生誕250周年「1か月でベートーヴェンの32曲のピアノ・ソナタと16曲の弦楽四重奏曲と9曲の交響曲をぜんぶ聴く!」⑫

12日目「交響曲第4番変ロ長調を聴く!」

12日目と13日目は2日つづけて交響曲を聴きます。交響曲第4番変ロ長調は、作品60が示しているとおり11日目に聴いた作品59の弦楽四重奏曲3曲とほぼ同時期に書かれたと思われます。ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58、唯一のヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61、これまた唯一の歌劇『レオノーレ』(第2稿、のちに『フィデリオ』として出版)作品72も同時期のものと考えられていて、ベートーヴェンの創作意欲が非常に高かった時期です。

第1楽章:Adagio(アダージョ) - Allegro vivace(アレグロ・ヴィヴァ―チェ)

暗く静かな序奏が次第にクレッシェンドしていって、軽快でリズミカルながら迫力ある展開になっていく楽章です。10日目に聴いた第3番変ホ長調作品55『英雄』のような勇壮さや壮大さはない代わりに、躍動感や激しさが強調されている曲です。このワクワクするような展開と手に汗にぎるような緊張感は魅力的です。17日目にマンガやアニメの『のだめカンタービレ』で一躍有名になった交響曲第7番イ長調作品92を聴きますが、この第7番と並んでリズムと迫力で聴く人を魅了する1曲です。

第2楽章:Adagio(アダージョ)

「タン・タタン」という符点リズムが印象的な楽章で、静かに歌われる美しいメロディーとティンパニをともなって打ちつけられるようなフレーズとのコントラストが激しい楽章です。悲しげなメロディーを切々と奏でる木管楽器群も印象的で、最後の部分ではホルンやティンパニのソロも独特です。

第3楽章:Allegro vivace(アレグロ・ヴィヴァ―チェ)

個人的に“リズムの交響曲”と感じるこの曲を象徴するような楽章です。速くめまぐるしく変化するメロディーとたたみかけるような展開で、ちょっとおちつきがありません(笑)。弦楽器群と木管楽器とが会話するようなところも聴かれ、ここでも激しさと軽やかさが交錯します。

第4楽章:Allegro ma non troppo(アレグロ・マ・ノン・トロッポ)

“リズムの交響曲”をしめくくるのにふさわしい楽章です。16分音符の速いパッセージが一瞬たりともゆるむことなく前へ前へと進んでいきます。流れるようにメロディーが展開されていきながら、ティンパニをふくめたオーケストラ全体がフルに鳴るところなど、これも交響曲を聴く醍醐味そのものです。クライマックスでいったん静かなフレーズが奏でられたあと、一気呵成に曲を閉じるところも興奮させられます。

これもYouTubeで公開されているリンクを貼っておきます。交響曲第3番変ホ長調作品55のときにもリンクを貼った指揮者、アンドレス・オロスコ=エストラーダ(Andrés Orozco-Estrada)の指揮ですがオーケストラがベルリン・フィルハーモニー・カラヤン・アカデミー(Karajan-Academy of the Berliner Philharmoniker)という音楽を学んでいる若い人たちによる演奏です。


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