『いみいみ』10月30日12:00の回のご感想

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まず、いい劇場だなと思いました。そもそもこんなに役者の近くで劇を観られるのが久しぶりで、緊張感がお芝居に集中させてくれました。一面真っ白の、出入り口も塞がれた小さな部屋が、役者の話す全てを閉じ込め、反響させて、何倍にもして客にぶつけてくるようでした。

放たれた「意味」たちが部屋を温めて詰まっていくようで、それだけに部屋のドアが開け放たれたとき、その緊張がいくらかほぐれてしまったように思いました。「女は部屋を出ていく」が印象的な分、それ以降で観る側の集中が弱まってしまったかもしれません。

役者さんの演技は圧巻でした。袖も舞台裏もない、ある意味逃げ場のない一人芝居というのは、役と役者の融合の深度をあれほど高めていってしまうものなんですね。全ての動きに意図と意識が行き届いていて、身体をものにしているすごいパフォーマーだと思いました。ふだん何気なく見逃している「こと」や「もの」が、突然「いみ」になって襲いかかってくる恐ろしさ。「自分」の不確かさ、いろいろなものが刺さってくる話でした。

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