コオロギ食べたくないからあれこれ調べてみた話
どもどもー! 現在Kindle用にあれこれ書いていてお家に籠もりっきりの揺蕩う貴婦人(?)洞施(うろせ)うろこです! 名字読みにくいけどよろしくね!
電子書籍作成の作業は色々と残っている現状。note記事を書く余裕があるのかと問われたら、正直ないですが……
ただ、昨今の情勢を受けて声を大にして言いたかった。
コオロギ食はありえないだろう!!!!!! と。
まあ、基本的に昆虫類が苦手な私。感情のままに叫べば「キモチワルっ」しかなくなるわけで。それで叫んだところで誰にも何も響かないというのは確かです。
じゃあ調べてやろうじゃねーか! と思い立ったので、なるべく感情を排除して調べていきましょう。
うん。導入が長いね。
あ、昆虫食全般に対して否定しているわけではありませんので、そこはご理解ください。
では、れつごー!
昆虫食ってどうなん?
まず、未来の食糧危機を見据えて推進され始めている昆虫食ですが、これまでの昆虫食文化を見てみます。
日本でも蜂の子やイナゴ、地方によってはザザムシなどが食べられていますね。
海外に目を向ければクモ、カイコの蛹、アリ、イモムシ等々……様々な昆虫食が存在しています。
で、ここで「どうせコオロギは一般的じゃないとか言うんだろ。コオロギだって食べる文化はあるんだからな」と、仰る方もいるでしょう。ええ。私だって調べたんだからね!
確かに、世界中に昆虫を食べる文化があります。それは否定しません。
が、よく考えてみてください。
それらはわざわざ養殖してまで食べているようなものでしょうか。
広い意味で言うならば、カイコは養殖と言えるかもしれません。しかし、養蚕は飽くまで絹糸の生産が主目的。カイコの蛹はその副産物です。糸を取ったら茹でられた蛹が残ってしまいますからね。エコですね。
蜂の子は駆除の側面もあるでしょう。クモ、アリなどは大量に発生するので捕獲も容易です。
このように、改めて養殖してまで増やす必要のない虫を食べているというのが現状の昆虫食ではないでしょうか。
虫の養殖は爬虫類・両生類のペットフードという用途くらいしか聞いたことがありません。対ヒト用の食料としては今回のコオロギとミルワームくらいしか見当たらなかったですよ(一部サソリもあるようだが、こちらは嗜好品的な扱い&ミツバチはハチミツの用途が大きいと思うので除外)
これだけ世界に広がって歴史もある昆虫食の中で、近年まで養殖を考えられてこなかったという事実を改めて考慮する必要があるのではないでしょうか。
んじゃ、コオロギは? コスパいいって聞くけど。
次にコオロギ養殖を薦めている方々の主張を聞いてみましょう。
食肉コストという点でコオロギは圧倒的にパフォーマンスに優れている、という主張ですね。
こちら、敷島パンのコオロギパン騒動によって有名になってしまったFUTURENAUTさまのHPです。
画像も引用させていただきました。
このように、可食部に対するコストが掲載されていますね。
ちなみに、牛の可食部は全体の約40%。豚は約55%。鶏も約55%という数値を元に計算されています。
これらは事実です。嘘は書かれていません。
が、嘘ではないことこそが問題。正しいとは思えない比較でも『嘘』ではないからね。っていう。
それでは、主な畜産の可食部について調べてみましょう。
みんな大好きWikipediaの畜産副産物の項に細かい数値が載っているので見てみます。
……食べられる部位を合算したらちょっと数値にブレが出ましたが、まあ概ね合っているということにしてもいいかと思います。大サービスです。だって鶏の内臓にも食べられる部位はあるし、西洋には血液を固めて食べる文化だってあるからね。
と、閑話休題。それではコオロギを見てみましょう。
こちらの記事(リンク先コオロギの画像あり)を引用させていただきます。
なるほど、コオロギの可食部は約100%と……だって、全体を乾燥させて粉末化してるから!
――――って、そんな暴論が通じるかあああぁぁあっ!
