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【SNK】コラボ解説34【キミヒロ】

 コラボ解説の続き。赤いエンゲルマスクことグリフォンマスクと遭遇し、相互理解のためにいつものようにぶつかり合ってホントに理解し合う両者。これでたぶん、グリは学園に来てそのまま体育教師みたいなことをやるのだろう。仮面ティーチャー
 さて、このコラボストーリーの主人公ともいえるロックは、身長を詐称している双子からギースの生存を聞かされ、いつの間にかテリーではなくギースを捜して街をうろついていた。そんなロックの前に現れたのは――。


 ロックくん、捜したよ。
ロック
 あんたは確か……サムライの人だったな。あんたも俺を連れ戻しにきたのか?

 いや、たぶん僕が説得したって、きみは学園に戻るつもりはないだろ? ちょっと話をしたくなっただけだよ。きみは僕に似ているから……。
ロック
 ……そんなの偶然だろ。確かに少しは似てるかもしれねえけど……。

 見た目の話じゃないよ。境遇っていうか……僕にも仇と呼べる相手がいるからね。
ロック
 ……あんたも誰かに身内を殺されたのか?

 僕を拾って育ててくれた義理の父がね。その仇は、今もこの世界で生きているよ。
ロック
 何だって? あんた、それでいいのか? 自分の手で仇を討とうとは思わないのかよ!?

 以前はそうだったよ。仇討ちのために剣の腕を磨いて……そしてヤツを倒した。でも、僕に迷いがあったせいかな。とどめを刺すにはいたらなかった……。
ロック
 今はどうなんだよ? そいつを捜し出して、今度こそって思わないのか?

 いや……もう気がすんだっていったら、おかしく聞こえるかな?
ロック
 気がすんだだって……? もう復讐心が消えたっていうのか?

 あの時、僕は自分がかかえている怒りや憎しみをすべて吐き出した気がする。あの男が実はまだ生きていると知っても、不思議と落ち着いていられるんだ。それはたぶん、僕の父が、死に際して納得していると分かったからだと思う。
ロック
 死に納得してるって……どういう意味だよ?

 父はその男のことを恨んではいなかったし、僕に仇討ちをさせたいとも思ってなかった。ただ、以前の僕は父のそんな思いよりも、自分の復讐心を優先させていたんだ。 それを自覚できたのはつい最近……この世界に来てからだよ。
ロック
 ……あんた、まさか自分がそうだからって、俺にも仇討ちをあきらめろっていうのか?

 そうじゃない。きみが納得できないなら、納得できるまでやればいいんじゃないかな? ……でも、ひとりよがりにならないよう、冷静になって考えることも必要だと思う。きみのおかあさんは仇討ちを望んでたかい? 自分の人生に納得していなかったのかい?
ロック
 …………。

 僕は、死んだ父を哀しませないよう、正しい道を歩んでいきたいと思っている。ロックくん、きみはどう生きる? きみの人生だ、きみが決めればいい。……ただ、その決断によっては、きみや周囲の人たちも、深く傷つくかもしれない。そのことだけは覚えておいたほうがいい。……僕がいいたいのはそれだけだよ。
ロック
 それだけって……アンタ、ずいぶんおしゃべりだったじゃねぇか……。

まあ、記号としてはロックとかなりかぶってるよね。

 ロックと覚醒楓は似ている、というのは昔からよくいわれているネタだが、「親の仇といえる相手がいる」という共通項を持ってきて、双子とは違うアプローチでロックを諭そうとする楓。
 楓が去ったあともひとりで考え込んでいるロック。その姿を離れたところから見ている謎の影がふたつ――。

グラント
  ……あれがメアリー様の息子か……。いわれてみればどことなく面影がある。
カイン
 非情になりきれないところもな。……が、それを惰弱、柔弱とはいうまい。もし彼がギースのごとき冷酷な男に育っていれば、姉はひどく哀しんだだろう。
カイン
 そこはテリー・ボガードに感謝すべきだが、しかし……ギースが生きているとはな。
グラント
 どうする、カイン?
カイン
 この馬鹿げた世界から彼を連れて戻る――。前にもいった通りだ。それは変わらん。
グラント
 しかし、元の世界に帰る手段はいまだに確立されていないというぞ。
カイン
 かまわん、待つさ。……さいわい、この世界は退屈だけはしないですむ。できることなら、帰る前に一度ギース――義兄にも会っておきたいものだが。
タコボール
 何や何や、よう見かけん顔やけど、自分らいったいどこのモンや? このあたりはな、不屈の男、キューバーン様の縄張りやで~?
カイン
 ……いっているそばから退屈しのぎの相手が現れたか。
グラント
 待て。……おまえは最近目立ちすぎている。
カイン
 フッ……おまえも血がたぎってきたか? いいだろう、ここは任せるぞ、グラント。

 グラントのセリフから推察するに、どうやら街のあちこちで目撃されていた「怪人をぶちのめしまくっている金髪ロン毛のイケメン」というのはカインのことだったらしい。

 ここからはあくまでぼくの推測なのだが、この『MotW』コラボは、本当なら前後編構成になる予定だったのではないかと思っている。オロチ編やネスツ編はそれぞれボス10人というボリュームだったし、以前の『餓狼』コラボも『3』+『RB』でボス10人、連続で開催された『サムスピ』+『月華』も合わせてボス10人だったので、『MotW』も、期間を開けて前後編という形式でおこなわれるはずだったのではないかという気がする。
 実際、ここで思わせぶりに登場したカインは、結局はここにしか出番がなく、ギースもしくは若ギースとの邂逅シーンは描かれなかったし、あつかいにくいフリーマンあたりはともかく、出せばキムとの絡みが絶対に面白くなるはずのドン&ジェイが登場していないのである。同様に、若いリョウとマルコの対面や、本編で描かれなかったケビンとマリーの対面なども、あればおそらく面白いものになっただろう。
 なのでぼくは、前半に当たるこのコラボでジェニー、ほたる、グリたちを実装し、のちに後編でこれらのキャラとストーリーを実装する予定だったのではないかとずっと思っていた。が、すでに述べたように、このコラボの直後におこなわれたバレンタイン総選挙のあたりでサービス終了が決定した(とおぼしい)ので、そのへんすべてが幻となってしまったのではなかろうか。
 まあ、あくまでぼく個人の感想、推測。

 というわけで、『MotW』コラボもいよいよ終盤。明けない夜はない、夜通し街をさまよったロックはついにテリーと出会う! というところで以下次回!

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