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【DDS】つまり?【SMT】

 気に入ったゲームは何度でも周回する――そう、ぼくです! 『真・女神転生V Vengeance』です!

 これ、本来ならアペンドディスクのような形で(かつ低価格で)、「復讐の女神篇」を追加するか、もしくは『ⅣF』のようにマップを流用しつつほぼオリジナルのストーリーにしてフルプライスで売るか、そのどちらかにすべきだったとは思うが、いずれにしろ『VV』がリリースされた以上、『V』の物語はこれ以上広がることはないだろう。おそらくこの先の追加DLCの販売もなし。……というか、本体+コノハナサクヤ+ダグザで1万円超というのは冷静に考えるとやっぱり高いな。SFC末期の『旧約・女神転生』を思い出したよ、ぼくは。

 ……という話はさて置き、「創世」と「復讐」双方のエンディングを確認したのであらためて総括。
 ぼくが以前からいっていた、縄印学園にナホビノの知恵候補の人間が大量に集められている理由については、明言はされないものの、「創世」のほうで追加されたサブクエストをプレイすることで、かなりはっきりと推測が可能になった。「創世」でも「復讐」でも、理由としては同じだろうから、この点はひとつスッキリした気がする。これはまあよし。

「創世」にもあったシーン。アトゥムやバアルの知恵を持つ人間をアブディエルが始末した?
新規サブクエスト「機密書類の運搬」のワンシーン。「復讐」と「創世」では書類の内容が違う。
知恵を持つ人間を匿うために日本支部が用意したのが、おそらく縄印学園だったのだろう。

 ただ、各キャラクターの描写という点では、無印の頃から感じていた浅さというか、希薄さ? のようなものは解消されていないと思う。
 たとえば「復讐」の途中で、主人公とユヅル、イチロウの3人を、唐突に「おれたち親友!」みたいな空気に持っていこうとするようなシーンがあったが、あれは何を意図したものだったのか。まあ、ふつうなら、そのあとに待ち受けている残酷な別れを強調するためのものと見るべきだろう。

主人公「……ぼく、たぶんきみと5回くらいしかしゃべったことないよね? 急に何?」

 実際、かつてともに戦った仲間同士が、主義主張の違いから袂を分かち、やがて戦うことになる――というのは、すでにナムコ版『女神転生Ⅱ』で描かれていたし、『真Ⅰ』や『真Ⅳ』でも同様の流れがあった。ただ、これらの作品で別離から対決にいたる展開に強い悲壮感を覚えたのは、実際にゲーム中でその仲間たちと長く冒険し、そのぶん彼らに深い愛着をいだいていたからである。だが、「復讐」で人間キャラもゲストとしてパーティーに組み込めるようにはなったとはいえ、正直ユヅルやイチロウといっしょに冒険する時間はそれほど多くない。
 振り返ってみれば、港区でのユヅルは最初のグラシャラボラス戦のみ主人公と共闘したが、その後はずっと単独行動。この間、イチロウは議事堂でずっと頭をかかえている。魔界化した学園でも品川区でも、基本的にふたりは主人公とは別行動を取り、ミヤズ救出イベントで一応3人が揃うものの、いっしょに冒険したわけではない。実際、男子3人が同じパーティーで冒険できるのは、コンスに拉致されたミヤズを奪回するためにオダイバへ向かった際のごくわずかな期間――具体的にはイシス戦&コンス戦のみで、それこそ30分もかからない短時間である。
 プレイヤーに運命の残酷さ、過酷さ、そして戦いのあとの喪失感などを感じさせたいのなら、3人で行動する期間をもっと長く取り、プレイヤーに彼らへの愛着をいだかせるべきだったと思う。正直あの流れだと、「これからは妹だけじゃなく東京も守る!」とかいいつつ合一すらせずに死んだユヅルは口だけ番長、イチロウはただ力に溺れて急にイキり始めただけの嫌な奴という印象しか残らない。

 逆にタオとヨーコについては、品川区〜新宿区までほとんどの時間をともにすごし、その間、主人公も交えて会話するシーンが頻繁に用意されていたため、ユヅルやイチロウよりよほど親しみが湧いた。これらは主人公の属性決定にかかわる重要な要素であると同時に、少女たちが徐々に親密になっていく過程を描写する上でも大切な要素だったと思う。

ただ、マーラ戦後に平然としてるJKはおかしい。もっとこう何というか、恥じらいというか……。

 もしユヅルやイチロウにも、たびたびこうしたやり取りが挿入されていれば、最終的な印象はもっと変わっていたと思うが、あいにくとそういう要素は盛り込まれなかった。

 また、八雲とジョカの関係性についても、よく判らないまま終わってしまったという気がする。「創世」の終盤で、ジョカが八雲の家庭環境やら生い立ちやらを一気に語ってくれたが、「復讐」のほうでもさほど目新しい情報は出てこなかった。八雲とジョカの出会いや、ジョカがあそこまで八雲に肩入れしていた理由も不明のままである。
 では、ラスボスポジションを下りた「復讐」での八雲たちが何をしていたのかといえば、特に目立ったことは何もしていない。カディシュトゥと戦うのはつねに主人公だったし、さりとてベテル本部と真っ向激突していたわけでもない。何かもう、主人公ががんばってるところにひょいと出てきてぱらぱらと情報を小出しにし、主人公ががんばってる間に日本支部からスマホを盗んでいったくらい? まあ、「復讐」における八雲は、座の破壊を目指すポジションをヨーコにゆずらざるをえないわけで、彼らが何となく中途半端な立ち位置のまま、ティアマト復活とほぼ同時に強制退場となったのも当然なのかもしれない。

 結局、「復讐」は「創世」をベースにしていて、比較的自由にいじれるのは新宿区+シャカンだけ、その前後の基本的なストーリー展開を変えることは不可能だったのだろう。だから、男子3人の親密度を自然とアップさせるようなイベントも、八雲の過去を描くイベントも、序盤から組み込むことができなかった。
 というか、むしろそうとでも思わなければ、港区、品川区、台東区のそのままっぷりは、単にスタッフの手抜き、怠慢ということになってしまう。時間的、金銭的なコスト面からこうせざるをえなかったと、ぼくとしてはそう考えざるをえなかった、といわざるをえないね、うん。

 総じて見れば、もし初っ端から『VV』が出てきたのなら、多少の穴はあってもかなり満足の行く作品という評価だったとは思う。だが、さんざん『V』を遊んだあとで『VV』を出された身としては、評価が厳しくなるのは仕方ない。いっそ『Ⅲ』のように10年単位の時間をおいてリマスターされたのならともかく、まず新鮮さに欠けるわけだから。
 それでも、戦闘は面白いし悪魔の数も増えて育成もしやすくなったことを思えば、ぼくは今後もちょいちょい『VV』で遊ぶと思う。好きか嫌いかでいえば、このシリーズはかなり好きなゲームの部類に入るし、だからこそ、いろいろと小言をいいたくもなるのである。特に今回は、俗にいうペルソナ商法めいた思いをさせられたせいで、余計に不満点が強調された気がしている(とぼくは感じている)。
 いつになるのかは判らないが、『Ⅵ』ではきちんと1本で完結する物語を見せてもらいたい。

 いや、令和基準で『Ⅰ』、『Ⅱ』をリメイクしてくれてもいいのよ? もしくは『ライドウ』の2本パックとか。

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