……すみません。ちょっと感情的になりました。
ええと、ですね。これが通用するならカニでもヤドカリでもエビでも100%にできますよ……謂わば殻ごとバリバリですよ……
つまり、本来可食部として計算されるかどうか分からない外骨格まで含めている、という認識になってもおかしくないのではないかと。
他の畜産物では食肉(と可食内臓)しか計上していないのに、コオロギではタンパクになる肉(?)以外の副産物まで「食べられる!」と主張されていることになりませんか? だって外骨格なのに。殻と同じなのに。
あと、これは蛇足になりかねないんですが、昆虫の外骨格はキチン質です。
カニやエビ等の甲殻類の殻にも含まれる物(というか主成分)ですが、これは人間にとって消化吸収できない成分です。
基本的には摂取したからといって害になるようなものでもないのです。が、これらの甲殻や外骨格を持つ生物にアレルギーを起こす人もいます。甲殻類アレルギーですね(キチン質自体がどうこうというものではないが、それらの生物に追随するタンパク質で……と、長くなるので割愛)
コオロギ食でアレルギー表示が必要になる、という主張はこの点からきています。当然です。
そして、キチン質は消化吸収できないので体内で食物繊維と同じような作用をするのですが、過剰に摂取した場合一部の栄養素が吸収されにくくなるという弊害も起こることがあります。
キチン質が悪い、ということではなく、過剰に摂取しかねないという点が問題だと考えています。
食肉の代替としてのコオロギ食を考えた場合、キチン質はどれだけの量になるでしょうか。
こちらの記事からの引用です。
健康長寿ネットというサイトで一日の推奨タンパク質摂取量を調べます。
表はリンク先からお願いします。
で、コオロギ100gあたりのタンパク質を先程のキチン質を調べた記事で見てみると、
なのだそうです。
つまり、一日100g相当のコオロギパウダーで概ねのタンパク質は補えることになります。
が、キチン質は6.6g……
はい。ここで、一日に推奨されるキチン質の摂取量です。
SUNAO製薬さんの記事から引用。
いやあの……キチン質を元に計算したら、コオロギパウダーは一日あたり約15gくらいが摂取の限界じゃないですか……これを新たなタンパク源として考えるのは難しいのでは……
計算上、コオロギからは一日9gのタンパク質しか取れないことになりますけど! それ、本当に有効な摂取手段なんですか!? アレルギーの危険性を無視してまで推奨するくらいに!? 河野太郎さんお便秘に気をつけて!(???)
えー、少々取り乱しました。
このように、可食部やタンパク質という点で見てみると一見良さげなデータが出ているコオロギですが、実のところはキチン質が邪魔になり食肉のように必要なタンパク量を摂取できなくなる食材なのです。
これをやれ「可食部100%で~」だの、「高タンパク質食品」だのと推奨することに対しては、懐疑的にならざるを得ないです。
このように摂取量に限界があるコオロギが、本当に『高コスパな食材』と言えるのかどうか……怪しいものですね。
そして、これも蛇足になりそうな話題なんですが、餌になる飼料の重量でコオロギと他の畜産を比較していますよね。
これ、同じ飼料を使うなら比較は正しくなるんですよ。
そう。飽くまで同じ飼料を使うなら、です。
遺伝子組換え作物ありますよね。家畜の飼料によく使われています。大豆とかトウモロコシとか。収穫率も高いので、安定供給が可能です。
これらは人間が食べても問題ない作物なのですが、どうもイメージが良くないので避けられがちです。(遺伝子組換えでない)という表記は日常でよく見ます。
で、何でその話になるかというと、この遺伝子組換え作物、昆虫の飼育に使えるのかという疑問があるからです。
遺伝子組換え作物には害虫対策が行われているものがあります。先に出た大豆やトウモロコシなんかもそうです。
土壌にある菌(Bt属)からタンパク質を生成して消化液がアルカリ性になる昆虫に対して毒性を発揮します。詳しくは『Btタンパク質』か『BT剤』で調べてね!
植物の食害を防ぐ目的の組み換えで、鱗翅目やハエ目などに対して毒性が確認されていますが、コオロギに対しての文献は見当たらなかったです。
が、だから大丈夫だなんて言えるでしょうか。
養殖されて食性が主に植物中心になった場合、仮にコオロギの消化液がアルカリ性ではなかった(考えにくいけど……)としても、そちらに傾くような進化が起こらないとも限りません。養殖なら尚のことではないでしょうか。
そうなると、大量死を起こしかねない遺伝子組換え作物は飼料として相応しくないのでは。安定供給を目指すなら、全滅の危険性は排除すべきですから。
つまり、安価で人間が食べたがらない遺伝子組換え作物を食べている家畜の飼料と、遺伝子組換え作物を使うには不安があるコオロギの飼料を同列で語るのは間違いだと言えます。飼料価格が同等じゃないのです。
なんということでしょう! ここでも示されたコストパフォーマンスに疑念が生じますね。
タンパク源以外の視点から。
さて、ここまではタンパク源という観点からみたコストパフォーマンスの話でした。
その他にうろこ個人で気になっている点があるんですよ。
それが、畜産副産物です。
先の項目でも書いた畜産の可食部。それを取り除いた謂わば非可食部はその後どうなるでしょうか。
廃棄じゃない? 食べられないところなんだよね?
