生誕250周年「1か月でベートーヴェンの32曲のピアノ・ソナタと16曲の弦楽四重奏曲と9曲の交響曲をぜんぶ聴く!」⑦

7日目「交響曲の最初の2曲(第1番ハ長調、第2番ニ長調)を聴く!」

1か月でベートーヴェンのピアノ・ソナタ、弦楽四重奏曲、交響曲の全57曲を聴くマラソン(笑)もようやく1週間になります。ようやくベートーヴェンの代名詞と言える交響曲です。5日目と6日目の2日にわたって聴いた6曲・半ダースの弦楽四重奏曲が出版されたころに書かれたのが最初の交響曲第1番ハ長調作品21です。すぐれたピアニストとして演奏や貴族の教師、ピアノ・ソナタの作曲家として活躍しながら、弦楽四重奏曲などの室内楽曲を手がけることで独自の交響曲を構想していたことはまちがいありません。

1.交響曲第1番ハ長調作品21

弦楽器のピッツィカートに木管楽器が重なるおだやかな序奏で始まります。この序奏がだんだんと勢いを増して、力強い主題を奏でていく展開が印象的です。おだやかで歌うようなフレーズとリズムの第2楽章につづく第3楽章は静かに始まって楽器を重ねながらリズミカルに盛り上げていく内容。木管楽器が奏でるフレーズに合いの手を入れるような弦楽器の扱いなど、ピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲ではできなかった交響曲ならではのおもしろさを味あうことができます。つづく第4楽章はティンパニの一撃で始まり、短い序奏のあと軽快でいきおいのあるメロディーがたたみかけるように展開されていきます。快活ではずむようなリズムと激しさもある構成はすでにハイドンやモーツァルトを超越しています。

2.交響曲第2番ニ長調作品36

交響曲第1番が出版されたあと、第2番が出版されるまでのあいだにピアノ・ソナタの第11番変ロ長調作品22から第18番変ホ長調作品31-3までの8曲が出版されていますが、せっかくですので(笑)交響曲第2番も聴きます。激しいティンパニの音が印象的な一撃で始まり、悲劇的なフレーズの序奏がつづきます。弦楽器、木管楽器、金管楽器、テインパニが調和したり対立したりしながら、めまぐるしくフレーズが展開していきます。第2楽章は美しくおちついたメロディーが印象的。スケルツォ(Scherzo)の第3楽章はどこかコミカルで激しく、あっという間に過ぎていきます。ユニークなはねるようなフレーズが印象的な第4楽章はさらにリズムを押して押して押しまくるような構成。

2曲ともにベートーヴェン自身の指揮で初演されたと言われますが、これを初めて聴いた聴衆はきっと驚いて、とまどったと思います。それまで交響曲といえば、長くても30分程度でオーケストラの規模も大きくなかったのが一般的だったのに対してベートーヴェンの2つの交響曲は第1ヴァイオリンからコントラバスまでのいわゆる「弦五部」にフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットの木管楽器にホルン、トランペットが各2人とティンパニの「2管編成」。しかもモーツァルトの時代まで、チェロと同じ楽譜で演奏していたコントラバスに独立した演奏が求められるなどの革新性があるからです。初演時は、その激しさから「軍隊調」や「奇をてらいすぎている」などと評されたと言われています。

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