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映画化について思うこと

今日、『夜明けのすべて』をみて映画化について考えさせられたので、ここに記したいと思う。

これまでは映画化というと、尺の都合などから内容が端折られてしまうことが受け入れられず、どうしても見応えに欠ける印象があり避けていた。

数ヶ月前に朝井リョウさんの「正欲」の小説に衝撃を受け、どのように映画化されるのか興味があり、ひさしく小説の映画化された作品を見た。
正欲については、たしかに小説の内容の全てが網羅されているわけではなかったものの、内容の重要なところはきちんと押さえられていて、うまくまとまっている印象だった。
(個人的には大学の話にもフォーカスして欲しかったが全体のまとまりや尺を考えるとやむを得なかったのだろうと納得)
サイドストーリー的なところは端折りながらうまくストーリーが繋がるような伏線などもあり、あの小説が映画化されるとこういう表現になるんだ、と新しい楽しみを見出せた気持ちになった。

そして今回、瀬尾まいこさんの夜明けのすべてをどのように映画化されるのか、数日前からとても楽しみに映画館へ向かった。

もともと瀬尾まいこさんの小説は数年前からはまって読んでいて、夜明けのすべては文庫本を買うタイミングを逃してる合間に映画化されたものが公開となったのだが、
先に小説を読んで、どのように実写化され表現されるのかを楽しみたかったため、映画を見る前に急いで本を購入して読んだ。
主演の上白石萌音さんと松村北斗さんが「すごくしっくりくる…」が読了後の感想だったし、映画を見るのがとても楽しみだった。

冒頭に小説通りのナレーションがあり、これは原作に忠実な作品だと心躍ったのは束の間、、、
原作の要素をつまみ食いした程度の全く別物の作品となっていた。結局何を伝えたかったのか、逆に映画オリジナルを入れることに躍起になっていろいろな要素が中途半端に仕舞われて、悲しくなった。
こんなことなら小説を読まずに「そういう作品」として受け入れ、楽しめればよかったと思う。
こんなに改変されるのであれば、映画化と謳わないでほしかったと思った。そして、キャスティングも素晴らしかったが故に余計に悔しい。

もちろん映画ならではのオリジナルを入れることでより見応えのある作品になる場合もあると思う。今回だって瀬尾まいこ原作小説の映画化ではなく、単なる映画作品であればここまで違和感もなかったのだろうなと思う。

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