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唐揚げと恋バナ【女性サシ劇】

ただただ女性二人が、居酒屋で飲んで食べて雑談するだけ。

・ユイ 成人女性。彼氏無し
・ミオ 成人女性。彼氏あり

高頻度で「良い」が出てきますが
「いい」でも「よい」でもノリや雰囲気でどちらでも。

「良き」は「よき」です。

アドリブは世界観を壊さない程度にお好きにどうぞ。
方言も可。
食べながらでも可。

声劇台本置き場様にも置いてます。
やりやすい方でどうぞ。
https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/4070

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ユイ、タッチパネルを叩く

ユイ「唐揚げ…。ねえ、普通の唐揚げと軟骨の唐揚げどっちがいいかな?」

ミオ「どっちでも良いけど…好きなほうに(しなよ)」

ユイ「いや。二つ頼もう」 

ミオ「え?」 

ユイ「あと…ポ〜テ〜ト…っと…ポテトポテト…どこだ」

ミオ「揚げ物以外も欲しいんだけど」

ユイ「ちょい待ってね…揚げ物以外って?」

ミオ「うーん、それ貸して」 

ユイ「ポテト…1と…。はい」

ミオ「ありがとう」

ユイ「焼きそば?」

ミオ「唐揚げにポテトに焼きそばって文化祭じゃん。お祭りとか学生メシじゃん…」

ユイ「鶏軟骨は大人感かもし出してると思うけど」

ミオ「そうかぁ?」

ユイ「で、何にすんの?」

ミオ「やっぱこれっしょ…たこわさ…エイヒレ」

ユイ「だし巻き卵もいかない?」

ミオ「どっち味?」

ユイ「あーチーズいいな」

ミオ「じゃあチーズ…よし。ひとまずこれで…送信」

ユイ「注文完了〜。後は飲みながら待つだけ」

ミオ「ほい、乾杯」

ミオ、カチンと自分のジョッキをユイの置いてるジョッキにぶつける。

ユイ「ざつい(笑)」

二人思い思いに飲む。

ミオ「でー?」

ユイ「ん?」

ミオ「今日はどした?」

ユイ「え?何が?」

ミオ「飲みたい!てLINEしてきたじゃん。何かぶちまけたいんじゃないの?」

ユイ「は?」

ミオ「ん?」

ユイ「いや、そのまんまなんだけど」

ミオ「え?」

ユイ「飲みたいーて、ただそのまんま」

ミオ「はぁ?」

ユイ「何かさ、久々に飲んで、これぞ居酒屋!みたいなご飯、食べたかっただけなんだけど」

ミオ「…まじかー」

ユイ「まじだなー」

ミオ「そっかぁ」

ユイ「なんで残念そうなんだよ」

ミオ「いやー愚痴聞くテンションだったからさ」

ユイ「なんじゃそりゃ…あ」

店員がたこわさとエイヒレを運んでくる。

ユイ「あ。ありがとうございます」

ミオ「ありがとうございます」

店員が去った後、ユイがたこわさの皿をミオの前に押す。

ユイ「ほーい。たこわさ食べらんないから全部どーぞ」

ミオ「あ、ユイこれ嫌いだったっけ」

ユイ「です」

ミオ「じゃあ全部食べちゃうね」

ユイ「エイヒレは食べるー」

ミオ「おう。食え食え」

ユイ「ミオは何かないの?」

ミオ「あん?」

ユイ「愚痴〜」

ミオ「愚痴かぁ…そうだなぁ…まあ無いわけじゃ…て、あ、料理来た」

店員が残りの料理を運んでくる。

ミオ「ああ、ありがとうございます」

ユイ「ありがとうございまーす。はーい」

店員去る。

ユイ「全部来た!よっし食べよ食べよ」

ミオ「たまごやきー♪」

ユイ「チーズの量がなかなかに罪深いね」

ミオ「良いねー」

ユイ「たまらんねー。あ、お酒おかわりしよ」

ミオ「あ、梅酒ロック入れといて」

