自分を楽しませていいんだよ‼︎

35歳と3ヶ月(自称)。大雨の来る前の低気圧の遊歩道を、いつものように柴犬と歩いていたとき、私は突然、気づいてしまった。

「あ、なんだ!
   自分を楽しませるのは、自分だったんだ。」

雨の気配、夕方、寒い風、一人で食べる夕食。
憂鬱な気分になる要素はいくらでもあった。
そこで、その気分に流されていく自分を想像するのは簡単だった。

でも、その日はあえて、いつもは行かない道を歩いてみた。わずか5分ほど経った頃、右上にキラキラしているモノが目に入った。看板、いや、道路標識だ。市の標識が変わったのだ。私と柴犬は隣の市との境目に来ていた。

「C市は、こんなに近くにあったんだな。」

ブルートゥスイヤホンから流れるラジオを聴きながら、私たちはUターンし、帰り道を歩いた。そして、私は誰もいないのをいいことにスキップをしてみた。

1回、2回、3回.....33回まで数えた時、暗闇から、サッカーの練習を終え、自転車で帰宅しようとする少年たちが出てきた。いったん、足を止め、草を匂う柴犬を待つような仕草でやり過ごし、ちょっと歩いてから、また、スキップしてみた。

「なんだか気持ちいい。身体がぽかぽかする。」

行きとは、ほんの少し、気分がちがっていた。

「なんだ、自分を楽しませてあげられるのって、誰でも無く、自分なんだな」

部屋に着いた私は、すぐに服を脱ぎ捨て、お風呂に入った。柴犬が笑いながら、お風呂を覗きに来た。


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