見出し画像

生成AIの【RAG】とは!中学生でもわかるように簡単に解説

AI技術がめまぐるしい! 作業効率を高めてビジネスシーンで大きな活躍をしてくれるAIですが。次から次へと最新のツールが発表されて覚えるのも一苦労ですよね。今回は、数ある中から生成AIや検索機能を強化してくれるRAG(ラグ)を紹介します。

RAGは事前にデータを外部へ登録できるため、ネット上に存在しない社内情報も利用して扱えるツールです。最新の情報を回答するのが苦手なChatGPTをサポートする優れもの。

最後までチェックすれば、RAGの特徴や魅力を整理でき、あなたの仕事を大きくサポートするAIとして活用できるでしょう。

RAG(ラグ)とは


RAGは「Retrieval Augmented Generation」の頭文字を取った造語。
日本語では、それぞれの意味から「検索拡張生成」と訳されています。

RAGとは、生成AIを使用する際に精度の高い回答を導くためのサポートする技術のこと。RAGは事前に外部のデータベースに必要な情報を登録しておける特徴を持つのです。それにより、LLM(大規模言語モデル)を始めとする生成AIのデメリット部分を強化できると期待されています。

※LLMとは、人の言葉を理解して学習するモデルを持つツール。生成AIで有名なChatGPTに使われており、会話形式で利用できるのが特徴の一つ。会話形式で利用できる生成AIは、質問を投げかければ簡単に回答をしてくれて便利なツールです。

ところが、ChatGPTはネット上に公開された情報を元に回答を返すため、最新のネタだったり、自分が求めている内容が出てこなかったりするケースがあります。語弊を恐れずに言えば、ネット上にない情報に対しては答えられないわけですね。

そこで、あらかじめ外部のデータベースに情報を登録しておき、その内容を元に生成できるRAGが登場しました。知りたい情報を簡単に探せて、データも管理しやすくなります。

例えば、会社の資料作成する際にネット上にはない社内データでも、登録しておけばRAGが取得して生成してくれるのです。RAGを上手く利用できれば、自分に合った最適な形でAIが使えるようになるでしょう。

RAGが登場したのは誤解を減らすため

生成AIの登場により作業効率が飛躍的に高まりました。メールの作成や資料の要約など、ビジネスシーンで大きく活躍する機会が増えたでしょう。

ただ、便利になった一方で、まだまだ生成AIは発展途中。それゆえに生成される回答に誤りがある場合があるのです。困ったことに、間違った情報を正しい内容のように伝えてきます。専門分野で知識がない情報を生成AIにお願いするときは、信じ込んでしまうリスクがあるでしょう。

こうしたAIの誤解を「ハルシネーション(幻覚)」と呼びます。誤解から生まれるリスクを回避するためにもRAGが考えられました。

利用するメリット

RAGを利用すれば、ハルシネーションを防ぎ、正しい情報を得やすくなります。また自らデータベースに登録できるため、情報の管理も容易になるでしょう。そして、ネット上に公開されていない最新の情報や、自分の仕事に適した内容をピンポイントで抜き取り、幅広いデータを扱えるようになるのです。

その一方で、デメリット部分もあります。RAGは事前にデータベースに登録して情報を利用できますが。そもそも登録したデータが間違っていれば、正しくない情報を元に生成するデメリットがあるのです。またデータベースに登録した内容が多すぎると、回答までに時間がかかります。

RAGの仕組みを理解しよう

RAGの仕組みは大きくわけると下記の3ステップになります。

1.ユーザーの質問を検索
2.データベースから適切な情報の選定
3.抽出した情報を生成

流れとして、まずユーザーの質問や指示(プロンプト)に従い、外部のデータベースの中から情報を検索。求められている適切なデータを選定し、内容を抽出したら生成AIへ渡します。抽出された情報を元に生成を行ってユーザーに回答するのが一連の流れです。

RAGの仕組みは、ChatGPTのように質問したら生成AIが直接情報を検索して回答するわけではありません。一旦、RAGがデータベースから適切な情報を選んで、それを元に生成AIに要約をお願いしているのが特徴と言えるでしょう。

RAGでできること


RAGを使って可能となる作業は下記の通りです。
・お客様サポート
・知識の共有
・コンテンツ生成
・分析作業
それぞれ見ていきましょう。

お客様サポート

RAGで予め社内規則やマニュアルを登録しておけば、カスタマーサポートができるようになります。自社に関わる知識があれば、顧客からお問合せがあってもデータを元に対応してくれるからです。社員に代わって、過去の顧客情報を元にお問合せの内容を判断して処理もできるでしょう。RAGが代わりにメールや電話対応すれば、その分社員の負担も減り、コスト削減にも繋がります。

