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【SNK】15th Anniversary!【MI】

 2022年といえば、ぼくたちSNKファンにとっては絶対に忘れてはならないメモリアルイヤーである。
『XV』の発売? もちろんそれもそうなのだが、もっとほかにあるだろう? ほら、今年はあれだ、『MI』シリーズ開発凍結から15年目なんだよ!

 いや、ぼくもおかしいなとは思っていたのである。
 2007年は、新年早々にケータイコンテンツ用の小説の依頼があって、『餓狼』の原稿をカリカリと書いていた。それと並行して『02UM』用追加キャラ、つまりはネームレスの設定作りをやりつつ、アッシュやシャオロンなどの『MIA』追加キャラのストーリー作成、ロケテ当日に配布する小冊子(デイリーセカンドサウスEXTRAってやつ)の原稿を書いたりしていた。
 そんな中、『餓狼』の小説がそろそろ完結するくらいのタイミングで、当時アキバにあったSNKの東京オフィスに打ち合わせにいった。ケータイでまた何かしら配信していくのだと考えていたぼくは、そこで『MI』のサイドストーリーをやりたいと広報さんにアピールしたのである。当時は『MIA』リリース後で、もうすぐTGSで『MIA2』を発表することになっていたから、ある意味それが当然の判断だと思っていた。
 しかし、その場で話に出たのは、ケータイ向けの『XII』のコンテンツを用意してほしいという話だった。のちのちファイターズプロファイルという名前で公開される、いわゆるキャラストーリーなのだが、まずケータイサイトで先行公開し、それから公式サイトに掲載していくのだという。
 まあ、この年のTGSでは、『XII』の開発状況にも触れる予定だったし、何といっても『KOF』の正式ナンバリングタイトルだからいろいろプッシュしたいのだろうなと思い、その仕事を受けた。ただ、それと並行してケータイ小説で『MI』をやりたいというぼくの提案には、かたくなに「まずは『XII』をお願いします」と繰り返すのである。
 ふつうなら、「もしかして、そっちに原稿料を出したくないのかな?」と考えるところだが、この当時のぼくは、毎月SNKから固定給をもらってさまざまなテキストの仕事を引き受けていた。要するに、月産3文字でも3万文字でもお給金は変わらないわけで、だったらわざわざぼくを遊ばせておくメリットはない。むしろ詰め込めるだけ仕事を詰め込んだほうが、SNKとしてはお得なはずだった。にもかかわらず、今は書かなくてもいい、むしろ書かないでくれといわんばかりのその態度が少し気になった。

 そして9月末、TGS2007で『MIA2』の製作が発表。11月には『MIA』特設サイトでサイドストーリーが公開されたが、この頃にはすでに、ぼくのところにも『MI』シリーズ開発凍結の話は届いていた。ついこの前仮ロゴまで出して『MIA2』の製作発表したのに! あんなに追加キャラの予定とか立ててたのに!
 アジア圏を中心に、基板はわりと数が出ていたらしく、プロジェクトが赤字ということはなかったはずなのだが(というより、そもそも『MIA』はかなり低予算で作られていたと思う)、あの頃のSNKはゲームよりもパチスロ開発に重点を置くようになっていたしな……。
 ただ、今でも本当に「ぎぬぬ……!」と歯噛みしたくなるのは、いったん発表しながら開発中止という最期を迎えたSNKの対戦格闘ゲームは、『MI』シリーズしかないという事実なのである。当時、なぜあんなに大量に(特にXBOX系で)、『MI』シリーズの発売予定を発表してしまったのか。これなら何の発表もないまま続編が出てない休眠IPのほうがはるかにマシという気がする。
 あれはもう、当時の会社の偉い人が後先考えずに「あれもやるこれもやるそれもやる!」と風呂敷を広げまくったせいではないのかという気がするのだが、同時に、その偉い人がいなければ『MI』がシリーズ化されることもなかったわけで、それを考えると何ともいえない気分になる。
 今はただ、いつかこのシリーズが、まかり間違って宇宙から降りそそいだ放射線の影響か何かで復活する日が来ることを静かに祈りたい。 

 ちなみに、当時の打ち合わせで猛アピールしつつもついに書く機会をあたえられなかった『MI』のサイドストーリーは、仕事とは無関係の二次創作として完成させた。

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