校誌2

 私は某地方公立高校を卒業し、一橋大学の社会学部に合格しました。共通テストは752点でした。今回の記事は母校で書かせていただいた合格体験記の延長戦として書くものです。そこでは書ききれなかった私の各科目に対する考え方や具体的にやっていた対策のことを書こうかと思います。近くに予備校もなく、どうしても首都圏と学びの機会にギャップを感じてしまう母校のような高校に通う生徒に、少しでも有益な情報を提供したいという思いで綴らせていただきます。ただ、あくまでも私の主観で語ることであり、全ての人に一般に当てはまることでは決してないということはご注意ください。かなり偏ったことも書くと思います。もう一度言います。かなり偏ったことも書くと思います。特に私は参考書を調べた経験、買った経験、使った経験がほとんどないので、学校の勉強から最大限力をつけたい人向けの情報がメインになります。逆武田塾です。こういう考え方もあるんだな、ぐらいが助かります。分量がまぁまぁ多いですが、国数英理社のそれぞれで所感を述べたものになっているので、気になる科目だけを読んでもらっても全然OKです。気に入ったらハート押してね。なお、紹介したYouTubeチャンネルやアプリには極力リンクを付けたので、下線がついているところはチャンネルやショップに飛べたりします。

❶国語

要旨:現代文のウエイトは最小限で大丈夫。古漢は得点源として不可欠

 現代文って何を対策すりゃ良いの?という疑問を持つ人は多いと思いますが、結論から言うと私は3年かけても分かりませんでした。ただ1つ思うのは、学校で与えられるものを全て養分にしたのなら、自主学習の時間を現代文に割く必要はないということです。よく「本を読む機会を増やそう」というアドバイスを参考書や講評などで目にしますが、小説を楽しむために読む場合と問題を解くために読む場合では脳の使い方が根本的に違いますし(共通テストなら特に)、普段から本に興味がない人間が受験を目的に本を手に取って読んだところで得点に繋がるビジョンがまるで見えません。そして勉強すればするほど「なんなんだこの科目」と思ってしまうこともあります。学校にはそんな「なんなんだ科目」に真剣に取り組んでくれる先生がいます。先生が教科書を使って授業をしてくれます。その中で問題を解くときの考え方を教えてくれます。理解度を測るテストを作ってくれます。それを添削してくれます。受験期には入試の過去問でも同じことをしてくれます。私は思うんです、これで十分じゃないかと。共テ前の時期は学校では過去問と予想問題を10回分以上やらせてくれます。友人で現代文の参考書を買って実際に得点が伸びた人もいるので大声で言うべきではないと思いますが、余程苦手でない限り(共テで半分取れた試しがないというようなレベルでない限り)、他の科目を優先するべきだと思います。受験で国英しかないという人でも、まず英語をやったほうが良いと思います。例外として、直前期の過去問演習は自信に繋がるので満足するまでやったほうがいいです。また、要約問題など、学校での演習量が少ないものは5年分ぐらいは経験を積むと良いです。

 続いて古文・漢文に関してですが、ここはガッチリやってください。現代文が安定しなくても、古漢は語彙と文法をしっかり固めればちゃんと点数が付いてきます。私は古文単語を春休みに2週間で1冊分詰めました。英単語と違って1語1訳では厳しいので、単語帳のアプリに複数の意味を登録して覚えていました。しんどかったです。ただ何ヶ月もかけてゆっくりインプットしようとする方がしんどかったと思います。短期間で1冊分詰めて、忘れた頃に何度も何度も復習しましょう。漢文が苦手な人は「漢文早覚え即答法」をやりこんでください。以上です。