……なんて、本当にそう思いますか?
では、ここで非可食部がどうなっているのか見てみましょう。
お肉を取られた牛さんについてです。こちらの記事から引用。
この記事は牛についての記事ですが、豚からも同様に脂からラードを取ったり、豚骨からスープを取ったり、豚革を取ったり、ゼラチンなんかも取ることができますね。ゼラチンは医療関係でも広く使われる素材なので、私達の生活においてとても重要です。
鶏も同様に骨からガラスープが取れますね。美味しいです(……)
そして、鶏に関しては鶏卵を産んでくれるんですよ! 卵ですよ卵!
重要なタンパク源。美味しいし、栄養バランスはいいし、一羽が年に300個くらい産んでくれるんです!
……ちなみに、鶏は卵を産まなくなるまで育てるということはあまりなく、1、2年でお肉になります……命は大切にいただきます……!
と、まあ食べられないとされる部分も有用に活用されている家畜さんたち。
これらを可食部のみのデータで見てコストパフォーマンスを語る、というのは果たして正確なのでしょうか。
非可食部で生まれた利益を計上し、それを考えた上でコストパフォーマンスを語るのが正しい情報だと思うのですよ。だって捨ててないんだし。
さて、畜産副産物について話したところでですよ。
コオロギって、副産物あります?
可食部約100%で?
食用として飼育する上ではスカベンジャーとしての役割は果たせないのに?
食用としてパウダーにされる以外に何か有用性はあるんですか?
うろこは、昆虫食の中でもカイコの蛹に関しては理解できます。こちらもパウダー状にしてからなら何とか……というくらいではありますけど。
何故カイコなら許容できるかというと、カイコの蛹自体が養蚕の副産物だからです。更には、カイコって完全に人間の飼育下でなければ生きられない生物でもあるからです。既にノウハウは確立しているんですよ。
対してコオロギは、これまでペットフードとしての飼育が主でした。最近になって食用としての飼育方法を確立しようという動きになったところです。
研究はされていましたし、実際に運用している企業などもありますが、まだ養蚕や畜産のように確立しているとまでは言い難いです。
正直嫌悪感も大きいですからね!!(大声)
これだけ調べてみたところで。
国会議員のコオロギたろ……じゃない、河野太郎氏はこう仰っしゃられました。
「陰謀論者がSNSでコオロギの話を随分拡散しているようで、かなりデッチ上げの投稿が多数見られている」
まあ、SNSは自由な空間ですのででっち上げの投稿などもあるかもしれません。しかしながら、コオロギ推進派の出してきているデータはどうなのでしょうか。
嘘は書いていません。が、表に出されているのは必要なファクターを全て含めて計上されたデータなのですか? 畜産業の副産物について触れないのは何故ですか?
今回調べたデータでは、なるべく公平を期そうと考えてコオロギ食でよく出されている懸念(昆虫の中でも食べられない種だとか、妊婦にはどうとか、プリン体とか……)は控えました。これらの情報は精査できるほどのデータを探せない(正確性が保証できる気がしない)ということもあったので。アレルギー関連はどうしても書くべきだと思ったので出しましたが。
これだけの疑念があるコオロギ食を推進する為に、正しいとは言い難いデータを元にさも有用であるかのように語る。これは『陰謀論者』だけが疑問を呈するような話なのですか?
否定派を『陰謀論者』だと切り捨てず、様々なデータを正しく明らかにした上で推奨する理由(あるようにも見えないけど……)を広く知らしめるのが先だと思います。
特にアレルギーの危険性を孕んでいること、キチン質の過剰摂取を防ぐ為一日の摂取量に限度を設ける必要があることは、はっきりと周知させるべきではないでしょうか。
今のようなゴリ押しでは、到底納得はできませんよ。嫌悪感を抜きにしても有用性を見出だせません。況や公金を投入しようなどと。
まあ、まとめてしまうとタンパク源としてもおかしいと思うし、食べたいとも思えないし、コスト面からいってもとても肉の代わりになるとは思えない。そういった結論です。
正直、タンパク源としてみるなら山ほど廃棄されてしまっている牛乳からバターを作って余ったバターミルクの方がいいと思うの! 技術はもう出来上がってるし、バター不足も補えるからね!
あと、みんなおから食べよう!! ね! 食物繊維も豊富だよ!!!
うろこが嫌悪感を抜きに考えてみたこれらの情報から、コオロギ食に関してどう思うかは読者の皆様の自由です。
ただ、絶対に普及して欲しくない食材だなぁ、とうろこは思った次第なのでした。