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Uber Eatsってどうでしょう。

件のUber Eatsを巡る騒動からの個人的な考察。

発端はここから。
この件で責任はUber Eats側になるのか、個人事業主である配達パートナーとなるのか、発注した注文主になるのか。常識的な範囲であればデリバリーサービスを謳うUber Eatsが最終責任を負うんじゃない?って思いますが。

注意事項: Uber自身は輸送サービスを提供しません。Uberは輸送業者ではありません。本アプリケーションおよび/または本サービスの利用を通じてリクエストが行われる輸送サービスを提供するか否かは、輸送業者の裁量に委ねられます。

出典:Uber Eats 利用規約

利用規約上ではUber Eatsはあくまでサービスプラットフォームプロバイダーであり、輸送業者ではないと明言し、ユーザーはその内容に同意して利用している形となります。

但し、他のデリバリーサービス、例えばdデリバリー、楽天デリバリーでも同様、サービス提供側は運送業者ではありません。あくまでサービスプラットフォーマーです。が、フードデリバリーを扱っている専門業者を選定している点で個人事業主である配達パートナーをアサインするUber Eatsと大きく異なります。

法的観点で考える。

「他のデリバリーサービスとどこに違いがあるのか?」それは責任分界の明確さにでます。何かあった際に誰が責任を持つのかです。

個別の論争になると埒が明かなくなるため法的観点で考察します。関連する法として「運送業法」「食品衛生法」が思いつきますが運送業法では自転車、原付はスルー。では食品衛生法ではどうでしょう。

第三条 食品等事業者(食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること若しくは器具若しくは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売することを営む人若しくは法人又は学校、病院その他の施設において継続的に不特定若しくは多数の者に食品を供与する人若しくは法人をいう。以下同じ。)は、その採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、販売し、不特定若しくは多数の者に授与し、又は営業上使用する食品、添加物、器具又は容器包装(以下「販売食品等」という。)について、自らの責任においてそれらの安全性を確保するため、販売食品等の安全性の確保に係る知識及び技術の習得、販売食品等の原材料の安全性の確保、販売食品等の自主検査の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

出典:e-Gov 食品衛生法

Uber Eatsで言うところの「レストラン」が食品等事業者に該当します。しかし配送するのは配達パートナーです。そしてUber Eats コミュニティーガイドライン及びUber Eats レストラン パートナー向け利用規約はで以下のように謳っています。

レストラン パートナーは、特殊な理由 (例えば、食品安全、宗教的理由、または許認可要件) のために、注文の配達方法について依頼をすることがあります。
貴社は食事の品質、安全性および配達について、すべての責任を負い、食事の準備と提供についてあらゆる適用法と関連法令を遵守するものとする。貴社は、食事に適用される品質、分量、大きさ、材料またはその他の基準 (法令および規制を含む。以下「基準等」と称する) を決定し、Uber Eats アプリを通じて本件食事が提供される際に、かかる基準が満たされていることを確保する責任を単独で負う。基準等を満たす食事を提供できない場合 (個別に「基準未満食」と称する)、Uber は Uber Eats アプ
リを介して基準未満食を販売する義務を負わない。

上記の事より、「食の安全と配送の責任はレストランが負ってね。」と記載されています。

他のオンラインデリバリー及び専門のデリバリーサービスであれば配送者はデリバリーサービス業者の従業員であり、配達をするための機材に工夫を凝らし、ルールが存在し、そしてフードデリバリーが最終責任を負うと責任分界としては明確でワンストップサービスを実現しています。

が、Uber Eatsの場合はどうでしょうか。配送する際の道具は?配達パートナーは食について気を使ってますか?配達スキルは?と考えても配達パートナーは個人事業主ですし、そもそもアサインするのはUber Eatsでユーザー側にもレストラン側にも選択権はありません。つまりどんな人が運ぶか判らないのです。

そして有事の際にはユーザーから見て「誰が責任を負うのか」といった点では不明確になります。「配達パートナーは誰が業務委託したのか?」という点です。ユーザーが配送を委託したのか、レストランが配送を委託したのか。規約を読み込めばレストランで責任を負うと記載されていますが、配送に不備があった場合、実際はアプリからUber Eatsへの連絡口しかありませんし、連絡したところで件のツイっとのような扱いを受けます。

そのことより、いざ事が起こった際に解決まで時間を有する可能性があり、実際にややこしい事が起きてますね。何も起きなかったら問題ないんですけどね。

条例の観点から考える。

もう一つ、気にすることでもないですが各自治体で制定しているほにゃらら団排除条例です。これは簡単に言うと「ほにゃらら団に業務委託したらあかん」ということです。

企業では取引実績のない委託先について専門部署、例えば法務部等が契約の際、リーガルチェックの一環で調査会社を使いこれに該当していないかのチェックを行います。

しかし、Uber Eatsの場合どうでしょう。配達パートナーになれるのは「18歳以上」「自転車若しくは原付所有」「スマートフォンを持っている」の3つです。且つ、

Uber Eats利用規約
Uberと輸送業者との間には、雇用関係は存在しません。

と明言しています。ここでも誰が誰に対し委託したのかという「業務委託の関係」が問題点となります。ユーザーやレストランは配達パートナーがほにゃらら団関連でないと判断がつきますか?少なくとも私は判断する術を持ちません。ところでほにゃらら団ってなんでしょうね。

以上がUber Eatsの利用規約およびコミュニティーガイドライン等から読み取ったリスクであり、よく読めばまだありそうですが法の専門家でもなんでもない一般ピーポーなのでこの辺にしておきます。

Uber Eatsってどうなのさ。

Uber Eatsはユーザーにとってはデリバリー専門業者以外からの配達や手軽さ、レストランにとっては配送リソースの継続雇用が不要といった点、配達パートナーにとっては空き時間で自由な受託が、とそれぞれメリットがあり社会問題でもある人手不足を解決する一つの方法を生み出しているのは事実です。が反面、日本の以前からある出前文化とは大きく異なり有事の際のリスクとデメリットがあるのもまた事実。

個人的にはユーザー側に理解を求めるサービスっていうだけでメンドクサイとしか思いません。

ただ、このカラクリ自体は非常に面白く、UAV配送(所謂ドローン配送)時のラストワンマイルを解決する方法の一つとして使えるんではないでしょうか。と思ったりする次第です。解決できるか知らんけど。

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