ユイ「おけー。梅酒ロック…と。私何にしよう。焼酎とか行くか?」

ミオ「あんた焼酎飲めたっけ?」

ユイ「んにゃ。飲めぬ。苦手だわ」

ミオ「じゃあ何で選ぼうとしてんだよ」

ユイ「ワンランク、アップを目指して」

ミオ「意味わからん」

ユイ「こんなときじゃないと挑戦できないじゃん?職場の飲み会で試すわけにもいかないし、一人じゃわざわざ頼まないし」

ミオ「あっそ。無理して飲む必要ないとは思うけど」

ユイ「飲めるようにはなりたいんだよね」

ミオ「うーん…まあわからん事もないかな」

ユイ「あるよね」

ミオ「まあね。こんな風に飲めたら…とかあるね」

ユイ「二階堂行こう二階堂…よっしゃ」

ミオ「私もあとでワイン頼もうかなぁ」

ユイ「おお、良いねー。どうせなら白と赤で頼む?」

ミオ「唐揚げにはこちらですね…とかやっちゃう?」

ユイ「だし巻き卵のほのかな甘味にはこちらですね」

ミオ「濃厚なチーズにはやはりこちらです」

ユイ「こちらしか言ってない(笑う)」

ミオ「どちら様だよ(笑う)」

二人一緒に笑う。 

ユイ「じゃあもう頼むか」

ミオ「あれ?二階堂は?」

ユイ「そっちも頼むー。えっと…赤と白…グラスワインのほう、それぞれ二つで良いよね」

ミオ「いいよー。ユイあんた三杯じゃん」

ユイ「しかも飲めるかわからんものを」

ミオ「飲めよ」

ユイ「飲むよ。そりゃもう頑張って」

ミオ「おう。頑張れ」

ユイ「いや、頑張らない」

ミオ「どっちだよ」

ユイ「程良く頑張る」

ミオ「どんな飲み方よ」

ユイ「知らん。適当に言った」

ミオ「でしょうねー。あ、私も梅酒あるから三杯だ」

ユイ「頑張れよ」

ミオ「梅酒は普通に飲めるから」

ユイ「唐揚げうまー…」

ミオ「ポテトってマヨつけると美味しいよねー」

しばらく飲んだり食べたり。

ユイ「…で」

ミオ「ん?」

ユイ「愚痴」

ミオ「…ああ」

ユイ「何かある?」

ミオ「愚痴なぁー」

ユイ「無いの?」

ミオ「そりゃ、無いわけじゃ無いけど…これと言って、そんなにパンパンになっても無いからなぁ。ユイこそどうなのさ?」

ユイ「愚痴なぁー…そりゃ人生愚痴だらけですけども」

ミオ「愚痴だらけなんかい」

ユイ「そりゃそうでしょーよ。え?ミオは違うの?」

ミオ「いや、愚痴だらけ」

ユイ「ほれみろ」

ミオ「そりゃそうでしょーよ」

ユイ「とりあえず私は…良い恋愛がしたい」

ミオ「唐突だな」

ユイ「少しくらい人生に彩りが欲しい」

ミオ「彩りかぁ。趣味で良いじゃん」

ユイ「それはあれかい?彼氏持ちの余裕てやつかい?」

ミオ「なんじゃそりゃ」

ユイ「わからん。適当言った」

ミオ「わからんのかい」

ユイ「いや、並々ならぬ本心だね」

ミオ「だろうね」

ユイ「良い恋愛したいー…超良き顔面を拝みたい」

ミオ「それ何なの?彼氏じゃなくて推しが欲しいって話?」

ユイ「推しだっけ?どの辺が?」

ミオ「良い顔面拝みたいてとこ。顔面拝みたいって…彼氏じゃないでしょ、それ」

ユイ「いや、超絶イケメン彼氏が欲しい!って事じゃない?」

ミオ「何でこっちに聞くんだよ。拝むなよ彼氏」

ユイ「確かに彼氏拝みたくは無いなー…対等が良い」

ミオ「良い人いないの?」

ユイ「いない」

ミオ「即答。性格?それとも顔面?」

ユイ「顔面はさすがに、実際そこまで考えてないですよ。人様の顔面がどうのこうのなんて、どの口が言うんだって話だし。あーあ…良き顔面の彼氏欲しい」

ユイ、テーブルに突っ伏す。

ミオ「言った早々にどの口が言ってんだよ。あ、店員さんこっち来てる。ほら頭どけろ」

店員がワインと梅酒と二階堂を持ってくる。

ミオ「すみません。ありがとうございます。」

