性同一性障害における仮説

トランスジェンダー的なあれこれの吹きあがっている問題をみると、前提となる知識が人によって異なりすぎていてるなーと感じます。

個人的には今後解明されていくだろう人体の科学領域の一つなんじゃないかなあと思っています。

というのも、性別や性指向を決定する遺伝子は複数にわたっているとされ、まだ解明されていません。

性別違和を強く抱くトランスジェンダー(TG)や性同一性障害(TS)は、先天的に身体の多数を占める方と別の性の遺伝子がそれなりに多く組み込まれたか、後天的にエピジェネティクス的にスイッチが入ってしまった状態の個体なんじゃないかと思っています。

以下、ある記事を引用します。

遺伝学を考慮に入れると、男女の境界はさらに曖昧になる。主な種類の性分化疾患に関わる遺伝子はすでに多数見つかっており、これらの遺伝子に存在していて、個人の解剖学上もしくは生理学上の性的特性に微弱な影響を及ぼす多様性についても明らかになっている。さらに、DNA塩基配列解読や細胞生物学の新技術によって、ほぼ全ての人の体は、程度の差はあれど、遺伝学的に異なる細胞がパッチワーク状になっていることや、一部の細胞の性別が残りの細胞の性別と一致しない場合があることも分かっている。さらに、細胞の性別はその細胞の挙動に影響を及ぼしており、そこには分子レベルの複雑な相互作用ネットワークが関わっていることが一部の研究から示唆されている。「男性にも女性にも相当大きな多様性があり、男女という二元的な性別では容易に定義できないオーバーラップ領域が確実に存在していると考えています」と、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ児童健康研究所で性分化と内分泌学を研究するJohn Achermannは話す。

https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v12/n5/%E6%8F%BA%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%80%A7%E5%88%A5%E3%81%AE%E5%A2%83%E7%95%8C/62908

これは自分にとって非常にしっくりくる仮説で、それぞれの人が一つ一つの項目への感じ方において性別ポイントをそれぞれ持ってるんじゃないかという感じがしています。

例えば簡易的に5種類ぐらいの性別ポイントが各々に備わっているとして、その組み合わせによって

社会性(集団の構成のしかたやコミニュケーションスタイル)男or女
色彩やオブジェクト形状などの趣味(黒ベースorパステル等)男or女
社会的役割1(集団を率いる責任や重圧への耐性があるか等) 男or女
社会的役割2(細かなところに気を配るのが苦にならないか等)男or女
身体違和(自分の身体に対してしっくりくる/嫌悪感がある等)男or女

みたいにそれぞれの人が性別ポイントを割り振って複合的に持ってるんじゃないかという気がします。

男or女みたいな右の項目の分け方は雑ですが、簡易化のためのものです。実際はここもパーセンタイルによるグラデーションだったりするのかもしれません。

そうすると、自分の個人的な観察による経験則的な感想と結構合致するところがあるなあと感じるのです。

例えば、
社会性(集団の構成のしかたやコミニュケーションスタイル)女
色彩やオブジェクト形状などの趣味(黒ベースorパステル等)男
社会的役割1(集団を率いる責任や重圧への耐性があるか等) 男
社会的役割2(細かなところに気を配るのが苦にならないか等)女
身体違和(自分の肉体形状に対してしっくりくる/嫌悪感がある等)女

こういう組み合わせを持った個人の場合、「妙に男らしい趣味と気質を持ったリーダーシップのある女性」となりそうな感じがします。
この方が戸籍的に女性だった場合、「妙に男らしい趣味と気質を持ったリーダーシップのある女性」となって、性別違和者とは認識されないことでしょう。


社会性(集団の構成のしかたやコミニュケーションスタイル) 女
色彩やオブジェクト形状などの趣味(黒ベースorパステル等) 男
社会的役割1(集団を率いる責任や重圧への耐性があるか等) 女
社会的役割2(細かなところに気を配るのが苦にならないか等)女
身体違和(自分の肉体形状に対してしっくりくる/嫌悪感がある等)男

この方が戸籍的に女性だった場合、性別違和者となるでしょう。

自分の周りにも性別変更をした同級生はいますが、数は多くはないものの実例と接して、想像していた「心は男、身体は女」とはちょっと違うなと感じました。個人の感想です。(※1)

そういった形で身体移行を行うのは、身体違和が強いタイプか、あるいはどうしてもフルタイムで移行先の性別として社会的に生きたい(生きるには身体と戸籍を変えるしか方法はないと強く思っている)タイプの方なんだという風に見えます。

しかし、見た感じ、身体違和が強くて性別変更を行う人が、「本来の性別」の社会集団スタイルを身に着けているかといえば必ずしもそうではなく、むしろ移行前の性別のほうのコミニュケーションのほうがしっくり来ている感じの人もいそうだなあと、思ったわけです。

いままで性同一性障害的な典型例として想像していたのって、

社会性(集団の構成のしかたやコミニュケーションスタイル) 女
色彩やオブジェクト形状などの趣味(黒ベースorパステル等) 女
社会的役割1(集団を率いる責任や重圧への耐性があるか等) 女
社会的役割2(細かなところに気を配るのが苦にならないか等)女
身体違和(自分の肉体形状に対してしっくりくる/嫌悪感がある等)女

で生まれ持っての戸籍が男(あるいはその逆)

とかそういう感じだと思ってたんですけど、

かならずしもそうでもないっぽいな、というのが個人的な感想です。

(※ なぜここで身体は男/女という表現を避けているかといえば、スイッチが入った状態の遺伝のグラデーションの仮説の話をしているので、各細胞の遺伝子も「身体性」に含まれる以上、完全に身体は男/女の状態の人の話ではないからです。)

(※1 男性→女性で身体変更&戸籍変更までいった同窓生等はいません。(連絡がないだけでいるのかもしれませんが)集団から「女の子」っていわれているぐらいは普通にいました。)

特に結論等はありません。

あと余談ですが大学院時代の先輩に厚労省で働いている人がいます。めっちゃ忙しそうでキビキビした感じに変貌してました。
インターネットにおいて当事者として発言する当事者はどのぐらいの意味での当事者なんだろうなーという雑感もありました。
彼らは「同じ性別違和者同士」みたいな仲間意識で連帯しているとしても、一皮むけば上述のような理由で、本当は「似たような感覚を持っている人達ではない」のかもしれないなという気がしました。







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