではあったので、実際にカード会社に電話をして確認もしてみた。やはり特に問題は発生しておらず、「とてもよく作られた詐欺メールが横行しているのでご注意くださいね」と言われた。「ちなみに、そのメールの送信時刻何時になっていますか?」「えーと(深夜の)2:35ですね」「日本の会社は…少なくとも我が社からはそうしたお時間にお客様にご連絡することはあり得ません。見極める最初のポイントはそこかな、と思います」

なるほど!いいことを聞いた。よく考えたら当たり前のことだが、気づかなかった。

ヒヤッとする思いをしたのにもかかわらず、私はそれからちょっと、悪趣味な真似をはじめてしまった。

夜中に企業名で届くメールはまず詐欺である。それですぐ排除できるものがいくつかある。けれどもそうしたメールは意外と時間を選ばずにくる。日中の詐欺メールはどう判断するか…うっかりリンクを踏んでしまわないように注意しながら、中を読んでみる。そうすると…結構笑えるのだ。

◆「〇〇銀行よりお知らせします…身の知らないご入金である場合直ちに下記にアクセスし…」 ⇨ 「身の知らない」?こういう日本語は私は知らない。

◆「このたび、ご本人様のご利用かどうか…ご確認のないままの場合今後のお取引の制限を警告いたします」 ⇨ 「警告」なんていうキッツイ言葉をお客先にしてくる企業はまずないと思う。

◆「カード情報の更新ができませんでした…今アカウントを確認するここで」 ⇨ Now check your account here かなあ。翻訳ソフトもお利口にはなってきたけど、誰でもいいから日本人に読んでもらってから送ればいいのに。

◆お客様への確認、入金のお知らせ、などという同じタイトルの同じ文章のメールが〇〇銀行、××銀行、△△カードなど数社から届く ⇨ 内容だけを見るとそれほど破綻はないのだけれど、取引のない銀行からも同じ文面が来ていてはね。


変な言い方だけれど、近頃の詐欺メールは非常によくできている。敬語なども使った(いくらか過剰気味だが)それらしい文章が送られてくる。それぞれの会社のロゴやテーマカラーなどを使ったものもある。しかも「詐欺メールが横行しております。ご注意ください」なんて注意書きや公正取引委員会©︎なんていうのがついてたりもする。

私のアドレスは短くて単純なので(30年近く以前につくったからね)ランダムで作成される無差別送信に捕まってしまいやすいのだろうと思う。世界のどこかからやってくる詐欺メール…ちょっと悪趣味ではあるが、密かな楽しみにしていることを告白する。

卑怯な真似を許してはいけない!でも、終わらないよね、これって。嫌な思いと一緒に嫌なメールも笑ってゴミ箱へ、ぽい。

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