【SNK】旅の終わり【KOF】
諸君らはぼくが以前お出ししたこの記事を覚えておられるだろうか。
今から約8か月前、ぼくは『KOFAS』(以下『AS』)についてのこの記事でこういっていた。このゲームのストーリーモードが面白かったかどうかはサ終してから判断する、と。
正直な話、この記事を上げた時点で、「たぶんこれもう長くねえだろ」という予感はあった。当時のストーリーモードはまだアッシュ編の『03』に突入したところで、ここからさらに『XI』〜『XIII』をやって、さらにアンプスペクター編まで描くのはかなり長い道程になるなと感じていたが(すでにシュンエイとか実装されていたしな)、その一方で、何やらカヤちゃんのセリフのはしばしに、「これから一気に追い込んでいくわよ!」みたいな、ある種の「俺たちの本当の闘いはこれからだ!」にも通じるような、ダメっぽい意気込みも感じていたのである。
そして実際に、ここからおよそ4か月が経過した6月末のニュースリリースで、10月31日をもって『AS』のサービスが終了することが発表された。
と同時に、ここまで各タイトルごとに章立ててストーリーを追加していた流れをブッ壊し、『03』の次にいきなり『ALL STAR』という最終チャプターが追加された。一応このチャプター内で、『XI』の紫苑やマガキ、さらには『XIII』の螺旋アッシュまで、本家のアッシュ編までに登場しているボスキャラをすべて登場させたので、残りをタイトルを無視してスッ飛ばしたというわけではないのだが、そこまでがやたら冗長だっただけに、余計に最後が駆け足になってしまった感は否めない。これもサ終の悲哀というべきか。
でまあ、サ終したのを期に、ストーリーのあれやこれやの話。
まず大前提として、このゲームにおける『KOF』は、まさにゲームとして存在している(判りづらい?)。そのゲームとしての『KOF』の世界を神の目線から見下ろし、管理しているのが「調律者」と呼ばれる集団で、最初に主人公にくっついてきていたノアちゃんも、闇落ちしたノアと交代して主人公のサポート役になったカヤも、いつも眼鏡クイッしているリューゴも、一応みんなのまとめ役のような立場にいるアインも、女医さんみたいな元ガチャ担当のリアも、みんな調律者。
あと、実は主人公ももともと調律者のひとりだったが、たぶん何かをやらかした結果、調律者としての能力や記憶、本来の姿を奪われ、『KOF』界に島流しになったっぽい。
厄介だったのは、ラッシュイベントの幕間デモを見ないとこのあたりのことが判らないという点。ラッシュイベントというのはガチャが更新されるのに合わせて実装される期間限定のミニストーリーモード的なものなので、要はその時にプレイしなければ確認できないし、あとから振り返ることもできない。事実、主人公が調律者だった頃のことが語られるラッシュイベントがいつだったか、ぼくはもうよく覚えていないのである。何かうっすらと、リアがいない間にリューゴと何かをやっていたような気がするが……。
とにかくこのゲームのストーリーを語る上で地味に面倒なのがこれで、ストーリークエストだけをやっていてもストーリーのすべてを把握することはできないようになっている。
本来のストーリーモードではわりと流された感のある斎祀関連のエピソードが語られたのは、なぜか『SC6』コラボのラッシュイベントだった。これはまあ極端な例としても、プレイにさまざまな条件がつくエピッククエストのほうにも、ちょいちょいいろいろな情報がちりばめられていた。エピッククエストも後半に行くとかなりキャラを育成しないとクリアできないようになっているから、ストーリーを確認するハードルがやたら高い。というか、ぼく自身、エピッククエストの先が見たいみたいと思いつつ、「バフが足りない」というわけの判らない理由で、次のステージに立ち入ることすらできないままサ終を迎えた次第。
実際、このゲームのラスボスとなるシャインちゃんも、サービス開始当初には登場していなかったが、確か初顔出しはエピッククエストだったと記憶している。調律者たちのリーダーだったリアも、最初はガチャだかアイテム製作のシーンに出てくるだけのおねえさんだったのに、プリティファイター実装のあたりで急にストーリーに絡んできたのではなかったか。
とにかく、ただでさえやることの多いこのゲーム内で、あっちこっちのモードをいろいろとやらないと、ストーリーを補完するための情報が集まりきらないこの構成が、大きなネックになっていた気がする。ソシャゲは隙間時間にさくっとやれるものであるべきと考えるぼくにとっては、ここが本当に面倒で面倒で……。
加えて一番悲劇的なのは、そういう苦労をかさねてパズルを組み立てるように完成させたストーリーの全体像が――これは本当にぼく個人の感想だが――そこまで面白く感じられないというか、むしろ軽く腹が立つという点である。
このゲームはあくまで『KOF』をベースとした作品ではあるものの、おそらくスタッフたちが描きたかったのは調律者たちのお話であって、ぼくはそこで、京や庵が部外者のようなポジションに置かれているように感じてしまった。たとえば、このオリジナルの無個性主人公は誰ともチームを組まず、たったひとりですべての相手チーム、ボスたちを撃破してきている。そういうことの積みかさねで、何だかもう、『KOF』のキャラたちが主人公に対する噛ませ犬か踏み台のように思えてしまって、ぼくとしてはそれがとても不満だった。
もしこれが、オリジナル主人公がゲーム内のキャラたちと交流を深めたり共闘したり、もっと深い関係性を築いていくような展開があれば、こういったネガティブな感想は持たなかったと思う。だが、このゲームのストーリーはそういう展開を許さなかった。ここでの『KOF』キャラはストーリーライン上に配置されているオブジェクトであり、世界の運命をになうのは彼らではなく、あくまで無個性主人公たちだけ――という構図なのである。
それを考えると、ゲームオリジナルのキャラクターと既存の人気キャラの絡みという意味では、はるかに短命ではあったものの、『君はヒーロー』のほうがずっとよかったと思う。
ざっくりまとめると、オリキャラたちの思わせぶりなセリフのやり取りによって冗長さばかりが目立つ進行や、伏線や重要な情報の回収の面倒臭さ、説明不足感、原作キャラのあつかい方、さらには日本語テキストの微妙さ、人称や口調の微妙さなど、素直にストーリーを楽しむには障害となる要素があまりにも多すぎたというのが、ぼくの最終的な評価である。
だからといって、たとえばもし仮にサービス終了までさらにもう数年の猶予があれば、ここからどうにかしてうまく改善されていたのか、と聞かれると、かならずしもそうはならんだろうな、という確信めいた思いもある。あくまで個人の感想な。
そもそも6年間サービスが続いたなら、今のご時世そこそこ長命といってよかろう。ようやった! 昔ぼくがお手伝いしたとあるソシャゲなんか、サービスインと同時に大ポカをやらかした結果、半年で終了したしな。
オールスターの看板をかかげている以上、実装されずに終わったキャラがいるのもよろしくなかったと思う。ただ、いろいろな他社格ゲーとコラボしたのは素直にすごいと思うし、水着とかサンタとかバージョン違いのキャラをたくさん出してくれたのも嬉しかった。何よりここは絵がいい。それがすべてといっていい。
開発と運営を手掛けていたネットマーブルは、次はこういうものを準備しているようだが……放置系なのはともかく、ドットキャラをモチーフにしたソシャゲという時点で、個人的に『KOFC』を思い出してしまう。
でもまあ、やらずにほめるのもけなすのも無理だから、最低でも1週間は遊ぶつもりでいる。そこからまた新しい旅路が始まるかどうかは判らんが、すでに事前登録が始まっているので、『KOF』ファンはぜひぜひ!
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