ユイ「…まーす」

店員が去る。

ミオ「ほい。二階堂。目指すんでしょランクアップ」

ユイ「ありがとう」

ユイ、二階堂飲む。

ユイ「うーん…」

ミオ「どうよ?」

ユイ「頑張って飲む」

ミオ「うん。飲めよ」

ユイ「梅酒うまい?」

ミオ「とてもうまい」

ユイ「だよねー。焼酎、ワイン、日本酒と、幅広く飲める良き大人を目指すわ」

ミオ「酒豪になりたいわけ?」

ユイ「バーとか居酒屋とか屋台で、一人で飲めるの目指したい」

ミオ「さっきの彼氏のくだり何だったんだよ」

ユイ「いや、それはそれ、これはこれでしょうよ。ミオだって彼氏いるけど私と飲んでんじゃん」

ミオ「まあね」

ユイ「彼氏の愚痴も出て来ないくらいラブラブってか?」

ミオ「ラブラブって…。まあ、長いしね、ラブラブと言うか、ダラダラだよ」

ユイ「ダラダラかぁ。言ってみたいもんですな。良い顔面拝みたい」

ミオ「もう芸能人でも追っかけなよ。推し活しろ推し活」

ユイ「いや、彼氏が欲しいて話しなんだが」

ミオ「顔面拝みたいなんて言うからだろ」

ユイ「顔面だけならどちら様でも拝めるよ」

ミオ「はいはい。良い顔面ね」

ユイ「そう。良い顔面」

ミオ「大真面目に、結局何が欲しいわけ?彼氏?推し?」

ユイ「え?…うーん…何だろ。彩りが欲しいんだよなぁ」

ミオ「必ずしも側に居なくても良いわけ?」

ユイ「うーん…居てくれたらラッキー。でも自分が楽しくなれるなら、それで良いなーて思う。だけど趣味とかじゃなく人が良い。生身の人間」

ミオ「生身の人間かぁ…」

ユイ「自分が楽しくなれて、人生が少し華やかになるような、そんな人が良い」

ミオ「恋愛すりゃ一発だけどね」

ユイ「そんな相手が身近にご不在なんでね」

ミオ「じゃあ身近で見つかるまで、ひとまずテレビとか動画配信とかさ、舞台とかあるじゃん?その辺いろいろと観てみなよ。はまる人居るかもよ」

ユイ「そうだねー」

ミオ「ちょっとメルヘンだけど、「たった一人の運命の人」なんてのだって、どこで出会うかわかんないし、そもそも、視野をどこにも向けなかったら、出会う機会無いよね。まずは観るもの行くとこを広げてみるのも手だと思うよ」

ユイ「さーすがダラダラ期の彼氏持ち。…どこで出会ったんだっけ」

ミオ「高校」

ユイ「あー高校の同級生て言ってたね。…出かけてないじゃん流れじゃん」

ミオ「高校は自分で選んだもん」

ユイ「あっそー。何か運命の人!ってやつっぽくない?メルヘーン」

ミオ「運命なんて大袈裟なもんじゃなく普通の人ですー」

ユイ「たまたま選んだ高校で、出会うべくして出会った…運命ぽいじゃん」

ミオ「そんな事言ったら、どんな人だってそうでしょ」

ユイ「まあね。どんな人でも袖振り合うも多生の縁。好き嫌い関わらず、多かれ少なかれみんな運命の人だね」

ミオ「…やだなぁクソ部長も運命の人とか」

ユイ「等しく運命だねー」

ミオ「最悪過ぎる」

ミオ、ワイングラスを取る。

ミオ「運命はさて置き、そろそろ赤と白のこのワインがどんな料理に合うか、検証したいのだが」

ユイ「確かに。本日一番のメインどころはこれだわ。あ…でも唐揚げも玉子ももう無いじゃん」

ミオ「本当だ。話しながら無心で食べてたね」

ユイ「んじゃ、検証のため追加注文しときますかぁ」

ミオ「全部同じなのはなー。違うやつも食べたい」

ユイ、タッチパネルを取る。

ユイ「んじゃ、じっくり選びますかぁ…赤にはこちらから」

ミオ「ならば…白には…こちら」

二人、笑う。



               ーーー終ーーー

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