今日の机20190618 『 ねこかいじゅうフルポンゴラス とひみつのラジオ』 6 中嶌まり 2019年7月18日 13:55 『 ねこかいじゅうフルポンゴラス とひみつのラジオ』 ある、真夜中のことです。 ゆりちゃんは眠れません。 病院に入院していて、動けません。 ずっとベットに寝ています。 朝になったらお母さんがきてくれます。 カチコチカチコチ……。 時計の針はまだ午前1時。 ゆりちゃんはじっと、がまん。 ふと、足元に何かいることに気がつきました。 それはとても大きなブチ猫でした。 猫はのしのしひょいと近づいて、温かい舌でゆりちゃんを舐めます。 ゆりちゃんのほっぺは赤くなりました。 猫は、枕の代わりになました。そのお腹から、声が。 『こんばんは、眠れないあなたへのラジオ番組……今夜は夜空の童話特集です……』 鈴の音楽と共に、女の人のやわらかな声が、星と鳥のお話をはじめました。 それがあんまりに楽しいので、ゆりちゃんは聴きいってしまいました。 お話が終わると、お便りの紹介がはじまりました。 お父さんとお母さんの声がします。 『ゆりがいないとご飯がおいしくないなぁ』 『そうねぇ。明日はたくさんお話しなきゃ。夜は眠れてるかしら……』 『ゆりが心配しないように、ごはん食べて元気をつけなきゃね』 ゆりちゃんは悲しいとうれしいがまぜこぜの涙がでました。 お父さんとお母さんが元気になるように、わたしも元気になる……。 ラジオの音楽や、面白い落語を聴いてるうちに……だんだん、だんだん……うとうと……。 次に目が覚めると、朝になっていました。大きな猫はいません。 やってきたお母さんに、ゆりちゃんはありのままを話しました。 お父さんとお母さんは、ゆりちゃんにイヤホン付きラジオと猫のぬいぐるみを買ってきてくれました。 そうして朝や寝る前、お父さんとお母さんがなるべく会いにきてくれるようになりました。 夜はやっぱり暗くて、朝が待ち遠しいけれど、ゆりちゃんは少し、大丈夫になってきました。 おしまい。 #絵 #絵本 6 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート