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ウイバナ考 番外編5 ウイバナの日2024

イベントが終わってからの備忘録のようなことを綴るので論旨がまとまらないかもしれない。それと対極なのはウイバナの構成力だ。番外編5 青春永遠論でも述べたが、今までの延長線上にある「ちょっと違う」試みをして、それが大きな変革、成長へとつなげる。昨年から「毎年やろう」と言ってはじまった「ウイバナの日」。これが1年後にこうなっているとは。またもやうれしく想像を裏切ってくれた。

「今年は2会場サーキットで他のグループにも出演してもらいます」
これがこんな豪華なことになるとは。TIF、@JAMもこんなに忙しくないのでは?全部見たいグループばかり。最初から最後まで立ちっぱなしで年寄りには体力の限界との戦いでもあった。

スタイリッシュでカッコイイSymdolickさん。来年はコラボも見たいですね。
わくわくダンシングさん。もう芸達者!原色の衣装と真っ白なカチューシャ、楽曲のベタさは私が子供のころの1970年代のような。それぞれのロック活動、ダンス活動のお話が出て、それはそれで凄そう。
グループ名を変えたばかりのhimawari(船橋)。出演グループの中ではいわゆる普通の典型的”アイドル”だが、ジツカワさんが作詞を2曲していると聞いて驚き(大変失礼しました)。先週のトークイベントで”SHOWROOMの小学生ライバーに重課金するのは犯罪”と告発されていたが、中学生が半数を占めるこのグループを推すのはどうなるのだろう?と、要らぬことが頭をよぎる。
CYCLONEでCHKINE BLOW THE IDOLさんがはじまったようで、見たことなかったので残念。同じくCYCLONEでPOPING EMO さんがはじまり、身が裂かれそうな思いだったが、GARRETのトリ、一度も見たことがないLYSMさんをチョイス。4人とも驚くばかりのボーカル力だった。この体制が終わってしまうというのは残念だが、次の体制も楽しみでもある。

出遅れてCYCLONEに行くと”時間を止めるジャンプ”をするRED-iさん。ダンスが横からよく見えずに残念だったが、脇にいる私たちにもレスを送ってくれていた。メンバー作詞の曲など、ロックチューンのグループにしては聞きやすいナンバーも。
「強くてニューゲーム」さん?なんだか見たことがあるような?と思っていたら新体制になった旧TA女子さんだった。すばらしいボーカルの面々。実はTA女子さんには以前、キースタの対バンで「ステージからフロアに降りるな」とクレームをつけたことがあるのでちょっとばつが悪い。そんなことしなくてもいいステージをするのだから。そして変わらずの迫力のパフォーマンスをみせてくれた。

さて、ウイバナBAND
The Giftがバンドだとキーを下げているためシグマさんが歌いにくそう……と思っていたら、Rock'n'Roll Sneakerで喉をからしてピッチが取れなくなったと特典会で聞いた。でも、ここ以外は大丈夫だったけどな……特に後半はよかった。見せ場だらけの「どうせ生きていくんだけどさ」のソロパートはいつにも増してつややかな声。ピースサインではずっと続くロングトーン伸びがすばらしかった。最後列から聞いていたがRock'n'Roll Sneakerの合唱パートは大入りの語り部相手でもシグマさんは負けていなかった、いや、勝っていた。
The Giftの大サビ前のギターソロはよかった。
初花のはじまりはベースのピッキング(ベースはピック使わないからなんというのだろう?)で終わりがギターのピッキングだったのは面白い。女性の悲鳴とともにはじまったRe:Re:Resistance。そう、私もうれしくて叫びたかった。
「もしも、この世界に」か、「Ring」か?固唾をのんで3拍目を待っていたがいつもより少し引っ張っているように思えたのは生バンドをしてなせる技か?
そして代官山ユニットでのワンマン以降の曲のブロック。先週の木曜日に新宿で行われたトークイベントで「見せどころ」としてあげられた「ユラァさんの1Aメロ」。緊張感を吹き飛ばすような見事な立ち上がりで最年少メンバーの大物ぶりを見せつけた。この曲を代官山ユニットで聞いたときはアルバム構成の「つなぎ」っぽいミディアム・テューンだなと思っていたが、あらためて聞くとちょっと違う。かなり独立性が高い。それこそ下北沢の一人暮らしをしている若者が部屋や街で日常を過ごす姿をMVにしてバックに流せそうな。アンセムが長編大作なら短編習作的仕上がりだ。そう、どうしても思いだしてしまう未完成リップスパークルの「春よ、またね」のような。
籠の鳥をはじめてライブで聴けた。これも前述のトーイベントで話題になったが、マクマキさんがうまい。うまい。うまい。むしろ大根の動画をもう一回確認したいくらい。
ミュージカル的な、と言いかけて少し違うかも。ステージ照明のせいか、どちらかというと映画的な。白い壁いっぱいにハイトーンで斜めに画像を細切れにちりばめて、そこに重なるようにreaderが立っているMVが浮かんだ。
籠の鳥は精神世界の葛藤のようだが、それに続く楽曲のメロディーでそれを回収する。今回は「どうせ生きていくんだけどさ」からの「ピースサイン」。(ベートーヴェン交響曲)第9の4楽章を全部準備しました!という完成度だった。
ここで締め。新曲というのはバンドで既存曲を初めてやるという意味で終わったのかな?と思ったのだが、アンコールで披露。ミディアムテューンやpoetry readingとやや趣向を変えた曲が続いたが、新曲はロックチューンだった。バンドで新曲とは!ギターソロからの入りがメチャメチャ難しい。サキマルさんが吐きそうになるわけだ。
一見(一聴?)得意のナンバーに戻しただけかと思いきや、このサビ、私の記憶が確かなら、予定調和していない。なんとも思わせぶりな、「ブルースター」を聴いたとき同様、今後どう持っていくのか、予想をまた裏切ってくれそうな仕掛けだ。
中盤くらいからこなれていたが、新曲のプレッシャーから開放されたサキマルさんがダブルアンコールで”暴れすぎないでね”といつもの常識人ぶりを発揮して”賛歌”で観衆の興奮を昇華させ、幕を閉じた。

