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彩りにキミを想う【一人読み・朗読】

小さな事でもキミに話したくなる。
キミに聞いてもらいたい。
どうでも良い話を楽しみたい。

使用時は利用規約をご一読下さい。

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葉っぱがチラチラと舞う

枯れ葉いっぱいの地面が
サクサクと音を立てる

秋だなぁ…と

しみじみ

そろそろ今年の終わりの入口なんだと
物悲しさと焦りに小さな溜め息

空がどこまでも透けるように青い

葉っぱが色付き

チラホラ紅葉が見頃

歩けば少し冷たくなった風に
鼻の奥がスーッと通りが良くなったようで
スッキリする

たまには季節の移ろいに浸っていたいのに
お腹が空くのは止められない

買い物に行けば
季節限定お芋のお菓子が並ぶし
お鍋の素やスープもあれやこれや

美味しいものを食べると幸せで
何食べようて考えるだけでも
ワクワクがいっぱいになる

あれ食べたいな
これ食べたいな

んー
なんだか楽しくなってきた


でもなぁ

それでもなぁ

この気持ちは
いつでも
ひょっこり現れる

葉が落ちるとき

花が散ってしまったとき

日が沈むのが早くなったと感じたとき

薄暗い空に
青白くひんやりと輝く月を見つけたとき

ああ

寂しいな

葉の色が変わった…なんて

他愛もない話をしたい

落ち葉に埋もれる銀杏のにおいは
なかなかに強烈だね…なんて笑いたい

美味しそうなお菓子を買ってみた!
…って、どうでも良い報告をしてみたい

色付く季節
失っていく季節

その全てに今年の終わりを感じ
その全てにキミが浮かぶ

きっとこれは

寂しい

ではなく

恋しい


せめて

せめて

紅葉を眺めているとき

白く光る月を眺めているとき

キミもどこかの瞬間で同じ事をしていたら
お揃いみたいで嬉しい

ひらひら舞い落ちる葉が
土の上に降り積もるように
恋しさは積もって行く
募って行く

赤く色付く葉のように

濃くなり

深まり

鮮やかに染まっていく

キミの目に映る空が、葉が、月が
どうかとても綺麗でありますように

時間も場所も違えども

同じ感想を持てたなら

ほら

お揃いだもの

今日も明日も

彩りにキミを想う

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