戦闘射撃 スローイズスムーズ、スムーズイズファーストの原則
★それで弾倉交換はよ出来んの?★
Slow is smooth.Smooth is fast.
これはアメリカ海兵隊における戦闘技術に対する一つの考え方である。
戦闘行動、特に銃を扱う上でマストのテクニックの一つに迅速な弾倉交換と確実な武器の安全化がある。
戦闘下において、弾が無くなるとは即ち、敵に対する攻撃手段を失うことであり、詰まる所任務不達成及び死を意味する。故に、迅速な弾倉交換を行い、速やかに戦闘復帰する事が求められる。
筆者は小銃の弾倉の弾が射撃中に尽きたら先ず新しい弾倉を取り出し、ソレで弾倉止めを弾いて空弾倉を落として間髪入れずに弾倉を装着する、「AKリロード」等と呼ばれる方法でやっていた。そうでなくとも、新しい弾倉を取り出し、手に握ったまま空弾倉を外して新弾倉を着ける、もう少し「行儀の良い」やり方をする者も多い。「一旦弾倉を外してから新弾倉を取り出して装着」するよりも速いからだ。
ただし、上記2点はある程度の練度が要求される。筆者は致命的に銃を扱うセンスが無かったために、当初は毎日コンタクトドリルを200回だとか、弾倉交換100回だとかを行って無理矢理出来るようにした。お陰で助教を任されるようにはなったが…。
基本的に不慣れな者が手に何かを握りながら別のモノをイジるというのはナンセンスだ。どうしても中途半端な動きになりやすい。
弾倉交換ではなく武器の安全化に関して言えば、私は外した弾倉を手にしたまま武器の安全化を行なう癖があった。それでもスライドは引けるし、チャンバーチェックも出来る。事実としてそれで薬室に弾(実、擬製弾問わず)を取り残したことはない。それでもやはりナンセンスだ。指摘されて以降、外した弾倉はダンプポーチに納めてから武器の安全化を行なうようにした。
生命に関わる道具を扱う時に「中途半端になりやすい行動」から生まれる「不確実さ」はモロに命取りとなる。
速く出来る様にする応用的テクニックはベースとなる技術があって初めて成立する。不慣れであれば例え遅くともスムーズに出来る要領で始めた方が良い。出来もしない応用テクニックで慌てふためいて結局間に合わずに殺されては割に合わない。不慣れなら、
弾が切れた→弾倉を外す→新しい弾倉を取り出す→着ける→スライド引いて戦闘復帰
という、よりスムーズに行い易い方法を確実に行う方が良いだろう。より速く行う応用的テクニックはその先の話だ。なんなら初歩テクニックを極めているなら、それでも良いはずだ。
戦闘行動は生き死にに直結する以上、無意識にテクニックにスピードだけを求めようとする者が少なくないし、私もその一人であったが、その筋のプロ中のプロである特殊作戦部隊員のテクニックを見ていると、初歩テクニックの「スムーズさ」と「確実性」を極めたものである事が少なくない。
カッコ良さを求めたくなるのも、スピードを極めたくなるのも痛いほど分かるが、本質と基本に立ち返ったほうが良いーと、某国特殊作戦部隊員の要領を見て感じた。
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