Popper No. 19

E-flat major, Allegro (116, 84)
 このエチュードは「Lohengrin Study (ローエングリン・スタディ)」として良く知られてきた。ポッパーは以下の脚注を書き加えている。「この曲の最初の小節のみがローエングリンの第三幕におけるチェロの一節から取られている。この節は、特に要求される早いテンポにおいて、チェリストにいくつかの難しさを与えている。」このエチュードは、ある程度、No. 1エチュードのより難しいレベルの続編になっている。No. 1で直面した難しさのすべてに、ここでも出会うことになる。
 言うまでもなく、弓遣いと発音は、上二弦よりも下二弦の方が、腕の重みはより重く、弓のスピードはより遅くなる。さらに、アーティキュレーションを変化させる必要がある。例えば、11小節目や同様のパッセージは、その変化によってクロマテッィク(半音階)的表現を引き出したり、あるいはクレッシェンドにおいてはより幅広のストロークを作り出したりすることができる。このことは、学習者がこの曲をより変化に富み、興味を惹くものにすることを可能にしてくれる。また、初版から採用されたイレギュラーなスタッカートについても同様である。
 ポッパーの指示に少しの変更が加えられている(例えば11小節と49小節)、これは出来るだけ強拍においてポジションのシフトや変化を行うという観点からである。

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