見出し画像

大山 0823

この時期に、比較的涼しい日に山歩きをしたいと思うと、自然と雨が降るか降らないかのぎりぎりの天気に出かけることになってしまう。
厚木駅からバスに乗り煤ケ谷から登るコースはけっこう歩きがいがあると聞いて、少し考えてみたものの、地図を見るとヒルが多いと書いてあり、ヒル除けにスパッツを履くと暑くて発汗量が増えてしんどくなるので、今回もまたヤビツから登ることにした。一時間前に駅に着いてバスを待つのにもこりたので、おとなしく直前に行って、バスの中では立つことにした。この時期でも座れないのだから、秋になったらさらに大変なことになりそうだ。それとも臨時便が出て、直前に行ったほうが座りやすくなったりもするのだろうか。


一月ぶりに山に来ると、これから何時間も、このリュックの中に入ったわずかな食糧と水だけで、一人でこの山を登ってまた降りていく、そんなことができるのかと、もう何度もやっているのにも関わらず、ふと不安を覚える。昔の人は、今のように使い勝手のよい道具もなかったし、軽くて満足できるような食糧もそれほどなかったと思うが、よくやっていたものである。思えば自分の祖父も、生活のためというよりも半ば趣味もあったと思うけれども、毎日のようにかごにお弁当やペットボトルに水を入れて、山へと通っていた。お弁当はどんなものを持って行っていたのか、今更ながら気になる。車もなかったので、道具を持っていくにしても、収穫物を持って帰るにしても、全部人力でやっていた。人間、それが当たり前だと思えば、特に不満もないのだろう。今の私にはとうてい真似できそうにない。


最近、勝間和代さんの話を聞いて知ったことだけれど、創造的な仕事をしようと思うと、前頭前野を鍛える必要があるそうだ。体を鍛えることは、前頭前野を発達させるのによいとのこと。自分が最も頭がよかったのはいつかと考えると、明らかに中学生のときだった。あまり勉強しなくてもテストでいい点がとれたし(テストが簡単だったのもあるとは思うけど)、その年ごろにしては相対的に難しい本が読めたり、あれしたいこれしたいというような野望も今よりもあった。年齢的なものもあったかもしれないが、当時は運動部に入っていて、先生が厳しかったこともあり、部活の間はもちろん、帰宅後も、練習についていくために筋トレをしたりその辺を走ったりしていたので、もしかすると、相当頭も鍛えられていたのかもしれない。もともと運動が大好きではないので、高校に入ったらもはや運動部を選びはしなかったが、中学生のころの自分は、単純に言えば、能力が活性化されていたのだと思う。ただ、どちらかというと自らの意思で運動をしていたというよりも、外部からの圧力により、という面が大きかったことは否めない。自分がやりたいからやる! というスタンスで、できるだけ続けるにはどうすればいいか、悩むところだ。平日の真昼間から山登りなどしていると、なんだか暇な人に見えないか、今更ながら確かふとそんなとことを思ってしまうこともあるのだが、これも脳を鍛えるための必要な行為だと思えば、後ろめたいどころか、むしろ進んでやろうという気になる。

慣れてきたせいか、ああ運動したという感覚もあまりないまま、あっという間に頂上に着いてしまった。天気が微妙なせいか人も少ない。
こういうところで執筆をするのも面白そうだと思ってみるが、どうも屋外に出ると、周囲の様子がいろいろと気になってしまい、集中できそうにないのだった。

また例のごとく、見晴台を経由して下社のカフェに寄った。抹茶ティラミスを頼んだが、ろくにカロリーを消費していないのに昼食に蒸しパンを二個も食べて体が甘いものを欲していなかったのか、前回のような感動はなかった。次回はシフォンケーキにしようかなどと思いながら、かなりゆっくりと過ごした。神社の裏にある湧き水を汲ませてもらう。湧き水でコーヒーを淹れたりご飯を炊いたりすると、おいしくなる気がする。750mlの水筒いっぱいに汲ませてもらった。

せっかく来たのだからもっと運動せねばとばかりに、本来であれば下社からは男坂か女坂を下ったほうが早いのだが、さっき通った見晴台まで戻り、薬師方面に降りるという、かなり遠回りなコースを選んだ。日向薬師のバス停のトイレは無料だし、ここから伊勢原駅へ行くほうが、ヤビツ峠から秦野駅までのバスよりも、だんぜん運賃も安い。ちなみにヤビツ峠にあるトイレは有料である。場所が場所なので高くつくのは仕方がないし、ヤビツ方面から登ったほうが楽に山頂に行けるのだけど、費用を考えると伊勢原からのほうがいい。まだ試していないが、煤ケ谷からのほうが安いかもしれない。せっかくなので、いろいろなコースを歩いてみたいものである。
昨年、薬師方面で無人販売の栗(一袋三百円)を買ったことを来るたびに思い出していた。来月はいよいよ栗が手に入ると思うと、楽しみになってきた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?