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【SNK】リョウと極限流【龍虎】

 Pixivからのお引越し記事、今回はリョウ、リョウ・サカザキ!

 極限流空手の創始者タクマ・サカザキには、ゲーム中で確認できる直弟子が3人いる。リョウ・サカザキ、ロバート・ガルシア、ユリ・サカザキの3人である(マルコ・ロドリゲスはおそらくリョウの弟子)。
 この3人の中で、「一番の天才は実はユリ」とよくいわれるのは、もともとスポーツが得意な少女だったとはいえ、本格的に空手の修行を始めてから奥義を会得するまで1年しかかからなかった、という公式ストーリーを背景にしたものであろう。しかし、だからといってユリが一番強いというわけではない。呑み込みが早いという意味での天才性でいうなら、それは確かにユリが一番かもしれない。また、取り入れたものを噛み砕いて解釈し直し、自己流にアレンジするというセンスの面では、ユリもかなりのものだろうが、おそらくはロバートのほうが上だろう。次々に登場するユリの必殺技の多くは、ゲーム中での性能のよしあしはともかく、自己流のアレンジというより誰かの物真似にしか見えないからである。

 ともあれ、天才性の輝きが見られるロバートやユリとくらべると、リョウには何か子供の頃から抜きん出た才能があったという描写はないし、使う技もオーソドックスで、龍虎乱舞や覇王翔吼拳を除けば派手な必殺技も少ない。アレンジや自分なりの発想というものとは縁遠く、タクマから習った技をひたすら愚直に磨き続けてきた、というイメージがある。
 以前もどこかで書いたような気がするのだが、タクマの直弟子3人の中でリョウがほかのふたりよりも明らかにすぐれていると断言できる点は、「修行を苦しいとは思わずに延々と続けられる」才能なのだとぼくは思う。上達の早さや技の華麗さというところは別として、シンプルに3人の中で誰が最強かということを考えた時、おそらく多くのファンがリョウを推すのではないかと思うが、それはリョウのそういう資質のおかげだろう。
 ロバートはやがて父親の跡を継いで現役を離れるだろうし、ユリももしかしたら結婚して家庭に入るかもしれない。しかしリョウだけはタクマのように空手家として現役を続けるような気がする。実際、『龍虎』の時代から四半世紀ほど経過した『MotW』の時代でも、リョウは極限流空手の総帥という地位にありながら、いまだに修行のために山籠もりをおこなったりしている。『KOF』最新作の『XV』でも、タクマたちが焼肉店経営に血道を上げる中、リョウひとりが(マルコもちょびっとは)、空手こそ自分たちの本道という意識を明確に持ち続けていた。

公式なのに『燃えよドラゴン』のパロディ。モブの顔ぶれも含めていろいろと大丈夫?

 もっとも、リョウが極限流最強の空手家であったとしても、リョウ自身は最強にこだわるタイプではないような気がする。最強というゴールに到着することが目的なのではなく、きのうよりきょう、きょうよりあした、少しずつでいいから強くなり続けたいタイプであり、むしろゴールにはたどり着かないほうがいいとさえ考えているふしがある。リョウが空手バカ的ないわれ方をするのはそのせいかもしれない。

 だからリョウは、一生結婚もしないし、引退もしない。道場はユリの子かマルコにでもまかせて、ある日ふらっとみんなの前からいなくなり、ぱたっと死ぬその瞬間まで、どこかでひたすら闘い、修行し続ける――リョウというのはそういう浮世離れした、現代社会では生きづらい人間なのではないかという気がする。
 あくまでもぼくの願望。えろうすまんな、キングはん。

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