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大勢の特別

「どうしたんだ?敬語なんて使って。」

「中学生の頃から使ってましたよ(笑)」

「どこがだよ。ふざけんなよ(笑)」

トンボを持って地面をならすその姿はあの頃とかわらない。


照りつける太陽がまぶしい夏休みのグラウンド。

恩師に会いに来ていた。

まさか自分がこんなことをするなんてな。

母校に電話をかけて、先生は市内の別の学校にいることを知った。

相変わらず陸上部の顧問だ。


思えば全国大会を当たり前のように語るこの先生から全国大会というものの存在を身近に感じるようになった。

目標のインカレ出場を果たしたとき、ふと先生に会いに行こうと思った。

「こうやって会ったことは必然なんだと思うぞ。人と人っていうのはさ、出会うべくして出会ってる。なんとなくだけどそう思うよ。」


初めてきた中学校のグラウンドの片隅で

相変わらずトンボでグラウンド整備をしている。

「がんばれよ」

ニヤリとしと先生は

なんでもないかのように言った。

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