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【SNK】トマホーク問題【餓狼】

 2022年3月17日、発売からちょうど1か月が経過した『KOF XV』に、DLC第1弾となるチーム餓狼の3人が配信された。何かつねに眉間にシワが寄ってそうな転蓮華さんとウエスト67センチのへそチラくん、それにバーン家令嬢ジェニーさんである。
 おそらく『KOF』時空ではガルシア財閥に匹敵するっぽい大金持ちのお嬢さんであるところのジェニーさんは、やや変則的ではあるものの、飛び道具や突進技、空中軌道変化技などを持ち、移動速度も速く、何より非常に煽情的でけしからぬファッションで知られる素晴らしいキャラなのだが、『餓狼MotW』での初登場時から、ひとつの大きな問題をかかえていた。
 それが世にいう「トマホークどっちなの問題」である(今ぼくが命名)。

 ジェニーさんの必殺技のひとつに、ガルフトマホークというクラックシュート系の技があるのだが、実はこの技、「ガルフトマホーク」と「ガフルトマホーク」という2種類の名前(?)が存在する。
 ゲーム中でジェニーさんが、この技を使う時に「ガルフトマホゥック!」などと力強く叫んでくれれば、どちらの表記が正しいのかは考えるまでもなかったのだが、あいにくとジェニーさんは、今も昔も「ヘロー!」、せいぜい「ハイホー!」としかいってくれない。となると、やはり決め手となるのは文字による表記である。

 まず、『MotW』がゲームセンターに登場した時点では、インストカードに「ガルフトマホーク」と表記されていた。
 ところがその当時、SNK公認のNEOGEO専門誌としてもっともメーカーと密だったはずの「ネオジオフリーク」では、なぜか「ガフル」表記だった。この雑誌では攻略記事を掲載する際は必殺技コマンドも併記してくれることが多いのだが、毎号「ガフル」のままで最後まで修正されなかった。さらにいうなら、「ネオフリ」のライバル誌であった「アルカディア」のムックでも「ガフル」表記になっている。
 それでは「ガルフ」が間違いで「ガフル」のが正しいのか? しかし、数年後に家庭用ハード(DC&PS2)に移植された『MotW』の取説では、「ガルフ」表記になっているのである。この時点ですでにガルフ→ガフル→ガルフ。
 その後、ジェニーさんは『KOF』界に殴り込みをかける。『XI』に転蓮華おにいさんジャスティスおにいさんとチームを組んで参戦した際の表記はまたもや「ガフル」。ムックでの表記もPS2版の取説でも「ガフル」。
 さらにその直後、ジェニーさんはPS2で発売された『MI2』にもシークレットキャラとして参戦するが、ここでの表記も「ガフル」であり、ムックでも「ガフル」であった。
 これだけ続けばさすがにもう「ガフル」が正しいに違いねえ……! 全ロンドンっ子がそう思っていたであろう2007年、驚愕の事件が発生する。『MI2』のバージョンアップ版ともいえる『MIA』で、8割がた「ガフルトマホーク」として定着しかけていた技が「ガルフトマホーク」に戻ってしまったのである(ムックも「ガルフ」表記)。……まあ、PS2版の取説では「ガフル」のままだったわけだが。
 そして、こだわりの強いオタクたちが「これもうワケ判んねえな!」と乾いた笑いしかできなくなった2022年、『XV』に参戦したジェニーさんのこの技は、はっきりと「ガルフトマホーク」と表記されていた。
 恋する乙女のように(表記が)揺れ動くトマホーク……これが「トマホークどっちなの問題」のあらましである。

 それでは結局のところ、どちらが正しいのか?
 かつて提示された設定がのちに出てきた設定と食い違う場合、新しいほうの情報が正しいと判断するほうが無難だとは思う。たとえば最初はアメリカ出身だったビリーも今ではイギリス出身だし、破沙羅とともに斬紅郎に斬られたとされていた篝火も、今では破沙羅に殺されたというのが公式の設定である。
 要するに、とにかく公式が出した最新の情報が正しいのである。そういう意味では、ジェニーさんのクラックシュートも「ガルフトマホーク」が正しい。

 というか、そもそもジェニーさんの必殺技はすべて近代兵器に関係する単語をベースにしている。そうした文法で考えてみれば、ジェニーさんクラックは、湾岸戦争(Gulf War)に際して大量に使用された巡航ミサイル「トマホーク」から名づけられたものだと思われるので(たぶん)、これはやはり「ガルフトマホーク」が正しい表記なのである(断言)。

てか、だいたいガフルってナニよ?


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