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【SNK】コラボ解説05【キミヒロ】

『サムスピ』コラボの終了後、すぐさまスタートしたのが『月華』コラボ。別にストーリーがリンクしているわけでもないのだが、両方を合わせると、オロチ編やネスツ編のコラボとボリューム的には同じくらいになるので、あえて連続で開催したのかもしれない。
 ここで登場したのは、楓(覚醒前&覚醒後)、守矢、雪、あかり、刹那、響、嘉神、黄龍といったところ。このラインナップから判るように、ストーリーは第二幕準拠となっている。

 ある日、街に金髪で刀を持った、しかもつねに火花が散ってるサムライらしき不審人物が現れたとの報告が入る。「ミヅキとの戦いに遅刻したサムライか? なら誰かを説得のために連れていこう」と思い立つみなのんたちだったが、あいにくとナコルルは妹を連れて北海道(=カムイコタン)へ旅行中、右京さんは血を吐いてダウン中、覇王丸はすぐに「おめぇさん強そうだねえ」とケンカを吹っ掛けそうで説得には向かないし、「バナナンうめえ」しかいわないチャムチャムは論外――と悩んでいたところに、同じく金髪で刀を持った帯電忍者ガルフォードが登場。こうしてみなのんたちは、陽気なアメリカン忍者を連れて未知のサムライに会いにいくのだった。
 ちなみにこのあたりから、イケメンは亡き父の遺志や父と子のあり方などを、コラボキャラ相手に少しずつ考えるようになる(たとえばガルフォードからも、人々を守って凶弾に倒れた父の遺志を受け継いでいるという話を聞いている)。

 果たして、通報があった金髪帯電サムライは、幕末からこの世界に飛ばされてきた楓(覚醒バージョン)であった。やや好戦的な楓を拳による説得で鎮めると、礼儀正しく話の通じる覚醒前の楓に変わってくれた。
 楓はこの世界に飛ばされてくるまで、姉の雪とともに地獄門の封印に必要な封印の巫女を捜していたという。しかしみなのんたちには、巫女だの地獄門だのいわれてもすぐには理解できない。そこで楓を学園に迎え、詳しい話を聞いた結果、不動老師は、異世界からサムライや格闘家が転移してくるのは、それと対となる巨大な悪と戦うためなのではないかと推測する。今回の場合でいうと、地獄門がこの世界で開こうとしており、楓たちはそれを阻止するためにやってきたのではないか、というのである。
 そこに、楓の義兄である御名方守矢が現れ、「雪はどうしたのか」と楓に問いただす。雪とはぐれてしまったと告白する楓に、守矢は苛立ちを隠せない。兄が姉について何か重要なことを知っていると感じた楓が逆に守矢に問いかけるが、守矢は、まだ気づいていないのであれば、いっそ何も知らないままでいたほうがしあわせだろう、と返答を拒む。
 ふたたび覚醒した楓をいなした守矢は、「雪を失いたくなければ、すぐに彼女を捜し出して二度と放すな」との言葉を残して去っていく。

 ともあれ、今は雪の捜索と地獄門の調査をすべきと判断し、みなのんたちは楓と手分けして街に繰り出した。さしあたってのターゲットは、破壊活動をおこなう妖怪とおぼしき存在の鎮静化である。トリは、「そいつ、実は妖怪みてーな外見の格闘家って可能性はねーか? あいつら平気でビームとか出すからな。人間じゃねーぜ」と、ヒーローである自分たちを棚上げにしてぼやいているが、実際に現場で大型バスを破壊していたのは妖怪としか呼べないもので、しかも時代錯誤な恰好をした少女によってあやつられているのだった。
 いうまでもなく、その少女は楓と同じく飛ばされてきた一条あかりで、彼女はたくさんの人間を呑み込む妖怪(=バス)を式神を使って退治していたつもりなのであった。駆けつけた楓の説明で誤解が解け、あかりもまた学園の中等部に迎えられることになるが、その際、「雪が刀を持った少女に引きずられていくのを目撃した」との証言を得る。

はいはい、きみも可愛い可愛い。

 雪を引きずっていったのは高嶺響だった。深手を負った雪を連れ去った響は、雪を殺そうとして謎の男(=刹那)がふたたび現れると考えており、その時こそ、父の死の真相を明らかにしようと考えていたのである。
 そんなふたりの前に、楓とみなのんたちが駆けつける。楓は響こそが雪を傷つけた張本人だと思い込んで戦いを挑むが、途中で雪がそれを止める。響はむしろ自分を救ってくれたのだと。
 しかし響は、自分にはそんなつもりはなかった、ただ刹那を呼び寄せるエサとして利用しようとしていただけだし、そもそも私は異人が大嫌いなのだから、といい残し、学園への合流を拒んでひとりどこかへ去っていく。
 その後、雪と楓の再会を見届けた守矢は、守矢たちの父を斬ったことを後悔していないとうそぶく嘉神と対峙し、響もまた父の仇だと目する刹那との相まみえる。そして楓と雪(+あかり)とみなのんたちは、常世の思念にあやつられた最後の敵、黄龍に挑むことになる。

 この時のコラボでは、亡父の存在というのがひとつキーになっていた。あくまで父の仇討ちに固執して刹那を追い求める響、一度は父の仇を倒して怨念を昇華させた楓、父の仇とあらためて対峙する守矢。そしてイケメンもまた、亡父との関係性に悩んでんでいた。
 イケメンの父はケアテイカーという高名なヒーローだったが(おそらくかなり能力寿命の長いヒーローだったんだと思う)、家庭人であることよりヒーローであることを優先させたため、イケメンが幼い頃に任務中に命を落としてしまった。そのこともあって、イケメンにとっての亡父は、人々に讃えられるヒーローと、家族をかえりみなかった情の薄い男という、相反する横顔を持った存在になってしまっているのである。
 以前からそこにジレンマをかかえていたイケメンは、雪から地獄門の説明を聞くうちに、「地獄門が開くことでもし本当に死者がよみがえるのなら、すれ違ったまま死別した父ともう一度会えるかもしれない、父と実際に言葉を交わすことができれば、この苦悩から解放されるかもしれない」と考えるようになった……というのが、このあたりでイケメンの様子がおかしかった理由となる。

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 イケメンの様子がおかしいことに気づいてさりげなく気遣ったのが、みなのんでもエコちゃんでもなく、ふだん何も考えていなさそうなトリだったというのも、男同士の友情という感じでとてもよかった。
 さらにいうなら、原作のラストが封印の巫女だった雪の自己犠牲によって幕を閉じる、楓や守矢にとっての悲劇だったのに対し、このコラボでは、雪に犠牲をしいることなく地獄門を閉ざし、ある種のハッピーエンドを迎えている。公式でif展開をやってくれる『キミヒロ』ならではといえるかもしれない。

 ということで、次回のコラボは『龍虎』。

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