❷数学

要旨:「言語化」をしてから次へ次へ。チャートの例題はアイデアの宝庫

 文系の皆さんに数学で特に重視してもらいたいのは言語化です。数学の難しい問題に対して「日本語でおk」と思うことがあるでしょう。まさにそれが数学の対策で非常に大事な部分です。ある問題を1つ解いて流れを全て覚えても、その問題がそのまま入試に出る確率はほぼ0です。しかし、全ての問題には作問者が解答者に問いたい技能があります。私はこれを「」と呼んでいます。この式を見た時に相加相乗平均の大小関係を用いれば良いと気づけるかどうか、ベクトルの存在範囲の考え方を理解しているかどうか、三角関数混じりの計算を正しく行えるか…こういうものを問題は「」として孕んでいます。文系の皆さんにしてもらいたいのは、この「」を明らかにすることです。解けない問題に出会った時、解説を読んで何が分からなくて解けなかったのかを明らかにして、色ペンか何かで「」を言葉にして下に書くのです。この瞬間、似た問題に出会ったときに武器となるアイデアを摂取することができます。そして、この摂取を最も効率的に行える本が数研出版のチャート式です。何色チャートでも良いです(私は黄色でした)。例題を一周して、解けなかったものの言語化を続けていれば問題に向かう姿勢が大きく変わると思います。

高3の1学期にこういうのを作って印刷して使ってました。埋まっていくのが快感です。

 基本的な部分が固まりきらない人はYouTubeチャンネル・超わかる!授業動画を見ましょう。冗談抜きで超わかります。また、分野レベルの細かいことで言えば、二次関数の勉強は特にガッッッチリ固めておくべきです。三角関数やら対数関数やらの問題では、結局二次関数の考え方の応用にすぎないものが非常に多いです。二次関数の考え方を吸収しきれていないと色んな分野でつまずいてしまうので、ここは手を抜かずに。あと数列に関して、私は数学力向上チャンネルの漸化式全パターン解説を見て漸化式が大好きになりました。おすすめです。

❸英語

要旨:文法を固めて「逆ボキャビル」を極めれば半分完成。英文解釈は不要

 まず1年生で文法の苦手を潰せるだけ潰してください。1年で完璧にするのは不可能ですが、2,3年生になってから文法をやってる暇がどんどんなくなっていくのは確かです。文法固めは早ければ早いほど良いです。2年生からは英単語をガッチリやってください。母校では日本語を見て英単語を答えるボキャビルテストなるものが行われていますが、英単語を見て日本語に訳す練習「逆ボキャビル」を並行して進めてください。英単語の覚え方についてはYouTubeに山ほど情報があるので、気に入ったものをやれば良いと思います。とにかく回数を積むことが鍵。シス単を覚えきればほとんどの人は2冊目の単語帳は考えなくていいと思います。現に私は慶応の商学部と一橋の社会学部の英語をシス単(のミニマルフレーズ)だけで突破できました。また、学校ではあえてやらないけど塾や予備校やインターネットではこぞって勧められる勉強として「英文解釈」がありますが、私はやりませんでした。強いていうなら、コミ英は1文ごとに解釈できない文章がないか点検するという気持ちで勉強していました。文法や語彙が定着していれば1つのセクションで解釈できない文章はそう多くないと思うので、それらを全て潰そうという意識を持つと良いです。これができれば英文解釈は要りません。長文はもう回数を積むしかありません。とはいえ、高3になると授業や模試などで色々な文章に出会うことができます。長文の参考書を買わずとも、こういう所からいくらでもスキルを吸収できますよ!

❹理科基礎(化基・地基中心)

要旨:molさえ理解すれば化学基礎は余裕。地学基礎は最強の得点源になる

 理科基礎の4科目には以下の特徴があります。

(個人的な感覚に基づく非常に偏った表)

 まずこれを見て地学基礎を選ばない手はないでしょう。地学基礎は例年平均点が4科目の中で最も高く、易化し続けています。私も満点を取ることができました。やったぜ。簡単な科目だからこそ、正確な暗記を徹底してください。そしてもう私がもう一つの科目として選んだ化学基礎は、文系2クラスの中で選択者が6人しかいませんでしたが、こちらもおすすめの科目です。選択者が少ないのはきっとmolの考え方や中和滴定の量的関係を飲み込みきれなかった人が多かったからだと思います。しかし、ここでも超わかる!授業動画が活躍します。本当にこのチャンネルはすごい。分からなくても何度も見ればきっと理解できるはず。そして理科基礎は直前期に頑張れば…と考えている人が少なからずいると思いますが、意外と大変だと思います。1科目50点だから努力の成果が見えづらいですが、配点がそれなりにちゃんとある人は理科基礎を侮ることなく、授業や考査を有効活用してきちんと詰めましょう。一橋大学社会学部では1000点中共通テストが180点で、国数英社が各20点、理が100点という非常に特徴的な配点です。私は直前期に倫政よりも理科基礎に命をかけ、結果は97点、一橋の配点だと共通テストは163/180点となり、まさかの9割をもぎとることに成功しました。配点の傾斜は前々からしっかり把握して作戦勝ちを目指しましょう。

❺地歴(世界史中心)

要旨:通史完成は急がなくてOK。色分けはアウトプットの拠り所作りに有効

 世界史だけちょっと長めに色々語らせてください。まず、本校の文系世界史は通史完成が遅めです。周りの学校の情報を得ると進度のギャップで焦っちゃう人もいますが、これは全然大丈夫です。進度の遅さゆっくりじっくり定着させていることの証左だからです。文系世界史担当だった先生は毎回授業の冒頭で前回の内容から一問一答を出題してくれます。抽選で選ばれた人がそれを解答するというなんともスリリングな時間です。この時間があるとわかっているからこそ、文系世界史選択は仲間たちと一緒に授業の10分前からお互いに知識を確認したり問題を出し合ったりして前回の授業の復習をします。多分、この時間がめちゃくちゃ大事だった気がします。テスト前に範囲の最初から振り返るようだとどうしてもキツい部分があるので、こうしたこまめな復習の習慣は世界史に限らず大いに役立つだと思います。

 そもそも世界史のインプットというのは「アウトプットの拠り所作り」だと考えています。テストで問題を解く時、必要な知識が書いてあった授業プリント、教科書、資料集、用語集が記憶の拠り所となって、それを思い出しながら答えるというのが一般的な世界史の解き方になると思います。この拠り所として最も有効なのが本校の授業プリントです。教科書のような一連の文章では見えてこない関係や構造がよく分かるように作られています。資料集に同様の図があることもありますが、ちょっと詳しすぎることが多いです。

 そしてここからが私のこだわりとして伝えたい部分なのですが、それは色の使い方になります。重要な部分に赤を使ったり、人物名と地名で色を分けたり、色々な方法があり、そのそれぞれに利点があります。そしてここでは私が個人的に最強だと思うものを1つ提案します。それは「対比だけ」に色を使うという方法です。基本的にほとんどのプリントは全てシャーペンで書き、重要事項を強調したければ下線や太さや丸を用いてとにかくシャーペンだけで強調します。そして、大乗仏教には赤・上座部仏教には青、スンナ派には赤・シーア派には青、新教には赤・旧教には青、第一身分には赤・第二身分には青・第三身分には緑のような、対比のあるところにのみ色を用います。先ほど述べたように、インプットはアウトプットの拠り所づくりです。テストにおいて、プリントに書いてあることの重要度は関係ありません。出たものは出たものです。人名か地名か区別することもあまり重要ではありません。授業プリントを思い出した時、色が最大限効果を発揮するのは、対比を思い出すときです。「宗教改革期のイギリスの君主でメアリ1世にだけ青ペンを使ったな、メアリ1世は旧教を推した人だっけな」みたいな思い出し方ができるわけです。色分けはこのためにするべきだと思います。もちろん、この方法にも弱点はあるはずですから、全員にこれが当てはまるとは限りません。これも偏った意見です。ただ、現にこの色分けをしていたおかげで助かった場面が結構多かったので、伝えておきたかった所存です。お試しあれ。

 また、拠り所として年表型のまとめノートを作るのは有効です。私が作ったのは「冷戦期のアメリカ・ソ連史」「冷戦期の台湾・韓国・北朝鮮・中国史」「日清戦争〜WWⅡ末の中国・朝鮮史」「冷戦期のイラク・イラン史」などです。矢印を繋いでなるべく出来事同士を結びつけるのがミソです。ここに全て画像を貼っても良いのですが、これに関しては自分で作ることに大きな意義があるので、自分で作ることをおすすめします。

