美容師さんを絶句させてしまった話

先日髪を切りに行ったとき、雑談の際にふっと美容師さんが、「最近の若い子はすぐやめちゃうからねー」と大して困ったふうでもなく口にした。よくある世間話として無難な話題を振ったつもりなのだろう。
私も軽く「そうですねー、私の若い頃とは違いますからねー」と答えた。
「へーどんなでした?」
「お前らの代わりなんかいくらでもいるんだからなっていつも言われてましたwww」


返事がない。鏡越しに様子を伺うと本気でびっくりしてる。これは絶句してるってやつだ。
思わぬ反応にこちらの方が驚いた。当時は大変でしたよね、ウンウン、と言える程度の話を選んだつもりだったのだけれど、氷河期ジョークは盛大にすべった。

同年代の間ではごく当たり前の会話だったけど、世間的には違ったようだ。

私はいわゆる氷河期世代ど真ん中、美容師さんは一回りくらい上である。
美容師さんと話していると、時々お師匠さんの話が出てくる。お師匠さんにイチから教わって技術とその他のあれこれを身に着け、独立したのであろうことがそこそこ長いお付き合いの間に見えてきた。いいお師匠さんだったんですねえ。


ワーキングプアという言葉が出た頃、多分2003年か2004年ごろ。私も一歩間違えればこれだ、生き残れるだろうか、と戦々恐々としていた。
実際、最低賃金以下でも危険作業でも代わりはいくらでもいたのだ。体を壊して働けなくなったら新しい人を雇えばいい、と言われていた。
機械を買うより人が作業するほうが安い時代だった。

数年前に経験豊富なベテラン社員が不足していると言う発言が話題になったとき、「経験豊富なベテランが湧いて出てくるわけないだろ。使い捨てしてたくせに」と思ってしまった。

いい加減このルサンチマンを成仏させないとと思うものの、ちょっと今の若い人がうらやましい。

ちょうど横浜市営のバス運転手が大量退職して、バスが大幅減便のニュースを見た。給与増額や待遇改善で対応するらしい。
大量退職されなければ対応しなかったとはいえ、しないよりずっといい。

維新の会が、大阪市バス運転手の給料を下げて大絶賛されていた時代からすると隔世の感がある。

人を使い捨てのモノでなく人として扱う世の中になってほしいけど、就職氷河期の前はバブル期だったんだよなあ。
また氷河期が来ないことを祈る。

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