μ-210を双眼RFTにしたい(8)

Fl=600mmのアクロマートレンズでもう一押し

これまでに,MaxBright IIを使ってT2アミチプリズムの前に1.25 × GPC (glass path corrector)を,後ろにAlan Gee mark IIを入れることで倍率を下げつつ合焦することがわかった。ただ,GPCの開口径は24.5mmと狭く,周辺の光量不足が心配。また,焦点距離の長いレデューサーレンズを入れれば合焦するはずなのに,これまでは最長でも540mmまでのアクロマートレンズやレデューサ,クローズアップレンズしか試したことがなかった。そこで,径の大きい,もっと長い焦点距離のレデューサで視野拡大を試みた。結果として,D=50mm,fl=600mmのアクロマートレンズでほぼ限界と思われるところまで広くすることができた。

Low profileアダプタ再び

μに付属しているロックナットを使って最短でT2接続できるアダプタを,改めて作ってもらった(コスモ工房さん)。これまではここに10数mmを費やしていたが,今回の光路長はほぼ0。これ以上の短縮は普通には難しいだろう。これだけを作ってもらえばあとは市販品でできる。

T2プリズムのオス側をロックナットに通して,アダプタにねじ込む。アダプタにはこのカニメ穴がないとしっかり固定できない/取り外せなくなる。やってみてからわかったので,後から自分で開けた。

レデューサの作成

スコープタウンさんでD=50mm,fl=600mmと800mmのアクロマートレンズを購入。まず600mmを試した。

これをM57オス-M57オスアダプタ(Borg【7457】)に入れ,57mmネジ→42mmT2ネジ(笠井さん)で上下を挟む予定だった。しかし,【7457】の内径がわずかに小さく,レンズが入らない。内側のネジをヤスリで削り,無事収まった。

また,【7457】の高さがレンズの厚さよりも高く,厚紙のスペーサ(4枚, 2.5mm)を入れた。できるだけ後ろのほうで光を受けるために(この方がバックフォーカスを稼げる),スペーサはレンズの前側に。ここで2.5mmの消費はもったいないが,結果的にこれで大丈夫だった。

レンズを入れ,レンズとセルとの隙間3箇所に薄いフィルム(お菓子の袋を切ったもの)を入れてセンタリング。T2-M57アダプタがレンズに当たる部位は植毛紙のリングでクッションを作った。

完成。コーティングは1面。反射が結構強い。

倍率は0.81倍に縮小,視野角は1.23倍に拡大

いつもの避雷針で確認。余裕で合焦(ピントノブの余裕は2回転以上)。無限遠にはぎりぎりか。GPC+Alan Gee mark IIよりさらに少しだけ広くなっている。この状態でELSを使っても視野がケラレるため,こちらのほうが実視野・見かけ視野ともに広い。これでELSはμではお役ご免になった。

無限遠に合焦

ピントノブの余裕はほぼないが合焦。像質も問題なし。合焦確認できたアイピースはLavendure 40mm, Baader Classic Plössl 32mm, RKE 28mm, Photon 25mm, UF24mm, Nagler T6 11mmなど。Ethos 8mmは残念ながら不可。メインで使用する予定のUF24mmは周辺までよい。RKEは相変わらず面白い。Photonも健闘で,視野の広さはUF24mmとほぼ見分けがつかない。UFよりやや周辺のピントがずれるか。どちらも二重星団がなんとか入る(周辺までは無理)。M36, 37, 38,特に37がすばらしい。

μ-210で正立正像,レデューサ・双眼装置併用でここまで行けばまあ,目標達成だろう。結果として,これまででいちばん効果的でいちばん安上がりだった。

課題

アイピースによっては3等以上くらいの明るさだとゴーストが出ることがある。レデューサのコーティングのためか。Deep sky用途なら問題ない。あと数ミリは光路長を切り詰められる余地があるので,0.8倍を切るまでまでなんとかいけるかもしれない。