相手が変わることはありません。 あなたが変わるしかないのです!

「発達障害とカサンドラを考える」
副題は「生きづらさを抱える人に身近にいる人も•••••」だったと思う。
講演会イベント当日。ソワソワしながら、アパートを早く出て会場に45分前に着いたら、すでに高齢のおばさんと若い女性の2人組が、きれいな会議室のドア前に並んでいた。この人たちもカサンドラなんだろうか?親子?一緒についてきてくれるなんていいな。それとも、子供達も発達障害を抱えてるのかな?などと思いを巡らせる。

とはいえ、予約をしていない身なので、現地を離れることなくしっかり立って待った。入れなかったら入れなかったでその時だ。ダメ元だ。ダメなら、この会場の入ってる新築ビルのファッションフロアーで、パンツかなんか、「ここまで来れただけでもえらいよ、自分」と言いながら、ご褒美を買ってあげようと思い、ひたすら待った。

途中、トイレと自動販売機に「午後の紅茶」を買いに行った。2回、列を離れたわけだが、親子連れ以外は誰も増えてなかった。だって、予約制だもの。
そして、ついに、会場の会議室のドアが10分くらい前に開いた。前に並んでた親子連れが入っていった。コロナの直前だったので、ぞろぞろと会場に集まってきた予約をしていた人たちが、名前を言って一斉に入っていく。80名くらいの会場は一気に埋まっていった。

「どうしよう・・・」

私はしばし怯み、列を離れていたが、せっかくここまで来たんだからと勇気を出して、優しそうな公共機関のスタッフの人に声をかけた。
「すいません。予約はしてないんですが先着順と思って来てしまいました」
間違えたふりをして聞いてみた。すると、声をかけた人がよかったのだろう。公的機関にありがちな、融通の利かない対応ではなく、
「たぶん、欠席されてる人もいると思うので、入ってもらってもいいですよ」
と会議室に入れてくれた。私は心の中で「ウォッシャー!」と握り拳を作って喜んだ。だって、それくらい、出かけて来るだけでも大変なんだもの。私は。

会場はほぼ満席。来ていた人達は、発達障害やカサンドラの当事者も多かったと思うのだが、学びに来ている支援者みたいな人もかなりいた。緊張感も増してきたが、「カサンドラ」という言葉で、こんなに人が集まるんだということにも正直驚いた。
しかし、もっと驚いたのが、講演者が登壇して開口一番に言った言葉だった。

「相手は変わることはありません。あなたが変わるしかないのです」

えー‼︎‼︎
こんなに心身ともに疲れ果て、重い身体をひきずって、バスと電車を乗りついで、救いを求めに来たというのに・・・。

私は膝からガクっと崩れ落ちた。いや、実際にはオレンジの椅子に座っていたから、崩れ落ちてはいないのだけど、心の中の膝が完全に崩れ落ちた。その言葉は、当時の私には衝撃的すぎた。その後、2時間にわたり、発達障害の具体的な話などがなされたのだが、私の頭には何も入って来なかった。今も思い出せない。私の頭はこんな思いで一杯だったからだ。

「こんなに今まで頑張って来たのに、これ以上、何をせぇっちゅうの!?」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?