μ-210を双眼RFTにしたい(6)

Alan Gee telecompressor mark II + Baader T2 amici prism + Kasai ELS

AGmk2を使った場合の合成焦点距離は、AGmk2からアイピース焦点位置(ELSの場合、第1焦点位置(31.7mmスリーブの肩の位置)でも同じ)までの距離が長いほど短くなる。また、その距離が長くなるほど焦点位置は主鏡側に移動するようだ。したがって、以下のようにセットアップした。

1) 2インチスリーブ - T2アダプタ内にAGmk2を入れ、T2アミチプリズムに接続。
2) それをピント位置を最短にした接眼部に接続。
3) 合焦する範囲でT2延長リングを最大限伸ばす。

ELSの第1焦点面までの長さは
1) Low profile アダプタ (22mm)
2) アミチプリズム (48mm)
3) T2延長リング (10mm+20mm=30mm)
4) T2-31.7mmアダプタ (20mm)
Total=120mm
これでBaader Classic Plössl 32mm、Classic Ortho 18mmは無限遠に合焦する。ただし32mmはもちろんELSの31.7mmスリーブで蹴られる。他のアイピースはまだよくわからない。

焦点距離の計算

AGmk2のマニュアル(https://www.baader-planetarium.com/en/downloads/dl/file/id/213/product/1197/baader_alan_gee_ii_telecompresor_shapley_lens_f_5_9_manual_and_applications.pdf)にしたがって、この時の合成焦点距離を計算した。

F2=AGmk2の焦点距離=259mm
S2= AGmk2のリアレンズからアイピース焦点位置までの距離=98mm
M= (S2-F2)/F2 = (98-259)/259 = (-)0.62
S1 = S2/M = 98mm/0.6216= 157.65mm
Effective focal length(efl)=prime focal length +S1=2415mm+157.65mm =2572.65mm
Effective f-stop (ef)= efl/口径=2572.65/210=12.25
Meff = ef × M=12.25×0.62= 7.6(= focal ratio).

理屈はよくわからないが、結局合成焦点距離は210×7.6=1600mmということか。これで合っていれば最初の段階から51%までの短縮となり、かなり画期的なのだが。

以上はT2延長リング〜31.7mmアダプタ上端までの長さが50mmの場合だが、30mmなら0.73倍 (1766mm、F8.4)、40mmなら0.70倍 (1682mm、F8.0)になる。

野鴨星団をみる

ちょうどいいところに野鴨星団が上がってきたので、低倍率側の追求はいったん休んで見てみた。Nagler Type6 11mm、153倍で、視野はSkySafariにアイピースの見かけ視野82°、×0.7レデューサ(レデューサの倍率を小数第2位まで入力できない)併用で表示させた視野円(0.5°超)と、ざっと見たところほぼ同じ広さになっている。ELS用レデューサで目立った視野中央の垂直方向の太い影はまったく出ない。かなりフラットで通常ミューロンで気になるコマ収差もほぼない。もう切り上げようと思っても、あと1分、やっぱりもう1分といつまでも見てしまう。暗いが、やはり21cm、解像度は高い。

たしかに双眼望遠鏡のようにすっきりクリアとはいかず、RFTというには狭すぎるが、なんとか使えそうなところまでは来た。が、視野の広さや像質、見やすさという点で、結局レデューサ・Power SwitchなしのBT-27がいいのか、レデューサありのELSがいいのか、あるいは対象によるのかなど、もう少し比べたい。