見出し画像

【SNK】あのさあ【KOF】

 引き続いて『EX2』のお話。

 前作の発売からおよそ半年後。ぼくはまたマベちゃんと打ち合わせをしていた。あれだけヒドいヒドいといわれていたにもかかわらず、ふたを開けてみれば『EX』の売り上げはかなりよかったようで、即座に続編の発売が決定していたからである。
 今回は前作と違い、ぼくも開発の初期段階からかかわらせてもらうことになった。正直、前作の時は、
「すでにストーリーがほぼいじりようがないこの場面で、ぼくにできることなどあるのか……?」
 みたいな、いわば試合を終わらせるためだけに登板させられる敗戦処理役みたいなものだったので、新キャラ設定のところから意見をいえるというのはありがたい話だった。
 しかも、ボスを含めて新キャラ枠は4人分あるという。ならば今回はしっかりとストーリーに絡めていけるキャラを用意しよう、特に前作で一応出しはしたものの、ほとんど生かされることのなかった十種神宝を設定面でも使っていこうということになった。
 そこで、新キャラ4人はすべて十種神宝にして、それぞれが神器たちの家系と独自の距離感を持っている=かならずしも友好的な関係ではない、ということにした。また、前作では中ボスだった庵も今回はチームで参戦させることが決まっていたので、4人の内訳は、庵チームに2、京+萌のチームに紅丸と入れ替わりで1、そしてラスボスとすることに決定。

 ただ、一番最初の案では、庵のチームメイトは、小柄で口数の少ない陰気な巫(=女巫女)と、逆に身長2メートルくらいあるおしゃべりなオネエ系の覡(=男巫女)という組み合わせにしようとしていたのだが、アドバイザーのような立場で意見を求められたらしい元SNKの某氏の、
「庵の両脇には女性メンバーが揃ってたほうがいいんじゃないかなあ」
 との意見にしたがい、最終的に庵、壬羽、純という今の構成になった。職業がモデルとはいえ、純がやたらと高身長(199センチ)なのは初期案の名残で、ぼくとしては、庵を物理的に上から見下ろして挑発的なことをいってイライラさせるキャラにしたかったのである。ただ、どうしてあんな中途半端な投げキャラになったのかは不明。一見して読みにくい名前も含めてぼくのせいではない。
 反面、壬羽については、小柄、陰気、無口という要素がほぼそのまま生かされ、さらにそこにヒロアキさんによるレザー製セーラー服という魔的な要素がつけ加えられた結果、わりと人気の高いキャラになったと思う。一見して読みにくい名前はぼくのせいではないが。
 でもって零児は……初期案通りちづるの妹分みたいな少女のほうがよかったんじゃねえの? いやもう知らんわ。

 さいわい、『EX2』は無事に2003年元日にリリースされた。相変わらず容量的にはキツい中、できることはやったと思う。ゲーム全体の完成度はわりと高かったはず。
 ただ、実際に発売されたゲームをプライベートで遊んでいて愕然としたのは、肝心の新キャラたちに細かいバグがやたら多かった(ような気がする)ことだった。先行タイトルのデータを流用している既存のキャラに対し、萌も含めた新キャラたちは、完全なゼロからドットを打って判定やら数値やらを調整して……という作業をしているわけだから、すんなりいかないのは判らなくもない。しかし、それは最初から見えていたことだろうし、ならばなおのこと、新キャラについては念入りにチェックし、調整するくらいのことをすべきだったのでは? と思う。
 特に純は、必殺技がみんなどこかバグってる超必殺技に芸がない通常技の判定や数値がおかしい、などなど、明らかに時間をかけずに作られている気がして仕方がなかった。
 これが本当に納期的にも容量的にもギリギリでやっているというなら、ベストを尽くした結果として受け入れざるをえないかなと思えたのかもしれないが、実際にはそんなことはない。少なくとも、当初の予定にはなかったはずの隠しシナリオを追加する容量や時間的余裕はあったわけで、
「だったらその時間で新キャラのバグを減らすなり純の技調整しっかりやってやれよ!」
 ともいいたくなる。

こんな販促物も作りました。てか、純はこっちのファッションじゃあかんかったんか!?

 そんなこんなで、ゲームとしての仕上がりは『EX』よりよくなったにもかかわらず、物申したいことははるかに多くなった『EX2』なのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?