知識の共有

社内にある情報をフラットに共有できる環境が作れます。RAGは事前に情報をデータベースへ取り込めるため、社員が同じデータを扱いやすくなるのです。業種によって違いはあるかもしれませんが、企業は独自マニュアルやノウハウを蓄積している場合があります。こうした組織情報は、ベテランや一部の人だけに偏って認知されている傾向があるでしょう。しかし、RAGならば、新人や社歴の浅い社員でも情報をフラットな状態で利用できる環境が整います。わざわざ情報を確認することなく利用できて、作業効率を高められるでしょう。

コンテンツ生成

生成AI機能を持っていますから資料作成やコンテンツを作成するのにも役立ちます。参考となる情報を与えておけば、それを元に文章だけではなく、動画や音声でもコンテンツを生成できるでしょう。より自社のターゲットにしているユーザーへ訴求できる商品やコンテンツを作成しやすくなります。

分析作業

膨大なデータを元にあらゆるニーズを想定した分析が可能となります。例えば、マーケティング戦略を効率化できるでしょう。自社の顧客情報を元に行動データを簡単にリスト化して生成してくれるのです。人の手で一からチェックしながら行わずとも過去の情報や既存のデータを元に効率的に分析ができるようになります。

今後の課題点

RAGは事前に回答元になるデータを用意しておけますが、どのような質問をして利用するのかは予測できません。そのため、多岐に渡る細かな情報も見越して取り入れておかないと精度の高い回答ができないのです。例えば、社内で使う場合。他部署の情報や社内ならではの細かな規則などを入れ込まないと、上手く情報を引き出せない可能性があります。また情報が膨大になれば、抽出までの時間がかかる点も課題となるでしょう。

RAGの活用事例

RAGは膨大なデータを味方につけて、必要な情報を事前に登録しておける優れたツールです。作業の効率化をはかるだけではなく、自社の顧客にあった提案もサポートしてくれる心強いAIと言えるでしょう。そんなRAGは、さまざまな活用事例があります。

1.通信
2.教育
3.製造
4.医療
5.金融

1.通信会社

お問合せ対応にRAGを利用した会話形式チャットボットの導入事例。社員に代わってAIがカスタマーサポートを対応してくれます。素早く処理ができ、顧客の満足度を高められるのです。それにより、社員の作業負担を軽減できる上に、顧客のデータも蓄積できます。顧客の情報が蓄えられれば、その分満足度の高い対応も可能になり、相乗効果が期待できるでしょう。

2.研究機関

研究機関では実験計画プロセスの自動化や論文の要約などに利用。手間のかかる情報収集を効率的にし、作業の充実化をはかれるのです。作業を効率化できれば、コストの削減に繋がるでしょう。また、大量のデータを扱えるため、知識の補填が容易になり、研究品質の向上も見込めます。

3.製造業

作業マニュアルを共有し、スタッフの認識を向上させるサポートが可能。スタッフが過去のデータを共有できるため情報の偏りを防ぎ、作業の改善にも繋がりやすくなるでしょう。また過去の情報を元にトラブルへの対処も可能となります。

4.医療機関

医療の現場では、特例の症状や最新の治療方法を取り出して対応できるツールとして利用されています。たくさんある薬の中から適切なものを迅速に選べるようになるでしょう。また、患者みずから健康状況を調べたり、質問したりできるシステムとしても機能しています。患者が自分で症状や治療法に関する情報を取得できるため、スタッフの負担を軽減させる効果も高まるのです。

5.金融系

お客様窓口の一つとして導入されています。お客様から質問された内容に対して、膨大なデータを元に適切な情報を回答してくれるのです。スタッフがやり取りをせずとも、AIが対応してくれてオペレーションする負担が少なくなるでしょう。また手間のかかる市場分析も幅広いデータを元に効率的に行えるようになり、人がやるよりも精度が高い回答が用意できます。

RAGは、まだ発展途上にあるため、すべての業種によっては組み合わせが検討されています。導入事例の一部としては、主に「製造、医療、金融」などで活躍中です。

ビジネスシーンで大きな活躍が見込めるRAG

RAGは事前に情報を取り込んでおき、ネット上にないデータを扱って作業ができるのが特徴の一つです。自社の独自マニュアルをスタッフが共有して仕事ができるため、作業効率を高めてくれる優れたツールと言えるでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?