今回の「ウイバナの日」はアイドルを見始めたときから頭を離れない矛盾に立ち向かってくれたと思う。矛盾とは、「なぜこれだけのパフォーマンスができるアイドルや楽曲が主流にならないのか?」ということである。コロナもあったせいか、みんなFRUITS ZIPPERのコピーみたいなアイドルばかりになって対バンのアーティスト写真は見分けがつかないくらいだ(単に年寄りになって若い人の顔が見分けられないのもあるが)。それはそれでいいのだけれど、その中でステージをみて目に留まるグループはどれほどあるだろう?「ウイバナの日」に集ってくれたグループさんたちは贔屓目抜きで出会う順番が違えばどこも主現場になりそうな実力の持ち主ばかりだ。そういうグループが安易なトレンドに流されずしっかりと自らのある姿を、ありたいと思う姿を世に訴え続けている。そのような姿を見ていると、もう先になにも望めないような自分でももうちょっと生きていこうかな、と思える。ウイバナに青春をもらっているな、と思える。
そしてそのようなグループが集える。このサーキットに参加したグループがフェスのセンターステージに立つべきだ、その日がくるという、アイドルの主流を担う、音楽シーンを駆ける、エンターテインメントを主導できる、そんな希望をまだ持てるということを再確認した「ウイバナの日」だった。

先週のトークイベントでさらに認識をあらたにしたのだが、ウイバナというグループは本当に不思議だ。普通に会話をするとまったく噛み合わないのだ。言語コミュニケーションが成立していない。みんな社会人プラス超一流企業脱サラなのに。言語能力特級、クリエイターあるあるの思いを突っ走らせるジツカワさん。サキマルさんの通訳なしではマキシグユラとは会話が成立していない。天才肌のシグマさんはそれでも足りないときが多々あり、あっけにとられていつも同じ角度口を空けてフリーズする。マクマキさんは言葉より涙が出て、ユリアさんは照れ笑いか手で顔を覆って一番背が高いのに誰かの肩の後ろに隠れる。ほんとうは「プリンチェチュ!」と自由な末っ子を爆発させたいサキマルさんが常識人を強いられるのだから凄い世界だ。
彼/彼女たちを会話させるのは言葉ではなく音楽とパフォーマンスなんだな、と痛感する。サキマルさんもいつもあきれ顔だが、”himawari(船橋)の楽曲を歌うならショウさんの書いた曲だなって、(ジツカワ教に侵蝕されている)自分が恐い”と特典会で打ち明けた。

新曲しかり、これらをどういう化学反応をさせて構造化していくのか、とても楽しみだ。予想外に今回マフラータオルと新しいTシャツが販売されていた。「マフラータオルということはタオル曲?」と安直な詮索を入れてみたがもちろん信用できる返答が来るはずがない。
仕掛けの謎解きは空気を読まず詮索する私の迷惑な趣味だけれども。「仕掛けの構成」というレベルをまた超えた展開もしてくるのかな?とも思っている。

ちょっと終わり方が散漫。予定調和しなかった。最後の段落2つ要らなかった。


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