 最後に一橋レベル(200字以上)大論述の話ですが、これは共通テストで8割が安定した頃から始めて良かったと思います。3年生2学期の後半ぐらいからちゃんとやり始めました。論述対策に関しては教科書での学びを大切にしてください。マーク試験対策のときよりも因果関係の深い理解が必要になります。そして、ここではさらにレベルの高いアウトプットに挑戦してみると良いです。

「ドイツ史」や「キリスト教史」のようなテーマを決めて各世紀の出来事を思い出せるだけ書き出す紙。しんどいけど、これで自分の覚えていないところが明らかになる

 論述対策はどうやってもしんどいので、自分がなるべくしんどく感じない方法を見つけて頑張ってください。途中で狂って楽しくなります。ここまで書いておいて言うのもあれですが、私はまだまだ論述を語れるほど能力が成熟していない身分ですので、詳しい極意は先生から学んでください。本校の世界史の先生はすげぇです。本当に。

❻公民

要旨:定期テスト対策が本番の点数に直結。赤シートアプリで効率化を重視

 3年生でやる倫理や政治経済に関しては先生が最初から共通テストを見据えた授業を行なってくれることが多いので、定期テスト対策にガッツリ取り組めばよいでしょう。ここで一つ紹介したいアプリがありまして、それが「わたしの写真暗記帳」です。

 リンクから飛んでいただければ分かると思いますが、写真を撮ってそれに赤シートみたいな感じでマーカーを付けられるアプリです。非常に便利だったので課金して使いました。倫理のノートや政経のプリントの暗記に有効で、移動中でも簡単に操作できるのでおすすめです。

 ただし、倫理はこれ以上に教科書を読み込むのが大事です。「伊藤仁斎といえば誠」ぐらいでは解けない問題の方が多いです。誠という思想そのものの持つ意味を教科書から理解するのです。それでも分かりにくければ用語集を使うのも良いでしょう。

 政治・経済、特に経済分野は用語の暗記よりも理屈を理解する方が重要で、そこが辛いところです。どういう条件なら需要曲線が右にシフトするのかを一対一で暗記するのではなく、需要曲線が右にシフトすると何が変わるのかを理屈で考えてそれを体に取り込む、みたいな勉強が要ります。単純な数学ではないので理解に時間がかかることもありますが、分かってしまえば暗記に時間を使わずともしっかり得点を伸ばすことができるともいえます。

おわりに

 いかがだったでしょうか。受験生視点から見た各教科の概観とその対策について書きたいことをほぼ全て書いたつもりです。繰り返しになりますが、私がここに書いていることには偏りがあるので、鵜呑みにするのが良いとは言いません。ただ、私なりの偏った考えだからこそ教科に対する新たな視点を持てた人もいるのではないかと願っているところであります。3年生は行事が終わってからはしんどい日々が続きます。そんな中でも友達と遊んだり勉強を休んだりする選択肢はあります。当然、受験の失敗はその人の努力を全否定するものではありませんが、受験の成功は自分の努力を全肯定する力を持つと思っています。あそこで一旦友達と遊んだことも、あの日に丸一日勉強を休んだことも、全て作戦通りだと、あなたに豪語させる権利を与えます。胸を張って自分の努力を全肯定するためにも、休憩と勉強、緩と急の使い分けをとにかく大切にしてください。とにかく自分が後悔しない道を選び続けることがやりがいにも直結し、少しでも心を不安にさせない秘訣だと思います。この記事を読んだみんなが満足のいく結果を得られることを強く祈ります。頑張れ!!!!

 なお、ここで書いたこと以外で聞きたいことがあれば私のTwitter(@uruhyo)のDMで質問してください。私は母校が大好きなので後輩の疑問は極力解消したいのです。勉強のことで困りごとがあれば私が答えられる範囲で答えます。

それでは。

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